【自主レポート】

第34回兵庫自治研集会
第10分科会 「地域力」「現場力」アップにむけた学び合い

 ご当地グルメブームの火付け役である、B級ご当地グルメの祭典 B-1グランプリin姫路。姫路では第6回の大会を開催し、2日間で、51万5千人という開催史上最多の来場者数を記録した。
 今回はこのような大規模イベントを実施する上で、有効的であった方策について報告したい。



第6回B級ご当地グルメの祭典
B-1グランプリin姫路
大規模イベントの円滑な運営について

兵庫県本部/姫路市職員組合・観光交流推進室 鈴木 孝典

1. はじめに

 近年、ご当地グルメを使ったまちおこしが全国各地で行われている。地元で当たり前のように食べられていたものが、実は他の地域では食べられない独自のものであり、小規模なまちでも多くの観光客を呼び込むことのできる観光資源となる。
 そのような考え方で、地域に眠るご当地グルメであり、安くてうまく、地元で愛されているものを「B級ご当地グルメ」と定義し、それを活かしてまちおこしを行う団体で結成する「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」通称【愛Bリーグ】が、各まちおこし団体のお披露目の場として、いち早くB-1グランプリを開催している。
 開催当初は、数万人が集まる程度のイベントであったが、各まちおこし団体の熱心な取り組みと、各地域のB級ご当地グルメのユニークな背景にマスコミが興味を持ち、前大会の開催された、神奈川県厚木市においては、2日間で41万5千人もの来場者を記録するような、大規模なイベントへと成長することとなった。
 多くの来場者を記録し、マスコミからの注目度も飛躍的に高まったB-1グランプリにおいては、多くの来場者を気持ちよく受け入れるための、おもてなしの心を持った対応が必要になる。
 姫路市では、B-1グランプリを近畿・中国・四国支部の大会(2日間開催で18万5千人の来場者数)、全国大会にあたる本大会と1年間に二度のB-1グランプリを開催した。
 その中で、支部大会を経験し、問題点等を改善することで、51万5千人もの来場者を記録し無事に事故等なく成功裏に終了することができた。
 今回のB-1グランプリのような大規模イベントを実施する上で効果的であった取り組みについて紹介したい。

図1 姫路大会 会場図

2. 運営の改善点について

(1) チケットの通信販売の実施・及び告知方法
 B-1グランプリは、屋外で行うイベントであり、料理を購入する際には、より効率的な専用のチケットを使って、料理を購入する方法を採用している。また、前述のとおり多くの来場者が訪れるイベントであり、市内外からの来場者が訪れる。
 支部大会においては、チケットの販売ブースが混雑し、チケットの購入だけで、1時間以上の行列ができてしまった。
 これは、チケットでないと購入出来ないという告知の不足、及びチケットの事前購入が市内のみでしかできなかったためである。
 そのため、11月に行われた本大会では、フェイスブック、ツイッターなどの新たなツールや、公式ホームページを活用し、料理の購入の際にはイベントチケットが必要であることの告知、イベントチケットの前売り場所の情報(市内146箇所で販売)、また、通信販売の実施を告知した。その結果、前売りチケットの冊数が、全体の51%になり(通信販売も全体の2.4%)、当日のイベントチケット販売ブースをスムーズに運営することができた。
 イベントチケットの通信販売には、専用の受付フォームより受付する方法をとり、購入者の来場方法を事前に入力してもらうことで、来場者への対策を講じることができ、スムーズな当日の運営につながった。

図2 イベントチケット

(2) テントサインから、色の変更
 次に、テントサインから、テントの色の変更についてである。
 B-1グランプリは多くのテントがあり、イベントチケットの販売場所、ドリンクコーナー、ゴミステーション、その他、多くの出展者のテントがある。
 支部大会では、そのテントの前にテントサインをつけて表示していたが、多くの人が集まり、テントサインが見えなくなり、当日の会場案内を行うスタッフへの質問等が多くなった結果、案内スタッフへの負担も多く、また、誘導業務そのものも行いにくいという状況が生じた。
 そこで、テント自体の色を種類ごとに分けること(EX.イベントチケット販売所⇒赤色、ドリンクブース⇒青色、ゴミステーション⇒黄色)で、遠くからでも来場者にわかりやすく、案内スタッフも誘導の際には、「◯色のテントが◯◯です。」と誘導しやすくなった。



テントの色の変更

(3) 市民参画型ボランティアの構築
 B-1グランプリでは、図1の通り、多数見込まれるお客様を受け入れるため、1つ1つの会場を広く、また分散させることとしたので、多くのスタッフが必要となった。そこで、多くの、個人、団体、企業にボランティアを募り、当日の運営スタッフとして活躍していただいた。
 ボランティア数は2日間で延べ、2,721人の方にご従事いただいた。
 ボランティアスタッフの方にもそれぞれの特色を活かした場所で、従事いただいた。
 例えば、イベントチケット販売ブースの運営は、現金を取り扱うため、金融機関である、信用金庫の方に、ご従事いただき、各会場にある救護所の運営は、医師、看護師による医療スタッフの方に運営していただき、各出展ブースの行列整理、呼び込みには市内の中高生ボランティアにお願いしました。
 また、ボランティアスタッフへの説明会の中での意見の中で、「案内用のマップが必要」という意見をいただき、案内スタッフ用ガイドを作成し、効果的に誘導案内することができました。
 その結果として、来場者アンケートの結果の中でイベントの満足度が(大変満足、満足、普通)を合わせて約90%(支部大会67%)という、行き届いたおもてなしで、全国からの来場者を迎えることができました。
 B-1グランプリの実施後に、ボランティアの意見交換会の中では、中高生のボランティアの方から、「ボランティア活動を初めて取り組んだ」や、「今後社会に出る上で役に立った」などという意見をいただき、団体・企業ボランティアの方からは、「今後とも、ボランティア活動に取り組みたい」というような意見もいただいた。

ボランティアスタッフの様子

3. まとめ

 B-1グランプリは、支部大会で経験した失敗を活かし、1つ1つ問題点を解決したことで、結果として51万5千人の来場者数を記録しながらも、当日のイベントについては、来場者から非常に高い評価が得られたほか、事故のない、円滑なイベント運営を行うことができたと言える。ここで得たノウハウを今後の事業に活かすことが、重要ではないのかと考える。
 また、大規模なイベントを運営するにあたっては、少しの改善でも大きな効果がでるので、少しでも多くの意見を反映させることが重要であり、今回、大規模イベントに従事した職員等のスタッフは、イベントを通じて、互いに意見を出しあうなど、参画意識を共有することができたと考えられる。
 開催後の参加者の表情からは、総じて満足と達成感に満ちた様子を窺うことができ、市民協働参画の成果を感じることができた。