【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第6分科会 地域での子育ち支援

 多治見市では「もっと元気なまち たじみ」をスローガンに第6次総合計画後期計画が策定されております。総計の中でも「教育環境の充実」では中学校30人学級の実施や小学校6年生までの医療費無料化、支援児保育など子育て支援について実施をしております。本レポートでは多治見市で行われている子育て支援施策の紹介と現場で働く組合員からの問題点を紹介していきます。



多治見市の子育て支援事業と課題について


岐阜県本部/多治見市職員労働組合連合会 石田 浩司


1. はじめに

 多治見市の総合計画は8年計画で4年に一度、市長選挙に合わせての見直しを行っています。2010年に第6次総合計画後期計画の見直しがなされております。「もっと元気、まちが元気たじみ」をめざす将来像におき、①教育・文化 ②産業・経済 ③都市基盤 ④生活環境 ⑤保健・医療・福祉 ⑥行政改革の6つの視点から成り立っております。特に①教育・文化では、中学校3年生クラスの30人程度学級の実施や脳トレの実施、⑤保健・医療・福祉ではこども医療費の無料化の拡大が掲げられております。多治見市の子育て支援事業について紹介し、いま大きな課題になっている支援児受け入れ態勢について提案していきます。

2. 多治見市の子育て支援事業の主な内容

(1) 公立保育園の保育士の配置
 公立保育園8園では、保育士を配置(保育士1人あたり園児数5.4人)し、要支援児には1対1から1対3の基準で保育士を配置。また、幼稚園において要支援児の加配を配置しております。

 

(2) 児童館・児童センターの配置
 小学校13校区すべてに児童館または児童センターが設置されており、遊び場を提供しています。

 

(3) 放課後児童健全育成事業(学童保育)
 小学校13校区に各1ヵ所以上の放課後児童クラブ(18クラブ)があり、保護者が就労などにより昼間家庭にいない児童を対象に遊びや生活の場所を提供しています。

 

(4) 発達支援センター・ことばの教室
 発達支援センターを市内2ヵ所に設置。発達支援を必要とする乳幼児を対象に、日常生活での基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練、子育て相談を行っています。ことばの教室は、2ヵ所の公立幼稚園にあり、就園児を対象に遊びを通じたグループ指導を実施しています。

 

(5) 地域子育て支援拠点の設置
 市内3ヵ所の保育園に地域子育て支援センター、市内1ヵ所の児童館に地域支援親子ひろばを設置し、0~3歳未満児親子を対象に遊びの広場の提供や育児相談、講座を開催しています。

 

3. 要支援児受け入れについて

 要支援児も分け隔てなく受け入れるため、多治見市では要支援児に対する加配を特に多く採用しております。しかし、要支援児を多く受け入れすぎて、クラス運営ができない状況が生まれつつあります。1クラスに要支援児を受け入れる基準がなく、1:1や1:3などの要支援児の状況で加配を配置されておりますが、クラス運営という点から問題が生じてきております。また、幼稚園では療育手帳を持っている子は優先的に入園することができ、抽選で入園させる園では健常児との公平感がないとの意見が出されております。
 2012年度に支援が必要な園児は、保育園・幼稚園合わせて128人です。内訳は、療育手帳取得児13人・身障者手帳取得児5人・ダウン症5人・自閉症児6人、その他は、発達遅滞・ADHD・多動などです。

 
保育園
幼稚園
要支援児合計
要支援児担当合計
 
要支援児
要支援児担当
要支援児
要支援児担当
2006年度
56
26
27
83
35
2007年度
63
32
51
114
41
2008年度
78
36
39
15
117
51
2009年度
101
49
38
16
139
65
2010年度
90
44
55
25
145
69
2011年度
69
37
57
23
126
60
2012年度
60
29
68
27
128
56

4. これから

 多治見市の人員適正化計画では、2015年度の保育士・幼稚園教諭の人員を100人としており、今以上に正規職員が増える状況はありません。また、今後も要支援児が増えていくことも予想されており、その障害は様々です。正規職員の増員が見込めないため、臨時職員で対応することになります。今後は公立保育園・公立幼稚園での1クラスの要支援児受け入れ人数を規定するなど、クラス運営に配慮した基準を設ける必要があり、要支援児保育園を設置するなど、体制を変えていくことが求められます。また、特別支援教育支援コーディネーターを現在は、副園長が対応しておりますが、今後は有資格者を配置して支援児の対応や保護者との調整を行う事も必要です。現在は保育士・幼稚園教諭の頑張りで支えていますが、今後は要支援児に対する子育て支援策が大きなテーマであると考えております。