【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第13分科会 地域で再生可能な自然エネルギーを考える |
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1. はじめに
山ノ内町は、長野県の北東部、上信越高原国立公園の中心に位置する、四季折々の素晴らしい自然に恵まれた町です。「志賀高原」「北志賀高原」の高原エリアに加え、湯量豊富な温泉地として知られる「湯田中渋温泉郷」エリアを有し、日本を代表する観光地として年間を通じて多くのお客さまをお迎えしています。 こうした中、2011年度を初年度とする第5次山ノ内町総合計画、2010年度からの6年間を計画期間とする過疎地域自立促進計画をそれぞれ策定し、少子化・高齢化社会への対応、地域ブランド力の強化と基幹産業の活性化などをまちづくりの重点課題に掲げ、町の将来像「人と自然を育み、次世代へつなげる温もりのあるまち」実現に向けた諸施策に取り組んでいるところです。 |
2. 取り組みのきっかけと基本理念
まず、2009年度に、地域内の自然エネルギー賦存量や利用可能量の調査・把握、地域に適した導入推進プロジェクトの検討・具体化などを目的として、「山ノ内町地域新エネルギービジョン(初期ビジョン)」の策定に取り組みました。初期ビジョン策定にあたっては、信州大学工学部から学識経験者として2人の先生方を派遣いただくなどご協力をいただき、また、町内の主要産業である観光業・農業の関係者、公募委員を含む町民代表者、長野県の環境施策担当者など関係者の参画をいただきビジョン策定委員会を組織し、1年間かけて調査検討を行いました。 策定委員会では、自然エネルギー施策推進にあたっての基本理念について再検討を行いました。1つ目に「自然の恵み(エネルギー)を最大限有効利用するエコのまち」として、町に豊富に賦存する自然エネルギーを極力無駄にせず最大限有効利用することにより、実際に環境負荷の低減を図り地球温暖化防止・自然環境保全・化石燃料節減に貢献していく“エコのまち・やまのうち”をめざしていくこと、また、2つ目に「自然エネルギー施策推進による環境に配慮した元気活力あふれる産業のまち」として、観光や農業をはじめとする町の産業分野において、自然エネルギーの有効利用により環境への配慮を広くアピールしながら他地域との差別化やイメージアップを図るなど、環境に配慮した元気活力ある産業振興に取り組んでいくことを掲げました。なお、これら2つの理念については“自然エネルギー施策推進によりめざす町の将来像”として位置づけるとともに、その将来像のもとに「町の地域特性に合致した自然エネルギーの導入推進」「地域振興に資する自然エネルギーの導入推進」「町民・事業者・行政の協働による自然エネルギーの導入推進」の3つを基本方針とすることを確認しました。 自然と共存する本町の特性やニーズに合致した自然エネルギーを積極的に推進することにより、実際に環境負荷を軽減していくことをめざすとともに、観光業や農業を中心とした地域産業の振興の観点から推進を図っていくこと、また、この取り組みを契機として、町民・事業者・行政の協働体制を一層強化し、この協働体制のもとに地域に根ざした事業推進を図っていくことなどを確認し、単にエネルギー施策として位置づけるのではなく、まちづくり全般にわたる1つのプロジェクトとして位置づけるべきとの検討結果になりました。 |
3. 4つの重点プロジェクト
なお、4つの重点プロジェクトの中でも「温泉熱利用」と「雪氷熱利用」については、他地域に無い町特有の賦存エネルギーであること(=地域特性)、貴重な観光資源でもあること(=地域振興)から、将来像や基本方針に合致する自然エネルギーであると位置づけることができ、今後優先的に具体的取り組みを進めていくべきものとしました。以下に、重点プロジェクトごとのこれまでの取り組み経過についてまとめました。 「太陽エネルギー(太陽光発電・太陽熱利用)プロジェクト」に関しては、本年4月から、「住宅用太陽光発電システム設置費補助金」制度を創設しました。 |
4. 今後の取り組み予定
次年度以降の具体的取り組みとしては、1つ目に「小水力発電導入可能性調査」の実施を予定しています。4つの重点プロジェクトのうち、本年度までに温泉熱と雪氷熱について詳細ビジョンの策定を進めてきたところですが、これと同様に、小水力発電の事業化と普及拡大に向けた具体的な計画づくりを予定しています。 |
5. おわりに
当町では取り組みを始めたばかりであり、他地域と比較しても実績も誇れるものも何もありません。まずは自然エネルギー推進に対する町内の意識醸成に地道に取り組みながら、町民・事業者・行政による協働体制の構築を図り、着実な取り組みを進めていきたいと考えています。 |