【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第7分科会 貧困社会における自治体の役割とは |
近年、児童虐待事件が増加し、児童相談所(兵庫では「こども家庭センター」:以下「センター」)における処遇が注目されている。しかし、児童虐待事件の最前線となるセンターの体制は決して十分とは言えない状況にある。本レポートでは、行政側に体制における現状と課題について報告する。 |
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1. はじめに 近年、虐待事件が増加し、児童相談所(兵庫では「こども家庭センター」:以下、「センター」)における処遇が注目されるようになっている。 |
2. 兵庫の特徴 都市型である阪神間(神戸市を除く)を管轄とするセンターから、但馬を中心とした郡部を管轄するセンターと、淡路島も含み、南北を横断する兵庫の地理的条件を反映した5つのセンター(2分室、1駐在所)を配置している。 |
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3. 相談体制 兵庫県においても「新行革プラン」に基づき、人員削減が進められている。虐待事案をはじめとする業務の複雑、困難性から、センターでは、人員削減こそ強行されてはいないが、複雑、困難な相談件数の増に伴い、業務量が増加する中にあっても、組合が求める正規職員での増員とはなっておらず、非常勤嘱託員を中心とした非正規職員が多く配置され、かろうじて、現行の相談体制の水準を維持している状況である。 |
4. 一時保護所の現状と課題 現在、兵庫県における一時保護所は、収容人員は最大38人で、就学前児童・学齢男子・学齢女子とグループ分けしている。目的として緊急保護や行動観察がある。 |
5. 専門職の配置 -こどもセンターの専門性、体制強化- (1) 専門職採用における課題 (2) 「児童福祉司」の配置 2011(H23)年4月現在の兵庫の児童福祉司の地方交付税による配置基準は76.1人である。2011年度は77人の児童福祉司を配置しているが、その中には、再任用職員、保健師5人(各センター1人)も含まれている。しかし、2012(H24)年度は県全体で、児童福祉司の発令可能な有資格者の配置がなされず、配置基準に2人不足した配置となっている。さらに、国は、2012(H24)年度から普通地方交付税措置を拡充し、児童福祉司の配置基準が増える見込み(人口170万人あたり2人の上乗せ)であるが、交付税が増額されても、有資格者の配置が出来ないという状況も懸念される。 |
6. 最後に -よりよい処遇を実施するために- ここ数年の児童虐待相談件数の大幅な増加や、困難事例の増加など、センターはより高い専門性が求められている。今後は、市町における児童家庭相談の充実も図られていくことになると思われるが、センターでは、求められている専門性に対して、充分な体制が整えられているとは言いがたい。 |