2. 災害発生、状況の把握等の対応について
(1) 台風12号での災害の状況把握
土砂崩れによるライフライン寸断の影響で、災害状況の把握は容易ではなかった。唯一の手段として活躍したのが防災無線や通信会社より借り受けた衛星電話で、大塔支所との交信や状況把握に用いられた。また、大塔支所の「こまどりケーブルIPフォン」が使用可で、本庁や県等へ連絡できた。しかし、衛星電話で伝わりにくい伝達等についてはやはり人が出向かなければならなかった。
(2) 災害発生時における住民保護の初動状況(緊急車両通行、けが病人の搬送)
警報等の発令により配備指令に基づき参集した職員は、職員災害初動マニュアルの通り、各担当課において分担された役割や避難所の開設・運営にあたっていた。
(3) 孤立集落への連絡、保護
大塔地区で発生した孤立集落(中井傍示、惣谷、篠原、飛養曽、引土)へのアプローチは、地理に長けた大塔支所職員と消防職員、警察、自衛隊が徒歩で出向き対応した。
(4) 五條市災害対策本部の動員体制の推移
9月1日15時48分 五條市南部大雨警報
17時15分 1号警戒準備体制:大塔支所及び危機管理課による警戒体制
9月2日12時33分 五條市北部大雨警報。風水害時配備基準に基づく災害警戒1号警戒体制
15時15分 風水害時配備基準に基づく災害警戒2号警戒体制
20時35分 災害対策本部設置 第1号動員体制
9月3日3時55分 第2号動員体制
4時00分 五條市新町1丁目及び本町2丁目 262世帯569人に避難勧告
12時00分 第1号動員体制
22時頃 ふれあい交流館へ宇井一部住民、赤谷地区・清水地区住民避難。辻堂集会所へ辻堂住民(6世帯11人)避難。
23時頃 猿谷ダム管理所より過去にないダム貯水放流量増量との報告をうけ、河川流域居住者へ避難指示を行政防災無線で放送実施。辻堂集会所の避難住民を大塔支所へ移動。宇井、清水、赤谷の住民はふれあい交流間へ避難。
9月4日1時 猿谷ダム放流量最大値1,343.62m3/Sを記録
3時頃 辻堂雨量観測1,053mm/hに到達
7時07分 清水地区林地崩壊による宇井地区の災害発生
7時10分 宇井崩落現場の土砂ダムにより大塔支所浸水危険のため辻堂自治会避難者を安全なところへ。猿谷ダム方面は土砂により車両通行不可、殿野地区へは住民の道路土砂撤去で通行可が判明。殿野西教寺へ、辻堂地区住民20世帯31人を避難。
7時40分 第3号動員体制
15時30分 西吉野町十日市~南宇智地区の丹生川沿い979世帯2,635人に避難勧告
16時00分 第2号動員体制。天川村九尾の土砂ダム決壊の恐れのため、一郷方面(阪本、小代、中原)住民70世帯、135人に対し避難指示を行い、天辻集会所並びに、コスミックパークロッジ星のくにへ避難。
未明 九尾土砂ダム決壊危険性無くなったため一郷方面避難指示解除。
9月5日 川西地区(飛養曽、引土)道路崩壊の危険性により19世帯36人に避難指示発令。天辻集会所に避難所開設し、4世帯7人を残し他市各親族宅へ避難。
9月8日18時30分 災害対策本部を大塔支所へ移転
未明 赤谷土砂ダム決壊の危険性があり、ふれあい交流館に避難している宇井地区住民54世帯101人にロッジ星のくにへ再度避難指示。
9月16日17時00分 災害対策基本法第63条により「警戒区域」の設定(宇井、清水、赤谷地区)・立ち入り制限・罰則付き
9月20日18時30分 災害対策本部を本庁に再移転。現地災害対策本部を大塔支所に設置
9月28日8時30分 第1号動員体制
・現地へ派遣された職員の労働実態は、24~27時間勤務(72時間連続勤務や3週間以上帰宅出来ない)となり、通常業務に加え災害対応という非常に過酷な勤務体制となった。災害対応の超過勤務については、全額条例通り支給された。
・非常事態の中、職員一人一人の英知を要し迅速な対処をしたが、日々交代の派遣職員への引継ぎが難しく、連続勤務を避けられなかった。
・市職員の大塔支所へ協力体制 延べ110日1,100人(内72時間連続対応職員有り)
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