【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第5分科会 まちムラの見方「見えているもの」と「見えていないもの」 |
竹田市は、農業や温泉を活かした観光業を基幹産業としています。2014年から「地域おこし協力隊」の制度を利用して隊員を受け入れています。全国的に見ても多くの隊員を受け入れる中で、今後の地域づくり、地域活性化の取り組みに活かすため、隊員の実態や意向、そして市職員の認知度や関与度、隊員への期待等について調査を行いました。 |
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1. はじめに
数年前から「地域おこし協力隊」の言葉を耳にするようになり、いつの日からか私たちの職場で多くの隊員の存在を意識するようになった。 |
2. 調査の概要
調査は、市職員に対する「地域おこし協力隊との交流にかかる意向調査」と隊員に対する「地域おこし協力隊にかかる実態調査」の2本立てとした。その概要は次のとおりである。
(1) 地域おこし協力隊との交流にかかる意向調査
(2) 地域おこし協力隊にかかる実態調査 |
3. 調査結果の概要
(1) 協力隊員の家族構成等 回答者11人の従前の住所地は右図のとおり、関東が5人と最も多く、次いで3人の九州、関西、東海であった。 北海道、東北、北陸、中国、四国は、協力隊の地域要件(3大都市圏内の都市地域又は政令指定都市等)もあって、対象者がいなかった。 ② 家族構成 従前の世帯の家族構成をみると、単身世帯と親子世帯がそれぞれ5人となっている。一方、現在の家族構成をみると単身世帯が11人となっており、従前の単身者に加えて、それまで両親等とともに暮らしていた者の多くが、協力隊員として一人で本市に転入した実態が読み取れる。
(2) 竹田市を選択した動機等 (3) 協力隊の現在の満足度等 現在の満足度を問う設問に対し、14人中10人が「ほぼ満足」と回答している。 「非常に満足」と「あまり満足していない」がそれぞれ2人あったため、総じて言えば「ほぼ満足している」と集約できよう。 ここでは問うてないが、あまり満足していない理由を明らかにし、その対策を講じることも必要と思われる。
(4) 職員の協力隊認知度 職員に対して「協力隊員の顔と名前(姓名のいずれかで可。愛称可)が一致する人数」を問う設問の結果は、3人に1人以上(193人中70人)が誰も分からないと答え、5人未満の回答が149人(77%)を占めた。 また、仕事や趣味、スポーツ、地域活動等で「何人くらいの協力隊員と関わりを持っているか」の設問には、63%(123人)が誰とも関わっていないと答えた。5人未満の回答を合わせると90%を超えており、市の職員と隊員の関わりが薄いことが明らかとなった。
(5) 協力隊員の市民・職員との関与度 右図は、「市民(市職員を含まない)の顔と名前(姓名のいずれかで可。愛称可)が一致する人数」を問う設問の結果であるが、100人を超える市民を知っている隊員もいれば10人未満の隊員もあり、隊員によって非常に異なる結果となっているため平均値や中央値を求める意味が薄いと思われる。なお、バラつきの原因として、隊員の配置職場、個性等の影響が考えられる。 同様に「顔と名前(姓名のいずれかで可。愛称可)が一致する職員数」を問う設問の結果が右表である。 総じてみると、職員数300数十人のうち、30人程度の職員の顔と名前が一致しているといえるが、「50人以上」と「5人未満」の両極端な回答があることにも気を留めておく必要がある。
(6) 今後の交流に対する意向 前問で「広げたくない」と答えていない方に対し、希望する交流・関わりの分野を問うた結果、職員の4割が「仕事」と答え、3人に1人が「地域活動」を希望するのに対し、隊員は「仕事」が25%、「地域活動」は6人に1人にとどまっている。 職員は、現状の課題解決に協力隊の力を求め、隊員は趣味・スポーツでの交流により地域に溶け込もうとしているのかもしれない。
(7) 協力隊への今後の期待
全国的にも多くの隊員を受け入れている本市にあって、「今後、協力隊員を増やすべきか」という職員に対する質問の結果が右図である。 6割弱が「増やすべき」と答え、4割強が「増やすべきでない」と回答しており、職員の中でも意見が割れている。
隊員に対する「協力隊の期間満了後、竹田市に住みたいと思っているか」との質問(有効回答数14)に対して、4人が継続して居住する意向を示し、8人が将来的な居住の意向を示した。 しかしながら、住みたくないとの回答も計2人(15%)から寄せられている。
市職員に対して、「今後、協力隊員と交流することに関する考え」を問うたところ、30%が「非常に良いこと」と答え、67%が「良いこと」と答えている。 「あまり良いことでない」との回答は7人(3.5%)に過ぎず、職員は隊員との交流を肯定しているといえる。 |
4. 調査結果から
本調査結果により、協力隊員の実態や意向を明らかにするとともに、私たち組合員がどのように隊員を捉えているのかを把握するという所期の目的の一端は達することができたと考える。 |