2. 調査結果
(1) 基礎データ
① 事業所の介護休業制度導入率は約4割
介護休業制度について「制度あり」と回答した企業は全体の40.7%であり、育児休業制度と比較すると、導入率・利用率ともにやや低い状況です。
図表 1 県内事業所における介護休業と育児休業の制度導入・利用状況
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制度あり
(かなり利用)
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制度あり
(少し利用)
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制度あり
(利用者無)
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制度あり
小計
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制度なし
(検討中)
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制度なし
(検討予定なし)
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制度なし
小計
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無回答
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総計
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介護休業制度
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9
0.4%
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105
4.8%
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775
35.5%
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889
40.7%
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405
18.5%
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734
33.6%
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1,139
52.1%
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158
7.2%
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2,186
100.0%
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育児休業制度
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155
7.1%
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341
15.6%
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605
27.7%
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1,101
50.4%
|
263
12.0%
|
704
32.2%
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967
44.2%
|
118
5.4%
|
2,186
100.0%
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② 事業所規模が大きいほど制度導入・利用者は増加
規模別での制度導入状況、利用状況を見ると、規模が大きくなればなるほど、導入・利用ともに増加しています。
なお、従業員数100人以下では制度の利用者数で「かなり利用者がいる」「少し利用者がいる」の企業は、約5%以下であったのが、従業員数101人以上では、その割合が2割を超えています。
③ 過去1年間の介護休業取得者数は、女性は男性の約4倍
過去1年間の介護休業取得者数では女性60人、男性14人であり、男性に比べて女性の取得者数が多い状況です。
④ 介護休業中の賃金について、支給していない企業は8割弱
介護休業中の賃金については、「全額支給」「一部支給」している企業は9.5%、「支給していない企業は78.7%と、大半が賃金支給はしていない状況です。
(2) 将来の介護への不安感
将来直面することになる介護に対する不安を従業員の約9割(87.8%)が感じています。
特に介護に対して「非常に不安を感じる」(27.6%)従業員については、介護に対する具体的な不安として、「公的介護保険制度の仕組みが分からない」(62.1%)、「介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しを立てにくい」(56.1%)といった点が不安を増長させているとみられます(図表2)。
図表 2 介護に対する具体的な不安
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非常に不安を感じる
(n=269)
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不安を感じる
(n=324)
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少し不安を感じる
(n=273)
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合計
(n=866)
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介護保険制度の仕組みがわからない
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62.1%
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49.1%
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38.8%
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49.9%
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勤務先に介護の支援制度がない(もしくはわからない)
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48.0%
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41.0%
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35.5%
|
41.5%
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仕事と介護の両立に上司の理解が得られない
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26.8%
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16.0%
|
10.6%
|
17.7%
|
介護に関する制度はあるが利用しにくい雰囲気がある
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27.1%
|
20.4%
|
15.8%
|
21.0%
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介護休業等を取得した人がいない
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49.4%
|
42.0%
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39.2%
|
43.4%
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代替要員がいないため仕事を休めない
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44.2%
|
34.6%
|
34.1%
|
37.4%
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仕事と介護を両立させる仕組みが分からない
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44.2%
|
32.1%
|
26.4%
|
34.1%
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両立だと昇進・昇給に影響が出る可能性がある
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17.1%
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9.9%
|
7.3%
|
11.3%
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そもそも労働時間が長い
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19.3%
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16.0%
|
11.7%
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15.7%
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介護休業を取得すると収入が減る
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47.6%
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37.0%
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28.9%
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37.8%
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職場で介護の相談部署・担当がいない(もしくはわからない)
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23.8%
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14.2%
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11.4%
|
16.3%
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地域の介護に関する相談先がわからない
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27.5%
|
18.5%
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9.5%
|
18.5%
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介護サービスが受けられるかどうかわからない
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45.0%
|
38.0%
|
26.4%
|
36.5%
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介護を分担してくれる家族がいない
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29.0%
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19.4%
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13.9%
|
20.7%
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介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しを立てにくい
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56.1%
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42.6%
|
34.8%
|
44.3%
|
その他
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2.6%
|
1.9%
|
2.9%
|
2.4%
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計
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100.0%
|
100.0%
|
100.0%
|
100.0%
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(3) 介護に関する相談
将来の介護に関して「勤務先で相談できる雰囲気がある」と回答する方は全体の約5割(47.9%)であり、「相談できる雰囲気でない」とする方は約1割(13.5%)となっています。しかしながら、実際に現時点で介護している方では約2割(21.5%)の方が「勤務先で話したり相談したりしている人はいない」と回答しています(図表3)。
図表 3 《現在介護をしている人》勤務先への相談(n = 107) |
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(4) 介護時における働き方・就業継続
将来介護をすることとなった場合の就業継続意向については、「続けられると思う」と回答した人は24.4%と4分の1となり、「続けられないと思う」(37.4%)よりも低い割合となっています。
将来介護に直面した場合、「就業継続できる」と思う人では勤務先において「相談できる雰囲気がある」と回答している人は74.4%と4分の3となっており、「相談できる雰囲気でない」はわずか6.4%となっています。しかし、「就業継続できない」と思う人では「相談できる雰囲気がある」は36.3%にまで低下し、逆に「相談できる雰囲気がない」は24.9%にまで増加しています(図表4)。
図表 4 職場での相談雰囲気と就業継続意向の関係 |
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