(2) 事業を行うまでの経緯
県からこの事業の提示があった際に、地域の農業の担い手・後継者不足解消を目的に就農者の人材確保・育成をし、就農に必要な技術・知識を実践の中で習得させて即戦力となる後継者を育てることができればと考え、農業後継者育成事業を始めた。
事業の説明会に関しては49農家が出席し、うち27農家から受け入れ希望として申し込みがあった。指導農業士や経営農業士、認定農業者であること、年間を通しての研修計画を策定することができ実際に研修を行うことができること、研修終了後も継続して雇用できることなどを精査した上で16農家を選定した。委託先の農業者にとっては労働力を確保できるメリットがあるため、希望する農業者は多い。
(3) 事業の状況
2010年度は18人の応募で研修生10人、2011年度は35人の応募で研修生26人であるが、途中で9人が研修をやめているため、2年間で27人が研修を終えている。年齢は22歳から63歳までと幅広く、女性も3人いた。2012年度も49人の応募で17歳から54歳までの20人が研修を受けている。
研修内容は、県内外への実践的な研修に行き、土や肥料・農業簿記など様々な分野を学び独立経営できるよう研修を受けている。また、ハウス栽培や雪下キャベツ・うどなど冬期間も作業のある農家を選考の段階で選定しているため、年間を通して作業はある。
緊急雇用対策という性質もあり、とりあえず一定の収入を得ようという方もいたようだが、研修終了後も農業生産法人等の社員として働いたりして、農業に従事している人が1/3以上の14人いる。自分で農業経営するという人はいなくて農業経営の厳しさも見受けられるが、農業を一つの就職先と捉えて12人の方が社員として継続して農業に従事している。
(4) アンケート結果
市農林課では2012年8月10日に開いた研修生と委託先農業者の合同研修会の際にアンケート調査を実施し、参加した研修生18人全員が回答した。研修終了後の予定については農業以外への就職を希望するとしたのは1人であり、「独立して経営」→4人、「親元で就農」→3人、「農業法人に就職」→6人、「研修を継続」→4人と農業に従事したいという意向を示している。
(5) 今後の見通し
2010年度、2011年度の研修後の状況と今回のアンケート結果からも今回のこの事業が就農者の確保に一定の成果があったと思われる。農業者確保という観点で委託先農業者からの要望もあることから、県の基金を活用しての事業は2012年度で終了するので、資金面では十分とは言えないかもしれないが、来年度以降も新規就農者の確保に向けて取り組んでいきたいと考えているようだ。 |