2. 市民協働推進会議
(1) 現状分析
今、地域では、少子高齢化、過疎化の進行による地域活力の低下、景気低迷による経済、雇用・就労対策、環境問題への対応など、様々な緊急課題が山積しております。また、市民生活全般にわたり、ニーズが多様化していることや、国、地方を通じた財政状況の悪化からも、これまでのようにあらゆる公共サービスを行政が提供し続けていくことは困難な状況になっています。
(2) 対 策
こうした中で、将来に亘って安心、安全な地域での暮らしを実現していくためには、このまちに暮らし、活動する市民、自治会組織、NPO、企業等の皆様に、まちづくりに主体的に参加していただき、お互いが役割と責任を分かち合い、支え補い合う「市民協働」の仕組みづくりが必要ではないかと考えたところです。
(3) 2009年度取り組み
そういったことから、2009年度より、市民協働の考えを深めていこうと、市の方で取り組みを始めてきました。2009年度は『市民協働まちづくり研修会』として、公募市民30人と、市職員12人が参加し、三和、大江、夜久野や、旧市街などでまちの魅力を発見するために「まちあるき」し、地域資源の「あるものさがし」を行いました。
(4) 2010年度取り組み
2010年度には、『市民協働まちづくり検討会』として、公募市民25人と市職員17人が参加し、シンポジウムやグループで討論し、「市民協働まちづくりに向けた提言」をまとめ、市長に手渡しました。
(5) 2011年度取り組み
そして、昨年度は、この市民協働推進会議を、20人の委員、4人のファシリテーターのもとで5回開催され、またグループでも13回にわたって議論し、3月には市長への報告も行いました。
市長報告では、まちのルールとなる条例の必要性や地域の仕組みづくりについて、地域の実情などもふまえて、検討したことを発表いたしました。
(6) 2012年度取り組み
2年任期の2年目となる今年度については、議論をさらに深めることや、市全体へと広げていくことも含めて活動するとして、市内各種団体からのまちづくりについてのヒアリングの実施、さらに、市域を9ブロックに分けて(中学校、地域公民館区域)自治会等へ意見交換会の開催に取り組んでいるところです。
取り組み4年目の今年度は、(仮称)自治基本条例の素案策定、地域における協働のあり方を取りまとめる予定です。
3. 市民協働
市全体へは、このように市民委員による市民協働推進会議の取り組みを進めているところですが、庁内での協働意識の広がりを行うため、そして、職員が市民との協働を行うために必要と判断したため、協働と人権というワークを作成し、各課で実践しています。
本日は、そのワークをご紹介いたします。
4. 協働と人権
(1) 協働と人権 ワーク
■第2次福知山市人権施策推進計画~いのち 輝き ゆめプラン~の基本施策の中に、「市民との協働と支援を図る施策の推進」が掲げてあります。
行政のみで人権問題の解決への取り組みを進めるのではなく、市民、NPO、企業、各種団体などの参画をとおして推進していくことをめざしていく、としています。
■ここでは、協働を進める上で、普段の業務の中での「気付き」を感じ取るためのワークを行いたいと思います。
■なお、協働については、人権施策推進計画だけでなく、市全体の計画である総合計画をはじめとする、各種計画にも謳われており、現在策定を検討している自治基本条例においても市民との協働が市政の原則となることを書き込む予定としています。
■市民協働における人権の大切さについて話し合ってみましょう
<参考資料>(資料説明 10分)
・自治基本条例とは
・市民協働とは
・自治基本条例と人権 イメージ図
・市民協働推進会議について
(2) ワーク1 【市民から要望があった場面では】
■市民の方と職員として対応する時、相手の立場に立って話をしていますか?
