【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第13分科会 地域で再生可能な自然エネルギーを考える |
栃木県では、2012年度、県営寺山ダムの省エネ化を民間委託する「ダムESCO(エスコ)事業」に着手した。省エネ型電気設備の導入に加え、ダム放流水で発電した電力を販売し、ダム運営経費を削減するのが狙い。民間事業者が発電設備を設け、事業を通して、費用を回収するため、県の新たな負担は発生しない。ダムへのESCO事業導入は全国初めて。2014年の稼働を見込んでいる。 |
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1. 目的・概要 寺山ダムにおけるダムESCO事業は、県が民間の持つ資金、経営能力等を活用し、民間事業者が寺山ダムに新たに水力発電機を設置して発電を行うとともに、ダム管理所等の電気設備の省エネルギー化を図り電力使用量を削減することにより、ダム管理における環境負荷の低減と光熱費の削減、更に賦存の水エネルギーの有効活用を図ることを目的とした全国初の事業である。 2. 背 景 近年、水力発電設備の低コスト化技術が進むとともに、昨年8月に「再生可能エネルギー特別措置法」が成立(2012年7月1日施行)し、本事業を導入する環境が整った。 3. 事業内容 事業者は、事業開始から終了までの間、省エネルギー化等のノウハウを活かし、事業者自らの資金で水力発電設備を含む設備機器の設計・施工を実施し、その後の運転・維持管理等を行うとともに、省エネルギー効果を保証する。 4. 事業効果 本事業を導入することにより、①ダム管理費の削減(既存設備の更新を含む)、②環境負荷の少ないダムへの移行(施設の省エネルギー化)が期待できるとともに、③事業者との契約終了後は、県に設備が無償譲渡され、水力発電による売電額等や省エネルギー化によるメリットを全てダム管理に享受できる。 5. 契約方式 シェアード・セイビングス契約(民間資金活用型) 6. 契約期間 最長20年間(優先交渉権者の提案による) 7. 事業スケジュール ①事業者の募集開始 2011年12月 8. 資金計画下表のとおり |
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9. 事業イメージ(下図のとおり) |
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10. その他 本事業は、県(河川管理者)がダム(河川管理施設)管理の目的で発電を行うため、ダム使用権等の負担金は発生せず、河川法の手続きも従来のダム管理用発電事業の枠組みを活用できる。なお、ダムESCO事業は、全国初の試みであり、事業スキームの考案から現在までゼロ予算にて取り組んでいるとともに、事業導入に際しても本県にあらたな費用負担は発生しない。 |