1. 犬猫の殺処分数と国が考える施策
(1) 全国的な犬猫の殺処分数とその傾向
表1 過去10年間に全国で殺処分された犬猫の頭数 |
年度 |
殺処分数 |
犬 |
猫 |
合計 |
平成17年度 |
138,599 |
226,702 |
365,301 |
平成18年度 |
112,690 |
228,373 |
341,063 |
平成19年度 |
98,556 |
200,760 |
299,316 |
平成20年度 |
82,464 |
193,748 |
276,212 |
平成21年度 |
64,061 |
165,771 |
229,832 |
平成22年度 |
51,964 |
152,729 |
204,693 |
平成23年度 |
43,606 |
131,136 |
174,742 |
平成24年度 |
38,447 |
123,400 |
161,847 |
平成25年度 |
28,570 |
99,671 |
128,241 |
平成26年度 |
21,593 |
79,745 |
101,338 |
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環境省が公表した平成26年度の犬猫の殺処分数は101,338頭(犬21,593頭・猫79,745頭)で、平成25年度の殺処分数128,241頭と比較すると26,903頭ほど減少しています。
表1の過去10年間の殺処分数のデータを見ると、平均2万頭ベースで削減されており、特に平成17年度(365,301頭)と平成26年度(101,338頭)を比較すると、3分の1以下にまで削減されています。
ここまでの間、多くの自治体関係者による動物愛護施策の推進や、平成25年9月に改正動物愛護管理法が施行され、犬猫の引取りについて自治体が拒否できること、個人・動物愛護団体による新たな飼い主探しを行う譲渡事業が功を奏している状況です。
一方で、犬の殺処分数は大きく削減されているものの、猫の殺処分数については犬の3~4倍と多く、その内、生後60日未満の子猫の殺処分数が全体の6割強を占めている状況です。
これは、猫は繁殖力が強く、1年間に2~3回ほど繁殖行為を行い、1回の出産で1~6頭の子猫を生むことから増殖率も高くなり、結果的に様々な要因により全国の保健所等に持ち込まれたことが要因です。
(2) 人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト
犬や猫などの愛玩動物は、人と共生しなければ生き永らえないのですが、無責任な飼い主の都合によって多くの命が失われ、動物愛護に関心の高い方々から保健所等に勤務する職員が叩かれても決して飼い主が責め立てられることはありませんでした。
その一方で、動物愛護団体や個人ボランティアを中心に新たな飼い主を探す譲渡活動が行われ、1頭譲渡されるごとに動物愛護に関心の高い方々から賞賛される状況が続いています。
平成25年に当時の環境大臣政務官が「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」の創設に向けて、動物愛護に関心の高い芸能人、自治体関係者、学識経験者などから熱心なヒアリングを行い、同年11月に同プロジェクトを開始しました。
目的は、犬や猫などの愛玩動物の殺処分数を減らし、最終的にはなくすことをめざすための具体的な対策の検討を行い、優しさのあふれる、人と動物の共生する社会の実現をめざすとしています。
(3) 具体的な中身
このプロジェクトは、専用のホームページ及びFacebookページを開設し、プロジェクト推進のためのアクションプラン(飼い主・国民の意識の向上、引取り数の削減、返還と適正譲渡の推進)、殺処分等のデータによる現状と推移、具体的取り組みの事例紹介やモデル事業など、動物愛護団体や自治体への様々な情報発信を行っています。
(4) 動物愛護関連事業に係る予算は?
環境省の動物愛護関連事業には、約2億円の予算が確保されています。
大きく分けると、動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)調査・啓発事業・人材育成、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、動物収容・譲渡対策施設整備費補助事業となっています。
特に、地方自治体の財政が厳しく、動物愛護センター等の施設を建て替えるには予算確保が難しいことから、近年は補助金申請が多くなっているようです。
(5) はっぴぃ0(ゼロ)議連が始動(写真1・写真2)
平成26年に超党派の国会議員により「犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟(通称:はっぴぃ0(ゼロ)議連)」が設立され、現在は衆参あわせて53人の国会議員が名を連ねています。
主な活動は、各級議員への参加の呼びかけ、動物愛護関連事業予算の確保、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのフォローアップ、各自治体の首長への働きかけとなっています。
写真1 はっぴぃゼロ議連設立総会 |
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写真2 一般参加者への趣旨説明 |
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