【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第8分科会 都市(まち)と地方の再生とまちづくり |
地方におけるまちづくりでは、住民を主体とした活動の果たす役割は非常に大きいと考えられ、行政は住民を巻き込んだまちづくりの本質を理解し、有効に活用していく必要がある。そこで住民参加によってつくられた湧水めだか公園を対象に、住民参加が及ぼした影響をワークショップ参加者へのアンケート調査及び公園利用者へのヒアリング調査から明らかにし、行政に求められるまちづくりへの取り組みについて考察する。 |
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1. はじめに 近年、住民参加はまちづくり手法としてあらゆる場面で一般的に用いられ、実践的な事例報告も数多く挙げられている。しかし、住民に対して一方的に説明を行うだけの、所謂形骸化した住民参加も見受けられる。地方財政の厳しい状況が続く中、今後の地方におけるまちづくりでは、住民を主体とした活動の果たす役割は非常に大きい。行政は住民を巻き込んだまちづくりの本質を理解し、有効に活用していく必要がある。 2. 湧水めだか公園整備の概要 (1) 公園整備計画の概要 (2) 千怒小学校によるめだか保護活動 |
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3. デザインプロセス (1) 参加による設計プロセス |
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(2) 湧水めだか公園のデザイン的特徴
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4. 地域住民の公園に対する意識調査 地域住民が湧水めだか公園に対してどのような意識を持っているか把握するため、2010年10月にアンケート調査及びヒアリング調査を行なった。 (1) WS参加児童に対するアンケート調査
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表-1 WS参加児童の公園に対する意識
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(2) 公園利用者に対するヒアリング調査
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表-2
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5. 千怒小学校による継続的な活動 湧水めだか公園完成後も、千怒小学校では毎年5年生がめだかの学習を継続して行っている。2010年度は児童らが湧水めだか公園を訪れ、公園整備の経緯について区長から説明を受けた。説明を受けて湧水めだか公園で遊ぶ際の注意事項をイラストにし、各学年の教室で注意を呼びかけた(写真-15)。2011年度にはWS時の校長や担任が異動となり継続的な活動が懸念されていたが、市役所及び区長らにより昨年同様、経緯説明が行われ、年間を通した総合的な学習の中でめだかの学習を行っていく予定である(写真-16)。経緯説明を受けた児童らは、先輩達によるめだか保護活動やWSについて知ることで、「公園を大切にしたい」、「めだかを守りたい」と感想を口にしている。 |
6. 住民参加による影響と効果 湧水めだか公園整備における住民参加では、「公園やめだかを守っていきたい」、「公園のことが気になる」という意見や、「ごみ拾いや芝生の様子を見に来ている」という行動から自身が関わってつくられた空間に対して、愛着を抱き、空間の質を保とうとする意識が窺える。また、千怒小学校児童らがめだかを守ってきた経緯を踏まえ、児童らをWSの中心に据えてプログラムを組んだことや普段関わることの少ない大学教授や学生を取り込んだことでWSに対する印象をより強く植えつけることができた。さらに芝張り作業を経験したことが「自分たちの公園だ」という意識を高めたといえ、今回のWS過程が公園を守ろうとする意識や行動、周辺地域への意識向上に影響を及ぼしていることが示された。 |