1. はじめに
私たちの取り巻く情勢は、地方行革と地方財政の危機的な状況で、現業職場に対する合理化攻撃がますます激しくなり、特に政令指定都市においては、民間委託を柱とした人件費削減や非正規化が進められています。
昨年の3月11日には、東北地方・東日本の広域にわたる国内観察史上最大の「東日本大震災」が発生し、財政難の日本経済にとって大打撃となりました。
神戸市においては、1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生し、6,434人の尊い命が奪われ、4万人以上の人たちを傷つけ、家・職・安定した生活を奪われ、財政難と一変しました。復興を目指して赤字再建団体にしないという強い思いのもと労使一体となり、努力しながら1996年に「緊急3カ年計画」1999年より「新行政システムの確立に向けて」行財政改革を行いました。
2002年度からは「財政再生緊急宣言」が発表され、人件費について削減提案が打ち出され、又、公務員労働に対して、民間に移行するための法改正や「三位一体改革による地方交付税の削減」「デフレ不況」「地価下落による固定資産税の減収」「扶養費の増大」「公債費の償還」などで、新たに「神戸市行財政改革2015」が発表されて、さらなる民間活用や人員削減を行われ、厳しい現状になっています。
2. 「地域力」「現場力」アップにむけて
教育支部として、地域社会に理解の輪を広めるために自治労方針である「地域生活圏闘争」と捕らえ1988年2月に「地域と共に歩む学校給食」として、65歳以上の一人暮らし高齢者を対象に、給食のない土曜日(月1回)学校施設の中で、学校給食調理士が作った食事を民生委員、地元婦人会、ボランティア等と協力しながら「あじさい給食」と命名して8行政区内19校で実施してまいりました。
年間のべ1万人の高齢者にサービス提供をし、1食費用は500円で、利用者と神戸市で半分ずつの負担として、当時の学校給食調理士全員がローテーションを組んで、高齢者の出欠の確認などを、地域の方々と連絡をとりながら運営してきました。
高齢者社会が増加する中、今後はますます福祉のあり方が問われてくる。「あじさい給食」は地域住民と結びつき、福祉のあるべき姿を描いていくことのできる事業だと思います。
しかしながら、2002年度実施の学校5日制により、あり方の見直しで、学校・地域の要望によって、平日に児童と同じ学校給食を現在7校で実施しています。縮小したものの今後も取り組みを推進していくと共に、各学校では参観日などに給食に関した展示会・交流給食・試食会や、夏休みなどに給食調理の体験会などを行い、「地域における学校給食はどうあるべきか」保護者・教職員・地域住民と積極的な討論を広め、合理化を許さない世論形成をめざしているところです。
又、自治労方針の「現業活性化中期構想」に基づき1994年に職域の拡大・若年層の意識向上に向けた積極的な議論を進め、1997年4月に班長制度を導入してきました。神戸市内300以上の分散職場であることから、2校以上4校未満6~8人の班体制で構成し、2009年度までは管理員(用務員)87班体制で班長68人、班長主任14人、総括班長2人・調理士68班体制の班長37人、班長主任5人で運営してきました。
その後は、政策による人員削減で班員の減少になり班運営が厳しくなり、他部局に比べ班員が少なくて、班も多いとの指摘もあり、安定した班で班活動の強化を考慮し、議論を重ねて2010年4月より、管理員(用務員)60班体制・調理士47班体制に見直し運営を開始しました。
資格基準も同時に見直しを図りました。
① 班 長
・年齢55歳未満 ・本市勤続年数7年以上 ・勤務成績良好、班長として適任
② 班長主任
・年齢50歳以上 ・労務職給料表4級在籍 ・勤務成績優秀、口頭試問
③ 総括主任
・学校教育施設に勤務する班長主任の職にある者
・15年以上の在籍年数(実歴)を有する者
・勤務成績優秀で、所属長の推薦、筆記考査、口頭試問
業務内容については
④ 班 長
班に関する業務の取りまとめ・班作業の実施及び班会議の開催・労働安全対策の周知徹底・非常災害時の対応・班長主任の補佐
⑤ 班長主任
班長会議の開催及び班長間の意見調整・班活動の取りまとめ・労働安全対策の周知徹底
実技研修の企画立案・複数班作業の調整・非常災害の対応・総括班長の補佐
⑥ 総括班長
班作業の計画実施の推進及び体系化(行政区・班単位での作業ニーズの調査・把握)(作業計画の策定)(関係課及び各行政区との業務連絡)(班活動の取りまとめ)
班長主任、班長、班員への助言
その他(安全パトロールの推進)(研修の企画調整)(局間協力の推進)
班長制度の活用は、2カ月に一度の班長主任会議・各行政区の班長会議・班内会議を開催し、班活動報告・班活動計画・労働安全対策・班内コミュニケーションなどを行い、日々の業務期間においても、共同作業(樹木選定・伐採・施設、設備等の修理・作成物)を行い、専門業者で依頼していた仕事も、管理員(用務員)が行う事により、学校職場での予算軽減につなげ、また、三期休業期間には、管理員(用務員)は実技研修・調理士は管理衛生や調理実技研修を行って、資質向上に向けて努力しています。
2004年度に、各地で不審者の学校内侵入や児童が被害を受ける事件が多発し、学校職場での危機管理体制が叫ばれる様になり、学校管理員(用務員)も自発的に教職員の一員と捕らえて、班長制度を活用しながら、班員がローテーションを組んで毎週水曜日に班内校区内において地域安全パトロールを実施しました。初めは2行政区で、その後は全市での取り組みになり、学校・地域・保護者・警察などと連携を取りながら行い、教育委員会と折衝をして「業務の一環」として認めさせてきました。
班長制度の研修で、自分たちで企画立案して警察に協力してもらい、管理員(用務員)が防犯対応する護身術や不審者対応の実践的な研修会や、自転車での事故が増えて居ることを踏まえて、地域安全パトロールの際に、児童たちの自転車事故啓蒙に向け、自転車安全指導の講習を受けて「自転車安全指導員証」を所得などもしています。
又、学校職場は地域の防災拠点であることから、災害時に備えて、簡易的トイレの設置や防災施設(水道関連)について対応できる研修も行っています。
調理士においては、地域性の高い学校での行事(夏祭り)や、神戸祭り・区民祭りで、学校給食の展示・試食会・献立レシピの配布・災害支援の募金活動を行っています。
この様な取り組みで「現場力」を向上し「地域力」を高め今後も、人員削減される中、直営の正規職員で、市民ニーズに対応かつサービス提供を低下させないように取り組んでまいります。 |