【自主レポート】 |
第34回兵庫自治研集会 第13分科会 地域で再生可能な自然エネルギーを考える |
東日本大震災による福島第一原発事故を受けて「脱原発」の動きが広まるなか、自然エネルギーが原子力発電の代替エネルギーとなり得るのか。本町が有する地熱発電について、その可能性と問題点について考察する。 |
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1. 概 論 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、地震・津波・原発事故が重なる未曾有の大災害となった。死者・行方不明者は、2万2,000人(*1)を超えているが、全容はいまだつかめず、余震も続いている状況にある。また、その後に発生した福島第一原子力発電所の大事故は、直接の被災地でない首都圏での大規模停電、大電力不足を発生させた。 2. 自然エネルギー 原発に代わる新たな電力供給が望まれる中で、自然エネルギーに期待が高まっている。 (1) 太陽光発電 (2) 風力発電 (3) 地熱発電 (4) バイオマス発電 |
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3. 地熱発電の仕組みについて 地熱発電とは、火山活動による地熱で蒸気を発生させて発電する方法である。現在、日本には18箇所の地熱発電所があり、合計で535mW(原発1基の半分ほど)の発電容量である。火山国である日本には、ポスト原発の有力候補として最も適しているとも言える。地下熱源から噴出する蒸気を用いて蒸気タービンを駆動させることにより出力を得る発電形態で、地下熱源がいわば自然のボイラーとなっている。蒸気とともに噴出する熱水については、還元井にてそのまま地下に還元しているが、今後未利用エネルギーとしての有効活用が期待されている。【図2参照】 |
(1) 蒸気井 (2) ニ相流体輸送管 (3) 気水分離器 (4) フラッシャー (5) タービン・発電機 (6) 復水器 (7) ガス抽出装置 (8) 冷却塔 4. 地熱発電の現状について 我が国の地熱発電については、1966年に我が国初の自家用地熱発電所として松川地熱発電所(運転開始当時9,500kW、現在2万3,500kW、岩手県松尾村)が、また、1967年に我が国初の事業用地熱発電所として大岳地熱発電所(運転開始当時1万1,000kW、現在1万2,500kW、大分県九重町)が運転を開始した。
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5. 地熱発電の特性について
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6. 九重町における地熱発電の概要について 九重町における地熱発電の歴史は、九州電力の前身である九州配電が1949年、大分県下の地熱地域の調査研究を開始したことに始まる。その後、大岳地区が、最初の開発地として有望視され、1967年8月、国内電力会社初の地熱発電所として大岳発電所が営業運転を開始した。その後、1977年には、八丁原1号機、1990年には八丁原2号機、滝上発電所が運転をスタート。(図4参照)今では、地熱発電量日本一の町として14万7,500kWを発電。これは一般家庭の約7万4,000軒の電気を賄っている計算。 |
7. 地熱発電の将来性について 日本には18箇所の地熱発電所があり、規模は1万から11万kWの小規模の設備である。地熱発電所の大きい規模では、アメリカの308万kW、フィリピンの190万kW、インドネシアの120万kWが実働している。 |
(*1)警察庁緊急災害警備本部発表数値(2011年6月21日発表) |