【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第3分科会 石巻に虹を架けよう! ~被災地の今を見る、知る、触れる、考える~ |
2011年3月11日14時46分に発生した地震は、東日本を中心に甚大な被害を与えました。千葉市においても地震により道路の亀裂・隆起・沈下等などの被害が発生しました。特に区全域が埋立地域である美浜区を中心として液状化現象が発生し、多くの土砂が噴出したことが大きな特徴といえます。災害から復旧までの取り組みについて一年半の歩みについて報告するとともに、今後の災害について皆さんと考えて行きたいと思います。 |
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1. 東日本大震災の状況
(1) 地震の概要 |
2. 震災による千葉市の被害状況
(1) 千葉市の被害概要
ウ 下水道約7km エ 公園緑地等75公園 オ 学校施設150校 ④ ライフライン ア 電気停電148件 ※3月12日午前2時頃復旧 イ ガス供給停止214件 ※3月17日復旧 ウ 水道約12,000戸が断・減水 ※3月15日にひび野、真砂地区が復旧 3月24日に全面復旧 ⑤ 千葉市内の損害額 (概算)約89億円 千葉市 本市における震度(気象庁HP) 震度5強 : 中央区・花見川区・若葉区・美浜区 震度5弱 : 稲毛区・緑区
(2) 液状化の代表的な被害状況 |
⑤ 美浜区真砂4~5丁目、磯辺6~7丁目
この地帯は、噴砂量が比較的多く、道路のめくり上がりや沈下が確認されている。 ⑦ 美浜区浜田1丁目 地盤の亀裂を伴う噴砂が確認されている。 ⑧ 美浜区幕張西 噴砂は、帯状分布というより埋立地一帯に液状化現象が発生したと確認されている。被害程度は、電柱の傾動・沈下、ブロック塀の沈降、一戸建て住宅の傾動が確認されている。 |
3. 震災直後の緊急な対応
(1) 地震発生直後の対応
(2) 被害把握及び報告
ア 高速道路の通行止め期間 現場からの報告については、防災無線を活用するように努めたが、無線回線数が少ないこと、一回の通話が3分に限定されること、無線基地局が少なく海浜幕張駅付近では電波が届かないなど、ほとんど防災無線は活用できなかった。また、携帯電話も通じ難かったことから、報告は、主に帰庁後の口頭での回答となり、被害状況の集計等を行う対策班への情報伝達は困難を極めた。 以上のような状況から、幹線道路のパトロール報告は深夜にまで及んだが、幹線道路は概ね通行できることが確認された。 イ 幹線道路の通行止め状況 幹線道路のパトロールと並行して、エレベーターの閉じ込めの有無確認や都川における津波遡上の警戒パトロール、駅前広場、生活道路、横断歩道橋などの施設の調査をし、12日の明け方までかけ美浜区全体の道路状況の把握を行った。美浜区の生活道路では、噴出土砂が道路上を覆い尽くし通行不能な箇所が多数発生していることが確認され、危険個所については、パトロール時にカラーコーンやバリケードを設置し、通行止め等の処置を施し、最低限の安全対策を講じた。 また、市民からは、3月11日~12日の2日間で中央区・美浜区で電話対応できただけで140件余りの通報があり、これらの通報も被害の把握に大いに役に立つものとなった。報告では噴砂による通行障害や舗装の隆起・沈下が多かったが、これらの調査報告の中に橋梁の被害が報告されたことから、13日に橋梁調査班を選定し、美浜区を中心に全橋梁の異常時点検を行った。(2班4人) ② 被害状況の初動調査 情報を整理し、速やかな緊急対応が図れるよう対策班ではパトロール班からの報告を待つ間、千葉市建設業協会と連絡を取り、応急工事への対応準備や災害箇所把握・調査のための図面の作成などを行った。図面は道路台帳システムを利用して美浜区全体の図面を作成した。(2,500分の1の縮尺でA0サイズ50枚程度) また、国庫負担による災害復旧事業を行うには、その後、国による災害査定等が実施されることから、応急工事で現場を補修する前に被災状況写真の撮影や測量を行うことが急務となり、震災翌日から2日間、リボンテープや測量ポールを使った測量を職員(延べ31班97人)にて実施した。 被災状況の把握と併せて、写真の撮影や測量を終了した箇所を美浜区一円の平面図(A0サイズ)「被災箇所図」に記載した。 3日間の初動調査により、道路の被害延長は約44km、概算被害額50億円と想定され3月15日に市長に報告を行った。 ③ 応急工事 道路パトロール及び市民からの通報から液状化現象による被害が多数確認され、土砂撤去などの早期の応急対応が喫緊の課題となった。そこで、防災協定に基づき、土砂の撤去及び応急工事を千葉市建設業協会に依頼し、11日の24時には、応急工事に着手し、その後、一連の応急工事作業が実施されることになった。 被災箇所図を基に、土砂撤去、応急復旧の場所や期間等について、毎晩、千葉市建設業協会と工程会議を行い全体の進捗管理を行っていった。土砂撤去については、中央・美浜土木事務所に対策本部を設置したが、噴砂土砂は、乾燥すると粉塵となり、また、締め固まると固くなり、土砂の取扱いや撤去作業は、思うように進捗が図れなかった。 震災発生からおよそ1週間後の週末に、発生当時より懸念していた雨の予報が出された。水対策については、万全ではなかったため、排水の2次災害にならないように公園まわりに土嚢を用意し、市民の協力を得て、必要に応じて運搬していただく等、排水の緊急対策とした。 噴出土砂の撤去が進むにつれ、道路の沈下、隆起及び陥没の規模が明確となっていき、災害復旧事業を行うための更なる調査が必要であることが判明していった。 ④ 職員配備 地震は、3月11日金曜日に発生したが、防災計画において震度5の場合は、第3配備となり100%の職員が動員されることとなっており、全職員が各作業に従事することとなった。しかしながら、災害復旧が長期化することが見込まれたことから、夜間の勤務においては、車・自転車等、自主的に通勤できる職員を帰宅させ、2交代の体制を作った。 12日・13日は土・日曜日であり、災害業務に専念できたが週明けの月曜日からは、通常業務が加わったこと、また、職員の疲労の蓄積により、非常に繁雑な状態となった。そこで、災害対応に従事する職員と通常業務に従事する職員とを分けて対応することとし、また、夜間勤務については、平常時宿直当番制度により2名/日の職員にて緊急の電話対応等を行っているところを、震災直後から3月26日までは、全土木事務所で夜間対応することとした。 ⑤ 直営作業 千葉市には直営作業班(技能労務職)がいることから、全区の直営班が美浜区の土砂撤去作業、道路排水清掃作業に震災後から集結し作業にあたった。
(3) 土砂の発生及び被害状況 |
オ 土砂の利用 |
4. 復旧に向けた対応
(1) 復旧体制
(2) 災害査定
(3) 復旧工事と関係機関の調整 |
まとめ
道路については市民のライフラインであり、救援物資の輸送路でもあります。災害時には早期の復旧を求められます。今回は液状化した土砂が問題となりましたが、一年半の短時間で復旧出来たのは、建設局が一丸となり各業界団体との連携・協働が図れたことと、自治会をはじめ多くのマンパワーが要因だと思います。
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