【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第7分科会 貧困社会における自治体の役割とは |
景気動向が不安定な時代、自己のスキルアップのため公共職業訓練に対する注目や期待は高まっている。しかし、地域経済が疲弊するなか、機構改革のもと、定数削減が機械的に実施されている。 |
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1. はじめに
わが国の経済は、リーマン・ショックからの回復の途上において、東日本大震災(以下 震災)により再び大きく落ち込んだが、着実に持ち直してきた。内閣府が2011年12月9日に公表した全国の2011年7~9月期実質成長率は前期比1.4%(年率換算5.6%)のプラス成長となった。震災後、夏場の電力不足による悪影響が懸念されたが、民間需要、輸出ともにプラス成長を示し、日本経済は緩やかではあるが回復に向かっている。 |
2. 札幌高等技術専門学院の歩み
(1) 沿 革 1962年 12月8日 新校舎竣工移転 1969年 10月21日 北海道立札幌専修職業訓練校と改称 1972年 10月1日 北海道立札幌高等職業訓練校と改称 1984年 5月27日 校舎新築工事着工(3カ年計画) 1987年 3月4日 校舎竣工移転 1988年 1月1日 北海道立札幌高等技術専門学院と改称 2009年 4月1日 北海道立滝川高等技術専門学院の廃止に伴い、砂川分室設置(砂川市) 2010年 4月1日 道の組織機構改正により、技術専門学院の組織として「能力開発総合センター」設置 2012年 3月31日 北海道立札幌高等技術専門学院(能力開発総合センター)砂川分室廃止
(2) 札幌高等技術専門学院とは |
3. 札幌高等技術専門学院の歩み
(1) 学院施設内で実施する職業訓練
② 入学状況と応募倍率の特徴 平成23(2011)年度と平成24(2012)年度生の応募・入学・在籍状況から応募倍率は、1.3倍、また、入学率は、0.88倍となっている。少子高齢化社会の進行と景気低迷のなかで、一定の行政成果をあげていることが垣間見られた。 なお、援護措置としての雇用保険受給者及び訓練手当受給者は14人が在籍し、総体に占める割合は、6.4%となっており、地域のセーフティネット機能を果たしていることが確認できた。
③ 施設内訓練の課題と問題点 1987年に竣工した校舎であるため、約26年の年月が経過し、校舎や実習設備等が老朽化してきている。 新規採用が北海道職員適性化計画にて抑制されていることから職業訓練指導員の欠員が存在する。また、職業訓練指導員でありながら任用制限がある特別職非常勤職員の採用が実施された。
(2) 学院施設外で実施する職業訓練 パート求職者等の再就職を目的とした職業訓練(パソコン系、経理事務系)。平成23(2011)年度は2コースを実施し、平成24(2012)年度は3コース(前年度対比1コース増)を予定している。 ・ 12時間以上150時間以内 ④ 能力開発セミナー(ハローワークからの受講指示及び受講推薦等は必要がない) 在職者(複数事業内)を目的とした職業訓練(技能士系、事務系、技術系)。平成23(2011)年度は4コースを実施し、平成24(2012)年度は4コース(前年度対比0コース増)を予定している。 ・ 12時間以上150時間以内 ⑤ 札幌高等技術専門学院の所管地域 施設外訓練の実施地域は、後志総合振興局管内、石狩振興局管内、空知総合振興局管内となります。 管轄公共職業安定所は、ハローワーク札幌、札幌北、札幌東、千歳、小樽、余市、岩内、倶知安、江別、岩見沢、砂川、滝川、深川、夕張となっています。 訓練実施地域は、札幌市、千歳市、恵庭市、北広島市、江別市、小樽市、余市町、岩内町、倶知安町、岩見沢市、栗山町、美唄市、滝川市、深川市、芦別市にて実施している。 ⑥ 委託先の選定方法(一部抜粋) 原則として公募により企画提案を募集し、その内容を審査して最良の提案をした者を選定し随意契約の相手方の候補とする手法にて実施する。 ・ 道内に本店又は事業所を有する法人(団体を含む)、若しくは道内に住所を有する個人であること。 ⑦ 委託訓練の応募率等 後志総合振興局管内(約1.4倍)、石狩振興局管内(約4.0倍)、空知総合振興局管内地域(1.0倍)と地域により応募倍率は異なる。しかし、札幌市内だけに着目すると応募倍率は、約5.0倍程度あり、3回以上公共職業訓練を受講しても合格できない実態にある。また、主要コースであるパソコン・簿記・販売系、介護系、医療事務系の3コースにおいて、各550人以上の訓練待機者がいる現状にある。 ⑧ その他 能力開発総合センターの業務量は増加する一方だが、砂川分室等の廃止により定数が9人から6人に職員数が削減された。業務の効率化を追求するのにも限界がある状況です。 |
4. おわりに
札幌高等技術専門学院の施設内及び施設外の訓練とも、北海道経済が低迷するなか、その重要性は高まる一方であるが、北海道が一律的に実施する職員適性化計画の職員数削減により職員・組織は疲弊している。 |