【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第4分科会 自治体がリードする公正な雇用と労働 |
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1. はじめに 昨年、泉南市のプールで小学生がおぼれて死亡した。さらに5年さかのぼると、ふじみ野市でもプールで死亡事故が起きている。自治体は、その大部分が、仕様書に労働法令順守を明記している。そして「それが、法令順守を自治体が実行している証拠だ」と主張する。しかし競争入札のもとで、遵守できない価格で発注し、二律背反(プール事故で小学生死亡事故)を生み出している。 |
2. 世界の労働組合組織率と労働協約カバー率 前述のように、ヨーロッパを中心に、ILO94号条約、ILO84号条約が批准され、さらには、産業別労組、業種別賃金が機能している。(産業、業種で同一賃金を適用。) |
3. 官制ワーキングプアを生み出した公務員労働法制 日本では、公共工事に品質確保など4つの法律(国の工事)が作られ、以前に比べ、ゼネコンから最下請までの縦型重層構造のもとで行われてきた、手抜き工事、労災隠し、賃金や代金の不払いなどが大きく減少した。公共工事の労働者賃金については2省間単価(国土交通省と農林水産省の2省間単価が都道府県ごとに定められている)をベースに算定されている。しかし、談合防止のためとして一般競争入札が行われ、算定価格の70~80%台で落札され、ゼネコンが頭から一定の割合をはねる構造は何にも変わっていない。ダンピングは、下請け企業や労働者にしわ寄せされていることも衆知のところだ。 |
4. 起こるべくして起こった労働組合バッシングと公務員バッシング |
5. 公契約の本来の姿は何か、契約こそが政策 公契約の本来の姿は、市民、契約当事者、公共物件の3つの安心、安全をめざすものでなければ、ならない。ある仕事を委託するとしよう。何より重要なのは価格ではない。地方自治法が求めているのは、市民、府民が負担している税金で行う以上、公正、公平でなければならないということであり、何よりも、その事業が、安全、安心なものでなければならない。不幸な事故が起こった場合は、だれがどのように責任を負うというのか。それは契約当事者においてもしかりである。建物などは市民の共有財産であるがゆえに、請け負った会社などが手抜き工事をして許されるものではない。 |
6. 公契約条例の現状 大阪府においては、2003年、「行政の福祉化」の理念から、契約を一つの福祉施策実現の機会ととらえ、総合評価型一般競争入札として実現した。 |
7. 各自治体要請行動の回答から見える今後の展開 研究会は、1年の議論経過を経て、今年から大阪府内自治体に対して、文書による要請を実施してきた。これまで文書回答があったところは別添のとおりであるが、それらの回答は、ほぼすべてにおいて、次の点で共通している。 |
8. 公共サービス条例、公契約条例などは、本来の自治を勝ち取っていく課題 過日、大阪府議会民主会派は、別紙のような要望書を府に提出した。 |