2. さらなる省エネ化への工夫
施設の設置だけでは、節電の理念が予算の獲得とその工事だけで終わってしまいます。そこで、組合活動の一環として現場の技術者の工夫で、さらなる節電と電気代の節約に知恵を絞ってみました。まず、一番に思いついたのがポンプの稼働時間をいかに短くできるか?という点と、料金の安い深夜電力料金での稼働時間をより長く設定できないか?です。
水道の需要は生活時間帯の影響で、朝と夕方の2回ピークを迎え、お昼すぎと深夜は極端に落ち込みます。またポンプの稼働目的は、標高の高い地域に水道水を配るために設置された配水池に送水するためですので、その配水池の容量にゆとりがあれば水需要の少ない時間帯(深夜)に一気に送水して、昼間は稼働停止とすれば全体の運転時間も抑えられ、さらに深夜電力で料金も安くなります。そして、昼間は太陽光発電で作った電気を自家消費するのではなく、せっせと売れば買電と売電の利ザヤでさらに電気代が安くなる計算です。
ただし、そのためにはポンプの運転現状を把握して水需要の予測を綿密に確認して、配水池が空になって受益者に迷惑をかけないように配慮しなければいけません。これまでの水位制御にタイマー制御を組み込む方法に検討を要し、タイマーの部品代自体は数千円程度なのに、事前検討やタイマーの設定方法にかなりの施行錯誤が必要となりました。
日出町では、小田城浄水場で浄化した水を標高の高い長野配水池へ送水し、さらにそこから尾久保配水池へ送っています。この長野配水池のポンプにタイマーを設置して、それまでの水需要に合わせた運転から夜間のみの運転に変更しました。それにひきずられるように、今回設置した小田城浄水場の省エネ化ポンプの稼働が午後のいわゆる電力ピーク時間に停止し、需要電力の昼間のピークカットに貢献できるようになりました。そして、今回太陽光施設を設置した小田城浄水場だけでなく長野配水池のポンプの運転を工夫した分で、2か所トータルでさらなる節電効果をあげています。
小田城浄水場・長野配水池 使用電力及び使用料比較表
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2010年
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施設名
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1月
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2月
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3月
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4月
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5月
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使用電力(kW)
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使用料(円)
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使用電力(kW)
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使用料(円)
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使用電力(kW)
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使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
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使用電力(kW)
|
使用料(円)
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小田城浄水場
|
22,884
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275,866
|
22,968
|
279,759
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20,208
|
259,999
|
21,930
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272,805
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20,808
|
260,208
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長野配水池
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6,131
|
92,414
|
5,026
|
79,382
|
5,135
|
80,891
|
6,274
|
92,614
|
5,515
|
83,962
|
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2011年
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施設名
|
1月
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2月
|
3月
|
4月
|
5月
|
使用電力(kW)
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使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
|
小田城浄水場
|
20,274
|
253,903
|
20,922
|
259,209
|
19,800
|
252,239
|
22,962
|
281,374
|
17,994
|
239,144
|
長野配水池
|
5,566
|
85,562
|
4,637
|
74,266
|
4,484
|
72,496
|
4,806
|
76,943
|
4,916
|
78,853
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節約量(2010年と2011年の比較)
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施設名
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1月
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2月
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3月
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4月
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5月
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使用電力(kW)
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使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
|
使用電力(kW)
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使用料(円)
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使用電力(kW)
|
使用料(円)
|
使用電力(kW)
|
使用料(円)
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小田城浄水場
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-2,610
|
-21,963
|
-2,046
|
-20,550
|
-408
|
-7,760
|
1,032
|
8,569
|
-2,814
|
-21,064
|
長野配水池
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-565
|
-6,852
|
-389
|
-5,116
|
-651
|
-8,395
|
-1,468
|
-15,671
|
-599
|
-5,109
|
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