【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第5分科会 医療と介護の連携による地域づくり |
近年の医師不足は但馬地域でも例外ではなく、但馬地域の地域医療の再編を余儀なくされている。但馬の医療対策協議会、広域連合によるドクターヘリ、ドクターカー、周産期医療センターについて兵庫県北部地域(但馬)の地域医療の確保と今後の課題について、公立豊岡病院の取り組みを報告する。 |
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1. はじめに 但馬地域は、兵庫県の4分の1の面積を占めるが、人口は県全体の4%に満たない(17.6万人:2011年10月)。居住地域は、河川に沿った少ない平地に、広く線状に分布しており、医療サービスを展開するには非効率な地勢である。 2. 但馬の医療確保対策協議会 近年、病院勤務医師の減少が顕著となり、但馬地域においては、各自治体病院の医師不足が深刻化し、診療科の休止や廃止、受け入れ患者数の制限、夜間救急の受け入れ停止など、地域住民への医療の提供に重大な支障をきたしている。このなかで、2007年に「但馬の医療対策協議会」が発足し、協議の結果、以下の方針が決定され、現在実行されている。 (1) 基本方針 (2) 再編の考え方 |
但馬地域の公立病院の診療体制の現状 |
3. 救急医療の広域連合(ドクターヘリ・ドクターカー) 但馬の医療確保対策協議会の結論に基づき、公立病院の機能分担と集約化を行っていくうえで重要な課題であり、住民の最大の不安は救急医療体制である。 (1) ドクターヘリ事業について (2) 2011年度運行実績 (3) ドクターヘリ運航参考図 |
(4) ドクターカー 4. 周産期医療 但馬地域で分娩を取り扱っている医療機関は、公立豊岡病院、公立日高医療センター、公立八鹿病院の3病院だけで、年間約1,350件の分娩を8人の医師が担当している。 |
こうしたなか、2011年4月に但馬地域3市2町の首長による周産期医療対策検討会が立ち上げられ、2012年2月に公立豊岡病院に周産期医療センターを設置することが決定された。現在2012年度中に設計、2013年度建設着工、2015年度運用開始のスケジュールで作業が進められている。 5. まとめ 高齢化と人口減少の著しい兵庫県北部(但馬)地域では全国的な例にもれず、医師や看護師をはじめとした医療スタッフの確保が困難になっている。こうしたなかで、公立病院の機能分担や集約化に取り組んでいる。記載した他にも、眼科を日高医療センターに集約し、眼科センターを設置している。また、医師、看護師確保のため公立豊岡病院組合では独自に奨学金制度を設けており、すでに奨学生が研修医として勤務している。今後こうした取り組みの成果が実り、継続した医療の確保がなされることが期待される。 |