① 対馬市誕生
対馬市は2004年3月1日に対馬の6町(厳原町、美津島町、豊玉町、峰町、上県町、上対馬町)がひとつになって誕生しました。対馬は島全体がひとつになって新しい都市づくりをめざしています。
② 対馬市の将来像
対馬は、古代から大陸との交流の窓口としての役割を果たしており、いわば島全体が、日本との大陸を結ぶ「海の道」に位置していると言えます。
21世紀国際社会の中で、対馬市が自立し、発展していくためには、このような地理的、歴史的条件を活かし、東アジアと日本を結ぶ拠点都市として、広域的な交流を促進していくことが必要です。
対馬市は、山と海に抱かれ、豊かで多彩な自然環境に恵まれた島です。
人々は、その中で育まれ、海や山の幸によって恩恵を受けており、このような自然との結びつきは、21世紀社会においても新市発展の重要な要素と考えます。
若年層の流出が進むなか、若者の定住を促すためには、誇りと愛郷心を持つ事が出来る環境づくりと、生活を支える地域の産業育成が必要不可欠であり、豊かな自然の恵みを活かした新たな産業づくり、快適で安心して暮らすことができる生活環境づくりの推進は、大変重要な課題です。
対馬市は、国境、辺境であるがゆえの優位性や、個性ある地域資源を再評価しながら、次世代を支える人々の自由な発想と創造力を培い、そこから新しい文化や産業を開拓していく、「ニューフロンティア・アイランド」としての都市づくりをめざしていくものであります。
(2) 策定に向けた社会情勢・目的等
① 対馬市を取り巻く環境
対馬市は、2008年3月に対馬市市民協働推進指針を策定し、2008年度から市民協働に向けた施策として、ほぼ全ての職員が関与する地域担当職員制度「地域マネージャー制度」等により、市民協働に対する意識も着実に芽生えてきております。
また、国の動きとして、地域のことは地域に住む住民が決める「地域主権」を早期に確立する観点から、補助金の一括交付金化、基礎自治体への権限移譲等の具体策が講じられてきており、本市においても地域の実情に応じた迅速な行政サービスを図っていく必要があり、また、行政運営への自主性や主体性が強く求められております。
② 条例策定の目的
①で述べた対馬市を取り巻く環境に対応していくため、今後、更なる市民協働の推進と市民主体のまちづくりを確立していくため、市民、議会、行政のそれぞれの役割や責務を明確にするとともに、これまで以上に市民が市政に関わる新たな仕組みづくりとしてこの条例を策定しております。
③ 対馬市における条例策定の理由
対馬市は、これまで豊かな自然の恵みを受けながら、多くの人達が関わってまちづくりを進めてきましたが、対馬市を取り巻く環境はめまぐるしく変化してきています。そのようなことから、あらためて対馬市のこれからのまちづくりの進め方を決め、地域全体で確認し、推進していこうというのがこの条例の一番大きな理由です。
2. 対馬市市民基本条例策定経過
(1) (仮称)対馬市市民基本条例検討委員会の検討経過等
① (仮称)対馬市市民基本条例検討委員会の設置
2010年8月、対馬市市民基本条例内容を検討するため、(仮称)対馬市市民基本条例検討委員会を20人の構成で立ち上げました。委員構成は、学識経験者1人、市民代表14人、公募委員3人、市職員2人の構成となっており、下部検討組織として、市役所職員の構成によるワーキング部会を設置しております。
対馬市の条例策定は、市の方で策定し議会に上程するのが通常であり、市民とともに作り上げるこの条例策定の取り組みは、対馬市で初めてであり、市民により身近に感じてもらうこと、市民全体で条例を作っていくことを考えれば対馬市として新たな取り組みであったことは間違いありません。
② (仮称)対馬市市民基本条例検討委員会の検討経過
(仮称)対馬市市民基本条例検討委員会は10回の検討委員会を重ねて条例(案)の提言に向けた取り組みを行いましたが、その中に市民アンケートの実施やまちづくりにおけるワークショップ、地域との意見交換を実施しております。【(仮称)対馬市市民基本条例検討委員会の検討経過については、資料1のとおりです。】
ア 市民アンケートの実施
市民アンケートの実施については、条例における将来の対馬市の方向性と対馬市のまちづくりに向けた市民の役割等についての市民アンケートを実施し、条例策定の基礎材料としております。まず、「これからの対馬のために大切にしたいことは、どんなことだと思いますか。」の問いは、アンケート回答数の約7割が、「自然環境を守っていくこと。」、「第1次産業の振興」をあげており、これまで守られてきた自然環境の保持とそれを活用した雇用の場の確保を市民が望んでいることが伺えます。
イ ワークショップ
ワークショップについては、女性及び青年を主体として、「市民が主役となるために自分自身に何が必要でしょうか。」をテーマとして、意見交換を実施しております。主な意見として「地域の取り組みに積極的に参画していく。」や「自分に出来ることを1つでもみつけて対馬の為に何かに取り組む。」など、市民として何らかの動きを取り組みたいなどの意見が出されております。これは、市民協働の推進が若干ではあるが市民に浸透している動きであり、重要な条例の位置づけとして役立てられる。
ウ 市民等との意見交換
(仮称)対馬市市民基本条例検討委員会で検討した「条例提言案」を題材に、対馬市6箇所(旧町単位)で意見交換会を実施しております。市民からの意見の中には、「なぜ、このような条例が必要か」や「これ以上市民に義務や負荷をかけるのか」といったようなこれからの課題となるべき意見も出されたが、この条例を作ることによって市民への市政への参加が促進されるなどの前向きな意見も寄せられ、非常に効果のあった意見交換会であった。 |