1. はじめに
木古内町は、北海道南西部に位置する人口約5,000人の小さな町で、目の前には津軽海峡が広がり、総面積の9割が山林を占め、海と山に囲まれた自然豊かな町です。この豊富な自然を活用した一次産業が行われており、漁業ではホタテの養殖、農業では道南米の「ふっくりんこ」、高級和牛の「はこだて和牛」の産地であり、稲作、畜産を中心に行われています。
また、2015年度開業にむけて準備が進められている北海道新幹線においては、当町に北海道最初の駅が設置されるほか、高規格幹線道路の建設も進められるなど、今後、町は大きな変化を迎えようとしています。
2. 取り組みの経緯
当町職労では、これまで住民とともに活動できるイベントを自治研活動の中心ととらえ、町内の各種イベントに積極的に協力して参加してきております。
また、4年前より自治研活動の推進について更に具体的な活動を模索した結果、“次代を担う子どもたちと体験できるもの”“当町の豊富な自然環境を活用し、自然体験を通じて自然の大切さを認識できるものはないか”などを考えた結果、町内にサケのふ化場もあることもあり、関係機関の協力で「サケの稚魚の放流体験」を実施することに決定しました。
町内の河川はサケが遡上する環境にあり、サケのふ化施設もありますが、それらを学ぶ機会はなく、地元に住む私たちもサケの稚魚を見る機会やふれあう機会はない状況ですので、町の子どもたちにサケの稚魚や自分たちの住む町の環境にふれあう機会を提供することにしました。こうして自治研活動の新たな取り組みがスタートしました。
3. サケ稚魚放流体験
ここ2年間実施が出来なかったサケ稚魚の放流体験を、今年度は再開することができました。
実施にあたっては、サケ・マス増殖事業協会の協力を得ながら、木古内地区連合会と連携して取り組み、町職労や木古内地区連合会の組合員に周知したほか、前回と同様に小学2年生がサケについて学習するとのことから、小学校の協力のもと、小学2年生の保護者にチラシを配布して、参加者を募りました。
その結果、5月12日(土)には幼児から保護者20人の参加で、サケ稚魚放流体験を実施することができました。
当日早朝は、中止も検討する悪天候でしたが、開催時間が近づくにつれて天候も徐々に回復し、開催することができました。サケ・マスふ化場に到着してから、サケ・マス増殖事業協会職員によるサケの生態について説明(写真1)を受けたほか、稚魚の水槽を用意していただき、間近でサケの稚魚を観察(写真2)することもできました。ほとんどの子どもが、サケの稚魚を見るのは初めてで、水槽や施設内で泳ぐ、無数の稚魚に興味津々で見入っていました。
また、稚魚のエサやりも体験することができ、元気にエサを食べる稚魚たちに子どもたちも大喜びでエサを与えていました。
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サケ・マス増殖事業協会職員によるサケの生態について説明を受けている様子(写真1) |
最後に稚魚の放流(写真3)を行い、カップに移された稚魚を親子でそれぞれ放流すると、子どもたちは川に元気で泳いでいく稚魚に「頑張って帰ってきてね」と声をかけていました。
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興味津々な面持ちで水槽を見つめている様子(写真2) |
4. まとめ
元気に泳ぐ無数のサケの稚魚に、目を輝かせ、生き生きとした表情でふれあう子どもたちの姿を見ると、再開が出来てよかったとあらためて感じました。このサケ稚魚放流体験を通じて、町の自然にふれあうとともに、親子で環境保全について考えるきっかけになればと思います。
また、サケが遡上する自然環境、サケのふ化施設があるという条件にも恵まれていることから、今後も継続して取り組み、町の子どもたちに貴重な体験の場を提供したいと思います。
サケ稚魚放流体験も受け入れ体制の問題から、サケについて学習する機会のある小学2年生の親子を中心に実施してきていますが、他の子どもたちやより多くの町民のみなさんと実施できる新たな活動についても、検討が必要と考えているところです。今後もサケ稚魚放流体験のより一層の充実を図るとともに、様々な自治研活動を推進していきたいと思います。
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稚魚の放流に夢中で取り組む子どもたちの様子(写真3) |
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