【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第5分科会 医療と介護の連携による地域づくり

小諸市の在宅サービス調整会議等の取り組みから


長野県本部/小諸市職員労働組合 前田 智子

1. はじめに

 小諸市では、保健、医療、福祉サービスの提供者が、高齢者及び心身障害者等のニーズに対応した良質で総合的なサービスを提供できるように調整することを目的に、「小諸市在宅サービス調整会議」を開催しています。
 この調整会議では、
① 保健・医療・福祉サービスを連携させ、総合的なサービスの提供を図る。
② 在宅ケアに関する情報交換と連絡調整を行う。
③ 学習会・事例検討を通して、サービスの質の向上を図る。
④ その他、福祉向上の目的達成に関する事項
を行います。
 構成員は、保健課、厚生課、高齢福祉課の行政機関、医療関係機関、介護保険事業者、社会福祉事業者、民生児童委員協議会、その他事業に関係する者からなっています。
 この調整会議は、1999年度から開催され、市保健福祉部長の名前で、原則月に1回概ね1時間30分程度開催し、市担当者と連携をとりながら、その事務局を「地域包括支援センター」が行っています。
 その他、調整会議には、①入所施設部会、②ヘルパー部会、③訪問看護師部会、④グループホーム部会、⑤地域ケア部会(4月~名称変更)があり、地域包括支援センター及び高齢福祉課職員が必ず事務局として参加しています。構成員のそれぞれが部会にも参加し、専門課題を検討し、資質の向上を図ると共に、情報の共有や関連職種等の連携の場にもなっています。

2. 医療・福祉の連携について

 以前は、病院は治療が終了すれば退院、本人や家族等住民は地域で生活できるようになって退院と、価値観が異なる状況がありました。しかし、病院、病棟職員や、地域での問題を共有できる在宅サービス調整会議での研修の開催、一般部会でのソーシャルワーカー等との地道な連携により、地域に退院するからとの連絡から、2006年度以前から独居の方、家族の対応に不安のある方、介護サービスのみでは在宅が難しいと思われる方に関して、地域包括支援センターに病院MSWから電話が入り、関わりがあるか、治療や退院前はどうしたら良いか等の相談が来るようになりました。また、退院前には地域包括支援センター職員やケアマネージャーが呼ばれサービスや医療をどうするか、病院で連携会議を開催したり、逆に地域包括支援センターからも要請し連携会議を開催してもらうようになりました。
 その他、一般部会の会員に薬剤師がいて、介護との連携を図りたいとの希望により、現在は「小諸市健康介護まちかど相談薬局」として小諸市が認定し、住民の介護保険全般の相談にのったり、地域支援事業の二次予防事業の実態把握、及び病院、開業医とケアマネージャーや地域包括支援センターと間に入り、多重受診での薬の調整役になる等連携を図り、住民の生活をより多くの分野の職員が連携を図りつつ支えていくよう努力している所です。

3. ヘルパー部会の取り組みから

 ヘルパー部会の昨年度の目標の一つに、「他機関・他職種との連携について学び一員としてのヘルパーの役割について学ぶ」があり、訪問看護部会と合同会議を開催しました。
 内容は床づれの出来初めにヘルパーとして出来ること、体位や除圧式マットの当て方、訪問時に死亡していた場合の訪問看護師の役割連絡ノートの活用について等が出されました。
 参加後の感想からは、直接顔を見て質問が出来て良かった。訪問先でわかりやすい図を描いてもらうようになり、やりやすくなった。今後不明な点は連絡ノートを活用したい。連携がとりやすくなった等の声がありました。

4. おわりに

 小諸市では、在宅サービス調整会議を開催し、専門職種ごとの価値や倫理を認め共有しながら連携を図ってきたことにより、介護、福祉、医療、保健の連携体制は他市に比べ充実していると思われます。しかし、いまだ十分でなく、今後、地域住民が互いを案じ互いの気持ちを察し、共同しながら安心と安全を保障され地域で尊厳を持って、その人らしく生きることの保障「地域包括ケア」を実現するため、2012年度からは「一般部会」の名称を「地域ケア部会」と名称を変更し、地域課題の掘り起こしだけでなく、地域課題解決手段の検討を行う部会として、これまでの介護支援専門員、ソーシャルワーカー、民生児童委員、保健福祉分関係職員だけでなく、部会参加者の範囲を拡大し、地域課題を抱える他の部会参加者や課題解決のための必要となる組織や団体を加え、将来的には、地域ケア会議の場としての位置づけも検討していく予定です。
 併せて、小諸市では世界基準の安全、安心のまちづくりとしてセーフコミュニティの認定取得をめざしています。警察、消防、行政、医療機関を初め35団体が参画し推進協議会を立ち上げ、5つのテーマを設定した対策委員会を設置していく中で、専門職種だけでなく、すべての住民が互いを案じ、互いの気持ちを察しながら支えあい、安心と安全を保障で切る町づくりをめざし取り組んでいます。


小諸市に於けるネットワークの現状