八幡市職労現業評議会は、清掃職場環境事務所分会、学校調理・庁務職場学校分会、保育所調理職場保育所分会の現業職員で結成しています。現在の組合員は62人です。
1. 現評結成以前の各現業職場や各分会の状況
清掃職場・環境事務所においては、収集業務を2010年まで直営体制で行っていましたが、正規職員の退職補充をアルバイトや派遣会社からの派遣社員で補う時期が続きました。中には10年近くアルバイト雇用の者もいます。2001年には、当局から収集業務一部民間委託の提案申し入れがありました。
環境事務所分会は、十数年間活動停止の状態で、執行委員も出さず、分会組織すら構成できない状態で組合に関しても全く関心や意識がない状況でした。
学校職場においては、直営ですが正職調理員も複数校から単独校になり嘱託職員が増え、庁務員も各校正職一人の体制もくずれて嘱託職員が配置となりました。
庁務員は一人職場の事もあって職員で集まる事もまったくなく、職場要求も出さずにいました。学校分会は、執行委員も分会役員もいて、また府本部現評も知っていましたが動員に参加するだけで、現場職員と連携がとれず何の危機感もありませんでした。
保育所職場においては、調理員と保育士と共に分会活動し、担当部と交渉も行っていましたが職員の立場や労働条件等が異なり、踏み込んだ交渉はできませんでした。
そして2007年に保育所一園が民営化されました。
このように、どの現業職場においても十数年以上、正規職員の採用はなく退職者の補充は、嘱託職員やアルバイトの補充でしたが、職員には危機感や意識がなく流れいくまま過ごしていました。
2. 現評結成のきっかけ
2008年に現評を結成したのですが、その4年前の2004年4月に、当局から、環境事務所に収集車3台(計9人)の減車を提案されました。このような状態でも環境事務所の多くの仲間は、自分達の状況を正しく認識できず、どうしたらいいかわからずにいました。すでに退職された先輩職員が、このままでは、マズイという危機感をもち、一部の清掃職員が中心になって話し合いを行い、市職労へ相談することを決めました。現在の市職労山本委員長が環境事務所の執行委員になり、その力添えで十数年ぶりに環境事務所分会を再結成しました。そして当局と交渉を行った結果、収集車1台の減車でくい止めました。その後も当局から収集業務民間委託導入提案があり、労働条件が悪くなりどんどん悪化する一方でした。
分会再結成後は、職員の意識や温度差がかなりありましたが、年代別に話し合いを何度も何度も行い、服務と作業内容を徹底的に見直し、職場改善に向けて職員で意見を出し合い職場要求をしていき、さらに市民サービスとして職員提案で「カラスよけネットの後始末」を実施し、作業工程に入れました。(写真1)
毎年、要求書を提出し、担当部と交渉実施していきました。しかし、人員要求についての交渉は、厳しい状況のまま、決定権のある総務部とは、分会で直接交渉はできませんでした。
この頃、学校分会や保育所分会でも危機感を感じ、自分達の職場を守るため、学校調理職場では、職員自らの発想提案で子どもたちに食育を通じて、地産地消で八幡市で採れた食材を給食に取り入れました。子どもへの声かけ、ポスター作り、食材クイズを作り子どもたちと一緒に行っていきました。(写真2)
保育所調理職場も、食物アレルギーをもつ園児に対して、除去給食、代替え給食を別に作り提供、保護者に対しても給食だよりをだし、料理のレシピ紹介や給食試食会、離乳参観や展示、保護者向けの学習会等の取り組みを行っていました。(写真3)
しかし各分会による交渉では、人員要求はまったく通らず、分会レベルでは限界を感じていました。ちょうどその頃に、環境事務所分会の方から、現業評議会立ち上げの提案がありました。
3. 現業評議会結成へ向けて
2008年7月に、府本部現業評議会の協力で、現評学習会を現業職員で実施、7月・8月・9月には、各現業の分会から代表が集まり、現評結成に向けて現評結成準備会議を行い、八幡市の現業職場を守るため一致団結し、2008年9月25日、八幡市職労の念願であった現業評議会が、府本部や府本部前現評中村議長、各単組の現業仲間の協力をえて結成しました。(写真4)
4. 現業結成後の取り組み
