【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第13分科会 地域で再生可能な自然エネルギーを考える |
神戸市では消化ガスの100%活用をめざした取り組みを進めています。2004年に天然ガスと同等の品質の「こうべバイオガス」へ精製することに成功、2010年には「バイオガス都市ガス導管注入実証事業」を開始、2011年からは下水道に好適な地域バイオマスを活用し、バイオガスを増産させる「KOBEグリーン・スイーツプロジェクト」を進めています。本レポートでは本市のこうべバイオガスへの取り組みを紹介します。 |
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1. はじめに 神戸市は、面積55,283ha、人口約154万人で、南は大阪湾に面し市街地の背後には六甲連山が迫る自然豊かな都市です。本市では、1958年に中部処理場において下水処理を開始し、2011年度末では下水道人口普及率98.7%に達しています。その中部処理場も2010年度末に老朽化により閉鎖され、現在では市内6箇所の処理場において、1日平均約52万m3の下水を処理しています。(図1)
下水を処理する過程で発生する汚泥は、全て消化槽で消化(嫌気性微生物による有機物の分解処理)しており、減量化・安定化を図っています。この過程でメタンを約60%含んだ消化ガスが、日平均約37,000 m3N発生します。 |
2. 天然ガス自動車燃料としての活用 東灘処理場において、2004年度に株式会社神鋼環境ソリューション(以下、SKS)と大阪ガス株式会社(以下、大ガス)の協力で共同研究を行い、天然ガスと同等の品質の「こうべバイオガス」の精製に成功し、天然ガス自動車燃料への活用を実証しました。東灘処理場ではガス関連設備を改築し、2008年4月より「こうべバイオガス」を天然ガス自動車燃料として本格的に供用しています。 |
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精製された「こうべバイオガス」は「こうべバイオガスステーション」で天然ガス自動車に充填されます。「こうべバイオガスステーション」は、市バスや下水道脱水汚泥運搬車、ごみ収集車の他、民間事業者の運送用車両・宅配車等に広く利用され、2011年度の充填量は年間約40万m3、延べ約13,000台に上ります。(写真1) |
3. バイオガス都市ガス導管注入実証事業 消化ガスの100%活用をめざし、経済産業省の「バイオマス等未活用エネルギー実証試験補助金」の採択を受けて、2010年10月、神戸市、大ガス、SKSの3者共同の実証事業として、「バイオガス都市ガス導管注入実証事業」を開始しました。 |
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「こうべバイオガス」を都市ガス導管に直接注入するためには、大ガスが定めた「バイオガス購入要領」に適合する品質に調整する必要があります。酸素及び二酸化炭素の微量成分をさらに除去すると共に、プロパンガスによる熱量調整及び都市ガスと同じ付臭を実施します。(図3) |
4. KOBEグリーン・スイーツプロジェクト 需要の大きな都市ガス導管注入による有効利用が実現したことで、神戸市ではさらなる再生可能エネルギーの供給拡大と拠点化をめざしています。 |
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5. おわりに 東灘処理場のほか、2010年度には垂水処理場において消化ガスの高度精製装置を導入し、660kWの消化ガス発電を行い、場内の電力の一部をまかなうと共に、排熱を消化槽の加温に活用するコージェネレーションを実施しています。 |