【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第11分科会 地域から考える「人権」「平和」 |
自分たちの住む地域の歴史・文化について興味を持っている市民は意外と多い。また、自治体においても市町村誌等で地域の歴史・文化や自然環境についてとりまとめている。しかし活字中心の難解な記述では、多くの市民の知的好奇心を育むには充分な役割を果たしていない。今回は、コンピューターのプレゼン機能で、郷土の歴史を市民に親しみやすく知って頂くツールづくりを企図した。 |
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1. はじめに
連合地協のイベントに参加した際、たまたま地元商工会議所の幹部の方と隣り合わせた。氏は地域の歴史・文化に強い関心を抱いており、また市内の文化財や地域の歴史について驚くほどの知識も有していた。そして氏が語る地域の歴史について、筆者がそのすべてに対し的確なコメントを発していることに彼は驚き、筆者の素性を尋ねてきた。そして、筆者が文化財保護行政を専門として採用された市職員であることを伝えると、氏は筆者に「こんなことはできないだろうか?」と言ってきた。 |
2. 取り組みの目的と取り組みの方法 今回の取り組みの目的は、前述のとおり地域に残された行政文書と言う一次史料を用いて、地域の歴史や当時の社会情勢などがどんなものであったかを、一般市民に興味をもって知ってもらうことである。そしてその方法として、文字での表記でなく、映像や音声によるものとすることである。
そのためには地域で発生した歴史事象や歴史上の人物・文化財・伝承等で、誰もが知っていて、中学の日本史教科書に記載されているような、あるいは様々なメディアを通して広く国民が知っているような歴史事象や人物、あるいは一部民俗学的資料になるが伝説や巷談などに係る物語などがよいと判断した。幸い当市には、この目的を達成するために必要な素材が豊富にある。具体的には、古墳時代前期の前方後円墳で、現在東京国立博物館に中学の教科書に記載されるような出土品が多く収蔵されている稲荷山古墳や、特別史跡「多胡碑」にその名が刻まれている「羊太夫」伝説と関連が深く、6世紀代の前方後円墳としては全国的にも最大規模の七輿山古墳、殉死の風習を改め埴輪を作り始めたと言う物語の主人公「野見宿禰」を祭神とする土師神社や、史跡の「埴輪窯跡」、「永享の乱」や戦国時代の関東における騒乱の舞台となった平井城・金山城、近世では、忠臣蔵の主人公(悪役)として有名な吉良上野介義央出生の物語等である。 |
3. 最後に
我が国は、明治維新以降様々な紆余曲折を経て、一定の地方自治を確立させてきた。こうした中発生した関東大震災に関しては、政府や自治体の対応・被災者の動向、混乱する社会情勢などが、自治体に対し発給された文書に記録されており、特に県・郡などが末端自治体へ発給した文書などの中では、地域の様子が詳細に読み取ることができる。 |