3. 明るい兆し
(1) 組費の軽減
太陽光発電による年間売電収入の見込みを約180万円としました。初年度は、まだ年間の稼働をしていないため組費5,000円の半額を売電収入で充てることにしました。また、借入金の返済を10年間売電収入で行うことも決めました。残りを積立に回すことで歩き始めました。
組費2,500円の軽減という少ない金額ですが、それでも月々の負担は軽くなりました。1年間の売電収入の状況を確認し、次年度からは組費の負担を0にしていきたいと思っています。
(2) 取り組みで変わった
組の財源を投入し、約1,700万円をかけ太陽光発電設備を設置した目的は、各世帯の組費の軽減でした。そして、高齢者に安心して住み続けられる環境づくりと若者の住みたくなる村づくりへとつなげていきたいとの思いでした。U・I・Jターンをしてみようと考えてもらえるひとつのきっかけになればと考えたからです。つまり、過疎化の歯止めと若者の定住、そして新たな住民の獲得です。
今はまだ、これらの成果は出ていません。しかし、村を上げて大きな事業を取り組んだことは私たちに自信を与えてくれました。それは、太陽光発電設備を設置して知ったのですが、この取り組みが地縁団体(自治会)として全国で初めてだったそうです。そのため、さまざまなメディアに取り上げられました。テレビでも放映され、ラジオでも流され、新聞雑誌にも取り上げられました。小さな村の大きな決断が、全国に波紋を投げかけたのです。一番驚いたのは、私たちの村のみんなでした。そんなことは何も考えず、ただ組費の軽減をしたい、村を活性化したいそんな思いだけで取り組んだこの事業が、これほど大きな話題になるとは思ってみませんでした。
その後、市内、県内の自治会をはじめ和歌山、三重、滋賀、山梨、などからも問い合わせや視察がありました。個人の方からの問い合わせや視察も後を絶ちません。今でも、議員、大学の教授、エコを考える団体、福祉関係団体などからの問い合わせや視察依頼があります。
これらのことが、あきらめの気持ちから「なにかできる」「なにかやろう」という前向きな気持ちに少なからず私たちを変えてくれました。このことは、本当に嬉しいことです。人々の意識が変わったのです。一番の取り組みの成果は、このことではないかと今考えています。
(3) 何かやろう 太陽の光と蛍の灯り
先に書きましたが「なにかできる」「なにかやろう」という気持ちから、村のみんなにアンケートをしました。まだ集計はできていません。山王が好きですか、どんなことがしたいですか、何があればいいですかなど小学生からお年寄りまで全員のアンケートです。
またこのアンケートとは別に、地形で述べましたが南に竹田川が流れています。太陽光発電設備を設置したその前の川には、夏になると蛍がたくさん飛び交います。「そうだ、ホタル観賞をやろう」「ホタル観賞で地域の交流をやろう」「都会からも来てほしい」そんな話が定例常会の中から出ました。そして、「今年はとりあえず村のみんなでホタルの鑑賞会をやろう」となり若者の参加もある中、鑑賞会をしました。時期的に少し遅かったので、ホタルの数は少なかったです。また源氏蛍と姫蛍の変わる時期でもあり、さみしい灯りでしたが、みんなの顔は生き生きとしていました。
「できること、村の活性化の素材は遠くにあるのではない、私たちの日常の生活、周りにあるのだ」そんな思いを強くしました。
(4) 村の見直し
「村の活性化は、村の生活、自然、環境の中にある」私たちは、もう一度私たちの住んでいる地域の見直しから始めることにしました。その最初が、先にあげたアンケートです。まだ、どうすればいいかなんて結論は出ていません。ひょっとしたら結論なんて出ないかもしれません。しかし、私たちの村を見直すこと、そして知ることが活性化の第一歩であると同時に、まず歩き出すことだと気づきました。 |