【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第7分科会 貧困社会における自治体の役割とは |
ホームレスの多くは50歳代以上であり、昨今の雇用情勢から安定した仕事に就くことは決して容易ではありません。しかし、稼動年齢層(18歳~64歳)で就労阻害要因がなく、能力活用が可能な者に対しては積極的に更生施設の職員が関わり、側面的な援助とともに就労意欲の向上に向けた取り組みを実践した結果、就労によって自立する入所者が増加した施設の実態をレポートとして紹介します。 |
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1. はじめに 厳しい経済・雇用情勢を背景として、自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされている人々が多数存在しています。ホームレスの多くは公園、河川、道路等を起居の場所として日常生活を送っており、食事の確保や健康面で問題を抱えるほか、一部では地域社会とのあつれきが生じるなど早急な解決が求められています。 2. 神戸市のホームレス対策の現状 ① ホームレス概数調査の推移 3. 更生センター(神戸市直営の更生施設)の概要 (1) 概 況 (2) 沿 革 4. 更生センター(更生施設)においての就労自立支援 (1) 全般的な方向性 |
(2) さまざまな就労支援策 施設に入所している方のほとんどが元路上生活者で、面接を受ける際に着用するスーツ・Yシャツ・ネクタイ・革靴等の所持がなく、施設側で個人への貸し出し目的として用意をしています。 また、面接場所までの往復交通費なども必要に応じて支給しています。ただ、実際に就労が決まったとしても通勤にかかる費用の捻出に問題があるため、就労先の所在地は出来るだけ近距離が望ましいのが現状である。 ② 部屋別担当職員と就労支援員による就労意欲の助長 更生センター(神戸市直営の更生施設)では、稼動年齢層(18歳~64歳)の者で特に就労阻害要因のない入所者には毎月2回の求職活動報告書の提出を義務付けるとともに、求職活動の低調な者に対して部屋ごとの担当職員並びに就労支援員(嘱託職員)による面接等を利用して、就労意欲の助長を促しています。 ③ 面接受験後の聞き取り調査 面接を受け、施設に帰所した入所者から面接時の印象、質疑応答の内容、また具体的な業務内容の提示や勤務条件の説明などの有無を聞き取り、記録として残す。たとえ、今回の受験者が不採用であっても、次回の面接に活かせるよう、また他の入所者が同社を受験した際に役立てられるよう、1回の面接を最大限に活用しています。 ④ 求職者ミーティングの開催 稼動年齢層であっても、傷病を理由として就労に積極的でない者、傷病もなく他の就労阻害要因がないにも関わらず漫然とした生活をおくっている者、また努力はしているものの就労に結びついていない者など、処遇に苦慮している者に対して従来どおり個別に対応することに加え、一堂に会して求職活動のさまざまな面での支援を一体的に行うため、施設内の会議室を使用して月1回のミーティングを開催し、下記のようなプログラムを実践しています。 ア 履歴書や職務経歴書の書き方指導 イ 実際の面接時にあった質問事項の分析で、傾向と対策の指導 ウ 模擬面接の実施 エ 有効求人倍率などの指標をもとに、現在の求職状況の説明や求人情報の提供 5. 就労自立の推移 これまでの就労自立者の推移 |
6. まとめ 就労支援としてさまざまな取り組みにより、更生施設入所者の就労自立率は飛躍的に向上しました。ただ、飛躍的と言っても50%にも届かない数字には、更生施設が就労指導に特化した施設ではないことが要因としてあげられます。 |