【要請レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第12分科会 被災地における女性への支援と保護~伝えられなかった真実~ |
東日本大震災・福島第一原発事故により、福島県内の住民はもとより自治体・機能までもが避難を余儀なくされた。これほどの規模・期間の避難は、日本の歴史上初めてであり、避難自治体のみならず受け入れ自治体でも混乱を極めた。特に、避難業務時の女性職員の尊厳や母性保護を優先、配慮する余裕もなく、様々な課題や問題が浮き彫りとなった。 |
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年齢は、50代が最も多く、30代、40代、20代と続く。また、市町村合併の影響もあり市役所が最も多く、女性職員が多く働く幼稚園・保育所、特に保育士が多い。 災害対応時の業務におけるパワー・ハラスメント調査では、28.7%の回答があった。また、別項目の避難所運営業務では同程度の率を示しており、多くの職員が業務を経験した。この中で、15.7%の職員がパワー・ハラスメントを受けたと回答し、その相手は避難者が半数近い数値となった。この結果は、本部が調査した心のアンケートの中で避難者からの暴言を受けたとの回答が54%あったことからも見て取れる。年齢階層でみると、30代から50代に均等に分布しており、中堅職員がその対象となったことがわかる。 一方で、セクシャル・ハラスメントの調査ではパワハラの調査以上の回答率があり、76人の職員が受けたと回答している。そして、同様にその相手は避難者が74.0%と過半数を示した。 |
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同心円状に避難区域が拡大され、放射線量を測定する機材や放射能の知識もない中で不安は高まり、さらなる再避難、自主避難する住民が増加した。調査では、約6割の職員が不安項目に健康と回答している。自治体職員は、勤務や業務の関係で自主避難をできない職員も多く、特に子どもを持つ職員は自らの被曝よりも子どもの被曝を不安としている。これは、現在でも継続しており、早期退職の原因にも結びつく。 このような中で、避難から職場復帰した職員と、留まり継続勤務した職員間での感情の対立が顕著となっている。 職場の同僚を思い業務遂行に耐えた職員、家庭の事情で残らざるを得なかった職員、家族や子どもの被曝による健康被害に悩み避難した職員、放射能は地域コミュニティー、職場、家族さえも崩壊させた。 このような場合の子どもや要介護者の受け入れ施設やその解決策として要望する意見も多く寄せられた。 住民の行政や公務員への期待は高まる一方で、公務員の健康や生活は軽視される。健康維持のための諸制度整備は当然ながら、家族的責任のある職員の処遇改善は必要な課題である。 |
これらの解決策は、67.1%の組合員が家族の理解や協力、22.3%の組合員が職場の理解によって解決・解消したと答えている。職場の理解は、勤務のローテション変更や休暇取得などの具体的内容は示されたものの、職場や業務によってバラツキもあった。このため、職員間で、不公平感や不満の高まる原因ともなっている。 |
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避難自治体の職員は避難所での生活も強いられる中、住民優先の衣食住の提供を強いられた。育児のための哺乳ビンや粉ミルク不足、生理用品や衛生用品、下着等は住民に優先された。自治労福島県本部でも可能な限りの支援物資提供を行ったが、避難自治体・組合員数も多く、組合員への支給までには時間を要した。 |
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避難所業務は、避難自治体では職種により二分された。行政職は被害状況と避難者の所在確認・行政機能復旧、行政情報発信等の多種多様な業務、未経験業務を担った。一方、保育士等の専門職が避難所運営を担う傾向にあった。受け入れ自治体は、大半の職員が通常業務に加え、避難所業務を交代で担った。 |
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このことは、自らも被災者でありながら、情報や物資等が不足するなど非常に過酷な状況下で増え続ける避難者への対応に追われ、既存の防災計画では避難者はもとより「支援者(職員等)」に対する配慮が欠けていたことが理由となっている。 今回の経験を活かし、女性の意見や要望を取り入れ、「男女の性差」や「支援者」にも配慮した新たな防災計画や復興計画の策定が望まれる。 |
理由としては、震災・原発事故からの復旧・復興業務が多忙を極める中、避難区域再編や放射能被曝による健康不安等が追い討ちをかけ早期退職やメンタル疾患に繋がっている。 これまで、自治労本部・福島県本部では「こころの相談室」や「自治労顧問医による健康相談」等を実施してきたが、引き続き職員のメンタル対策を強化し、職員が安心して働ける職場作りに取り組みます。 |