各分会から役員を選出し、月1回定例で幹事会を実施、府本部現評の活動にも積極的に参加し、10月の現業公企統一闘争期には、単組で決起集会を行い現評で市長・教育長に要求書を提出しました。それぞれの分会を中心に、各部ごとに交渉を行い、現場での状況や正規職員の必要性を当局に主張していきました。
学校・保育所の現場には、担当部課長が視察し、子どもたちに作っている給食を試食する等、現場に目を向けるようになっていきました。
環境事務所においても、交渉を重ねて収集車の減車を食い止め、労働者派遣法の違法性を追求して、派遣職員8人を嘱託雇用に切り替えたりと、現業職場全体が少しずつ改善に向かっていきました。
2008年12月には、現評と教育長で学校調理員の定数について覚書を締結しました。また現評では、学習会や地元組織解放同盟六区支部と意見交換会を実施していきました。
5. 結成から現在までの状況
ここ数年で、国や世間から公務員に対する厳しい目が向けられ、とくに現業にはさらに厳しい状況になっていき、八幡市においても現業職場の退職者不補充は続いており、国の動向、財政難、近隣市町村の状況等から、市当局は再度収集業務の民間委託の方針を打ち出してきました。
この間、我々も何度も交渉・協議を行い、収集業務の直営堅持をしてきましたが、退職者不補充、人員削減等から今後の方向性が見えず、ごみ収集業務のあり方について2010年に組合・現評・市当局で「八幡市ごみ収集業務あり方検討委員会」を設立し、市当局は50%民間委託案を提示しましたが、2011年に収集車1台、2012年に収集車3台の委託導入で食い止めました。今後のあり方、定数については組合・現評・市当局で協議をしていく事で覚書を交わしました。
6. 念願の現業職員採用勝ち取る
八幡市の現業職場は、長年正規職員の不補充がつづいており、現業職場全体が高齢化しています。
こうしたなか、現評では、何度も交渉を重ね毎年人員要求を行いました。そして昨年2011年、保育所調理職場に17年ぶりに現業正規職員2人を勝ち取る事ができました。さらに今年2012年4月には、12年ぶりに清掃職場2人、21年ぶりに学校調理職場3人、保育所調理職場1人、計6人の現業正規職員の採用を勝ち取る事ができました。
現評結成から4年の間、何度も何度も現業職場への正規職員を要求し、執行部と共にたたかいを行ってきた結果だと思います。厳しい状況のなかにおいても、我々の思いを主張し、何度も折れそうになりましたが、府本部現評や各単組の仲間の協力が原動力となって、ねばり強いたたかいをしていけば必ず成果は、あると実感しました。
当局が、現業正規職員の採用を再開した背景には、現業職員の市民サービスを認めたこともあげられます。清掃職場では、職員提案による「カラスよけネットの後始末」の実施、学校給食職場では、職員提案による「子どもたちに食育を通じた給食作り」の実施、保育所調理職場では、「食物アレルギー除去給食、給食だよりの発行、保護者向けの学習会」の実施など、それぞれ現業職場で市民のためにできるサービスを考え、サービスを実施し、市民に評価されたことが、現業正規職員の採用再開につながりました。どうすれば正規職員を勝ち取れるのか、今後の取り組みに一筋の光が見えました。
7. 今後の課題
これからさらに現業職場に対しては、ますます厳しい状況となっていきます。
現在、八幡市では、退職手当債借入等から現業職員給料表見直し提案の申し出があり、市当局と交渉を行っています。今後、我々の労働条件や賃金を守る為にも、さらなる組合運動とたたかいを展開していきます。
また組織強化として新規採用された若い現業職員の役員育成に向けて学習会等を実施します。(写真5)
そして、市民サービスの向上として、組合・市当局・市民とが協力し、地域住民に向けた新たな市民サービスの取り組みを現場から発進していきたいと思っています。市民に必要とされる現業職場であれば、当局は切り捨てられないと信じています。
現業評議会を結成して今年で5年目になります。現評立ち上げは、当局とたたかうための組織でもありますが、市民サービスでは、当局と協力する組織だとおもいます。
これからも、今まで以上に、自分たちの意見を主張し、現場から声をあげ、八幡市を住みよい街にしていくよう頑張って行きたいとおもいます。 |