相手の立場に立つってどういうことでしょう。
次の事例から感じたことを話し合ってみてください。
(4人程度のグループを作っておいてください。)
市民「すいません、地域での清掃作業が、高齢者ばかりになってできないので、市でしていただきたいんですが」
職員「市では、そこだけということができないんです。」
市民「でも、実際にできないので、何とかならないんでしょうか?」
職員「○○○○」
■1 ○○○○の対応を考えてみてください。
(1)あなただったらどう答えますか?(個人作業 5分)
(2)グループで意見交換をしてください。(意見交換 10分)
2 対策としてできることを考えてみてください。
(1)「自助・共助・公助」の視点で考えてみる(個人作業 5分)
「自助・共助・公助」について別紙で説明、ワークシートに記入
(2)グループで意見交換をしてください。(意見交換 10分)
(3)出た答え方を発表しあってください。(全体 10分)
ポイント ・自助の視点 家族で助け合う方法
・共助の視点 ボランティア団体、NPO団体
地元の企業にお願いしてみる
近い自治会と共同で作業できないか
・公助の視点 公費での委託など
■【説明】(3分)
① 話をしっかり聴く
○今回のワークのポイントは、まず市民のニーズは何かを捉えること。
○この市民は、どこまで「自助・共助・公助」を活用されたか確認する必要がある。
○そのためには、しっかりこの市民の話を聞くことが必要。
○職員は、どなたの意見も聞く。
○どんな立場で、どんなニーズがあるのか。
○その人がどういう立場で何を困っているのか、何をしてほしいのかをしっかりと聴くためには、人権感覚が必要となる。
② 人権感覚が必要
○しっかり話を、否定せずに聞くことは人権の基本となる。
しっかり聴くということは相手を受け入れること、認めること、大切にすることにつながる。尊重、受容、好意的な関心の態度を示すことが必要。
○しっかりと話を聴いたうえで、市のできることできないことを判断することが大切。
○できないことを説明するには、ここまではできるが、ここからはできないということをしっかりお互いが理解し共通認識をもつ必要がある。
○こういったことが協働。
③ 協働の理解
○市のできることできないことを確認するためには、他の部署へ、気軽に確認できる仕組みと雰囲気が欠かせない。
○市民からの問合せに、すべて1人で答えることは不可能。
他の部署と連携してあたることが当然の意識が、市全体に必要。
○人権感覚と、協働の理念を全職員が理解することが必要。
○市民の側にも、市民と行政の役割分担についての理解が必要。
④ 自治基本条例
○そのためのルールが(仮称)自治基本条例となる。
○職員同士「お互いさま」WINWINの関係で、楽しく仕事を進めていくことが可能となる。
■ふりかえり(5分)
グループで1人ずつ感想を言い合う
(3) ワーク2 【それぞれの業務と協働】
■課の仕事の中で、市民等の協力が得られるとスムーズに進むと思われることについて考えてみる。
【説明】(3分)
○前段での説明の通り、今後の市政において、協働による業務を進めていくことは非常に重要となっていきます。
○しかし、協働についての連携先については、まだ十分市民も行政も把握理解していない状況にあるのではないでしょうか。
○該当するテーマのボランティア団体、NPOの把握だけでなく、あらゆる既存団体について協働先の可能性を考えていく必要があります。
○消防団が防災だけでなく、地域づくりまちづくりを担っている現状があったり、企業によるCSRの推進に伴う、ボランティア的な活動など、いろんなところで、いろんな活動をしているということを認識し、そういった活動についての充分な調査検討が必要と言えます。
○そこで、まず、各課の業務について、協働で行えるものの把握をしていくため、ワークをしていきたいと思います。
■1 あなたの仕事で、共助で担っているもの、担える可能性のあるものを考えてみてください。(事務分担表などを活用する。)
(1)現在担っているもの、担える可能性のあるものを考えてみてください。
担えないものを書き出してください。(個人作業 5分)
(2)隣の方と意見交換をしてください。(意見交換 5分)
2 共助として担うために、できることを考えてみてください。
(1)1で出た内容について「自助・共助・公助」の視点で考える。(個人作業 10分)
「自助・共助・公助」について別紙で説明、ワークシートに記入
(2)隣の方と意見交換をしてください。(意見交換 10分)
(3)出た意見を発表しあってください。(全体 15分)
・こういう部分が足りないのでは、こういう所をもっと広げていける、などの意見交換ができれば、このワークにより、課の仕事の情報共有にもなる。
■【説明】(10分)
○市長訓示より
①トライの姿勢:「できません」ではなく「やってみます」と前向きに考えること。
②アクティブ:「知らない」ではなく「調べてみます」の姿勢。他課に問い合わせるなど一緒に考えること。
③シンキング:「考えてみます」市民と共に歩むという姿勢を。
各課で色々と課題があると思うが、市民の立場にたって取り組んでほしい。
・できない理由を考えている職員が多いようだ。どうすれば解決できるかという前向きの姿勢で取り組んでほしい。
【ワーク1、ワーク2、資料の説明をもう一度行う。】
○市民との協働には、対話が重要であり、市民と、他の職場とのコミュニケーションが不可欠。
○そして、共助の先(ステークホルダー 利害関係者)は一つではないということ。
多数の共助が重ならないと、一点だけで、結局そこもつぶれてしまうことになる。
○多数のステークホルダーを持つには、他の職場、地域参加、など常に情報を取り入れなければ業務を遂行できないという意識が必要であり、他課、市民とのふだんからのコミュニケーションが非常に重要となってきます。
○「お互いさま」WINWINの関係性をもつには、人権感覚が不可欠。
○そのために、人権推進室ではさまざまな研修メニューを用意しています。
○コミュニケーション、アサーション、ファシリテーション、聴くワーク、パワハラ、セクハラ、などなど、是非各種研修にも参加してください。
○資料、ワーク等、人権推進室にありますので、活用ください。
■ふりかえり(5分)
グループで1人ずつ感想を言い合う
※ワーク2は1回のワークでは時間がないので、2回以上の研修時用です。
5. 終わりに
今回、ご紹介したワークは、庁内の市民協働プロジェクトチーム及び、人権推進人権推進室の協力のもと作成いたしました。現在、各市町村において、市民協働について各種施策を展開されているところですが、福知山市ではまだまだ、十分な認知、広がりがあるとは言えません。
先進的な取り組み、各種成功例、失敗例などお教えいただければ、ありがたいと考えております。
お願いと不十分な説明をお詫びいたしまして、今回の報告とさせていただきます。
ありがとうございました。 |