【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第6分科会 地域での子育ち支援 |
県内職員組合の協力を得て、各自治体の子育て支援施策についてのアンケートを実施し、その結果をランキング形式で順位付けしながら各自治体が行っている子育て支援施策の現状を確認した。また、あわせて、今後自治体に求められる子育て支援施策のあり方について考察した。 |
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1. 自治体子育て施策ランキング 研究にあたって、県内各自治体の職員組合を通じて子育て支援の状況についてアンケートを実施した。新潟県は平成の大合併により、20市6町4村(30基礎自治体)となっているが、そのうち18市5町2村(25基礎自治体)【回答率83.3%】から回答を得た。 |
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総合得点が最も高かったのは上越市で、100点満点中の69.4点となった。その次に、十日町市66.1点、新発田市61.3点と続く。また逆に低い自治体は、刈羽村の27.4点、阿賀町の30.6点、阿賀野市と村上市が32.3点で同点となっている。 (1) 子育て支援課の設置と子育て世帯への給付事業 (2) 医療費助成の状況 (3) 保育園、幼稚園の設置状況 (4) 子育てサービスの状況 |
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③ 保育園の一時預かり (5) 子育て世帯への情報提供について 2. ランキング結果と合計特殊出生率データの分析 ランキング上位3自治体の合計特殊出生率は1.61、下位4自治体の合計特殊出生率は1.45である。子ども医療費助成事業の対象を中学生まで拡充している上越市と十日町市は1位と2位だが、合計特殊出生率は、それぞれ上越市1.62(5位)、十日町市1.91(1位)と高位になっている。特に、十日町市の1.91という値は、現在の人口置換水準と考えられる2.07に迫る数字であり、少子化対策という観点からは比較的成功している自治体であると考えられる。(注:カッコ内順位は「新潟県100の指標」による県内順位を示す。) 十日町市は、ほとんどの施策が平均的に実施されており取りこぼしがないという印象を受ける。しかし、同様の施策を実施している上越市や新発田市1.43(17位)との合計特殊出生率の差についての説明ができないため、この差は自治体の子育てに関する施策だけによるものではないと考えてよいと思われる。 ここで「新潟県100の指標」のデータの中で、合計特殊出生率との相関関係があるデータとして、人口流入率、流出率との関連を指摘しておきたい。十日町市を含め、合計特殊出生率が比較的高い自治体は、人口流入率、流出率が低位にある。これは、仕事等で日中自治体をまたいでの人口移動が少ないことを示している。 |
① 人口流入率(人口千人当り) 県平均103.0 最大値555.8(聖籠町) | ||||||||||||||||||||
② 人口流出率(人口千人当り) 県平均102.0 最大値358.7(田上町) | ||||||||||||||||||||
(注:人口の母数が少ない町村と県都である新潟市を除く順位) |
つまり、このデータは、日中の人口移動が少ない自治体の合計特殊出生率が高いことを示しており、域内の人口移動が少ないということは、当然、子育てに関しても両親や祖父母が比較的身近にいるという環境が想定される。合計特殊出生率が高い自治体では、複数の親族が毎日の子育てに関われるのではないかと推察される。 3. 自治体に求められる子育て支援策とは 住民は子育てという限られた事象だけで居住地を選べない。この意味からも、居住している自治体によって子育て世帯への支援が大きく異なるのは望ましくない。子育て世帯への支援は、できるだけ自治体間の差を少なくすべきであり、そのためには国や県レベルである程度足並みを揃えた動きにしていくことが必要だ。少子化における国力の衰退が問題視されている。そうであるなら、全国的な施策として方向付けしていくべきと考える。 |