【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第10分科会 「地域力」「現場力」アップにむけた学び合い |
昨年3月に起きた東日本大震災、東京電力福島第一原発事故によって大量の放射性物質が大気中に放出され、福島市も土壌等が広く汚染されました。市では安心して暮らせる郷土を取り戻すため「福島市ふるさと除染計画」を策定し、現在、行政と市民との協働で放射性物質の除去(除染)を進めています。計画の基本的な考え方や除染の進め方の概要や特徴を記載するとともに、その中での福島市職労の取り組みについて報告します。 |
|
2. 「福島市ふるさと除染計画」の概要
(1) 除染の基本的な考え方
(2) 除染の流れと地域の除染の取り組みについて
除染の実施にあたっては、住民説明会の実施など、当事者である住民の理解と協力を得ながら進めています(表2-1参照)。 【表2-1 除染の流れ】
福島市では従来から「市民との協働」によるまちづくりを進めてきました。市には872の町内会が組織されています。また、町内会をはじめとする地域の各団体の代表者や知識経験者によって構成されている「自治振興協議会」が各地区にあり、市民の意見を市に伝え市政に反映させています。
(3) 福島市職労の取り組み ・測定日:2012年7月4日(水)~7月5日(木) ・天 候:晴れ ・測定地:福島市南向台(渡利地区) ・結果と考察 今回の測定の結果、作業者1~4が曝露した粉塵濃度は0.0~0.92mg/m3であり、ガイドラインで定められた高濃度粉塵作業(10mg/m3)ではなく、粉塵への曝露について注意を要するような状況は見当たりませんでした。作業別では、表土剥ぎや落ち葉の収集作業が比較的高い濃度が検出されたが、作業者はマスクを着用していることから作業者の安全は確保されていると考えられます。屋根の高圧洗浄作業は、ほとんど粉塵粒子は捕集されませんでした。 また、環境中の平均粉塵濃度は午前が0.092mg/m3、午後が0.054mg/m3で、作業者が曝露する粉塵濃度よりもさらに低いことが確認されました。これは土壌粒子の大きさが比較的粗大なものが多いために飛散距離が小さいことや、季節的な要因で土壌粒子に含まれる水分が比較的高いことなどが理由として考えられます。 市職労では、今回の調査結果を当局に提供しました。当局ではこのデータを住民説明会で使用し、住民の不安払拭に貢献しました。 |
3. 福島市の除染の進捗状況について
住宅地では、大波地区の除染がすでに終了し、現在(2012年7月時点)、渡利、東部地区で除染作業が進められています(表3-1参照)。除染の効果については項目別や高さで異なりますが、除染前に比べ約2割~6割の放射性物質の減少が確認されました(表3-2参照)。 【表3-1 住宅地の除染の進捗率】
【表3-2 大波地区の除染の効果】
単位:マイクロシーベルト/時
【表3-3 公共施設の除染の進捗率】
|
4. おわりに
福島市の除染の特異性として、「住民が暮らしている中で除染を進めなければならない」ということが挙げられます。住宅戸数は膨大な数にのぼりますし、また、工場が稼働し、店舗が運営され、農業も営まれるなど経済活動も行われています。1986年に発生した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、本格的な除染は行われませんでした。また、警戒区域に指定されている福島県内の双葉町や浪江町等は住民が町外に避難しており、国直轄で除染が行われることになっています。 |