【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第13分科会 地域で再生可能な自然エネルギーを考える |
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近時大規模な自然エネルギーの開発が盛んに進められてきています。また、家庭においても、自然エネルギーである太陽光発電パネル(フォトボルティック)を新築時、オール電化とセットで設置する家庭も増えてきています。近隣でも、本県の佐那河内村や兵庫県の淡路島などには大規模風力発電(ウインドファームと呼んでいる)に風車が林立し、メガソーラーの設置も県内数カ所で工事がはじまっています。
このような中、徳島再生可能エネルギー協議会は2011年12月6日に徳島県内の産官学民の関係者で再エネの徳島でのローカルセンターとして発足しました。 3・11東日本大震災による原発の事故を直接のきっかけとし、現在再生可能エネルギーへの期待が市民各層の多くの人に生まれています。原発への不安から、未来の社会を築くためには、また、子どもたちに負の遺産をのこさないためには再生可能エネルギーが最も大切だと考えられています。しかし、再生可能エネルギーの“発電量”での比率は未だ4%以内という状況となっています。 昨年12月以来、私たちは県内のたくさんの山川を歩きました。この流れで発電できないだろうかとか、この土地の日照で太陽光発電は何メガワットできるだとろうか……。という目で自然を見ると、また新たな発見があります。小水力発電でいえば、中小電力会社が5電力会社に統合されるまで、日本あちこちには、たくさんの小さな水力発電所がありました。また、水力を製材所の動力にしたという水力製材の歴史もありました。それらを、もう一度「小水力発電」で復活させようということも考えています。 また、再生可能エネルギーの開発が、多くの資金が必要なことから、つい大企業中心になるということがあります。私たちは、エネルギーを生み出す環境、再エネの資源自体が「地域の大切な有限の資源」と考えており、その開発についても地域の関与が無ければ、単なる「再エネ植民地」になるだけであり、それはプラス評価では無いと考えています。 ■地域の利害関係者がプロジェクトの大半もしくはすべてを所有している つまり、オーナーシップ、意思決定、便益分配の三原則です。この三つの原則すべてを満たさないと、コミュニティパワーによる開発ではないと明確に宣言されたのです。 地域の人が行うとは地域での会社設立、地域資金、地域の人で構成するファンドなど、主体だけで無く資金も指しています。また発電適地は地域の貴重な天然資源であることから、資金のある人だけのものでは無く、地域住民により意思決定が必須です。ファンドに参加すれば当然便益が分配されるわけですが、こういった資本への分配だけでなく地域への分配分を考えるべきである……という視点も見えてきます。 本協議会は、地域の力を再エネに集めるという観点から、発足時以来「再エネ金融連続セミナー」を開催しました。 さて、では本県において、私たちが実際に再エネの施設を作ることができたのでしょうか。本協議会は昨年12月からとまだ日も浅いのですが、1件のメガソーラー計画が現在実際に進行中です。また、2件の小水力発電計画も進行中で、風力発電についても、1件が企画中です。これも、協議会に参加されすべての方のお力が集まったためと考えています。本協議会は、すべてオープンで行っており、特に会費も徴収せず、参加委員も絞ること無く、順調に参加者が増えてきています。いわば、再生可能エネルギーの種まきに相当しますので、これからもどんどん協議会の研修会・勉強会を続けていきたいと考えています。 さて、ここで皆様に考えてほしいのですが、今まで述べたことは、すべて「発電」ですが、エネルギーの形は電気だけではありません。再生可能エネルギーは、再生可能発電だけではないのです。たとえば、火力発電の場合、電気になるのは約3割で、残りの約7割は多くの場合熱のまま捨てられているといいます。ヨーロッパではそうではありません。電熱併給(CHP-Combined Heat and Power)といって、熱と電気を生み出す木質バイオマスのプラントがあちこちにあります。熱は地域の近くの工場や住宅に供給します。料金は使った熱によって課金します。これが「地域熱供給」というしくみです。電気の買取価格も、電気単独生産施設より電熱併給施設が高くなっています。(「CHPボーナス」といいます。)日本ではこのような仕組みがまだできていません。実は家庭で使うエネルギーの半分程度は低温(100度以下)の熱なのです。つまり給湯と冷暖房です。これらを再生可能エネルギーで、需要箇所近くで生み出し、熱と冷熱を地域に供給する仕組みができれば、再エネの占有率も大きく進むと思われます。 また、家庭における熱エネルギーの保全(断熱、遮熱、節約)も大きな問題の一つです。せっかく太陽光発電でエネルギーを生み出しても、家庭でエネルギーの垂れ流し的な利用をするなら、無駄が多すぎ、節約しても追いつきません。日本における家の構造の問題は、断熱や遮熱が十分でないことが大きな問題です。再エネの問題は、建築の問題とも関係しているのです。再エネ協議会では、県と共催で、広くNPO、企業等に出店を求め「省エネ・エコメッセ」という、住民参加型のイベントを行い、広く省エネの考え方の普及啓発に努めました。 この7月1日より日本においても再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT:Feed-In Tariff)がスタートしました。これは、再生可能エネルギーの発電を行った際、その全量を電力会社が買い取ることを義務づけることで、遅ればせながらヨーロッパのように再生可能エネルギーへの国家的な支援を行う法律制度です。制度の発足により、売電益で事業の継続的遂行が可能となったため、国の補助制度が無くなりました。これに対して、売電を伴わない独立型の再エネ発電施設に対する補助が新たに設定され、補助金制度も大きく2分してきています。 また、私たちがエネルギーを使うとき、否応なくグローバル化の波にさらされています。カナダのオイルサンドやアメリカのオイルシェールなどの大変問題が多い開発も、経済的に採算が取れる現状では、経済原則では、開発や利用が進んでしまいます。私たちの世代での再生可能エネルギーの、真剣な普及が急がれる理由でもあります。 今年はまさに再生可能エネルギー元年です。地域の資源である再生可能エネルギーを地域の手で開発し、地域の人のために活かし、地域が潤っていくように、コミュニティパワーの三原則を常にふり返りながら、<再生可能エネルギー100%>という化石燃料を使わない社会をめざし、徳島再生可能エネルギー協議会は進んでいこうと思います。皆様方のご支援をこの場をお借りしまして、お願い申し上げるとともに、発表の機会を与えていただいた自治研に厚く感謝申し上げます。 |