【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第5分科会 まちムラの見方「見えているもの」と「見えていないもの」 |
別府市は、全国有数の温泉観光都市として発展してきたが、2015年度に策定した「別府市総合戦略」において「ユニバーサルデザイン旅行の先進地に向けた整備」を掲げている。観光戦略の新たな可能性の一つとしてユニバーサルツーリズムの推進に取り組もうとしている本市の現状と可能性について検討を行った。 |
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1. はじめに 大分県別府市は、九州の北東部、瀬戸内海に面した大分県東海岸のほぼ中央に位置し、阿蘇くじゅう国立公園に属する由布・鶴見岳の麓で裾野をなだらかに別府湾へと広げる扇状地を形成している。そこから立ちのぼる「湯けむり」は別府を象徴する風景であり、国内有数の国際観光温泉文化都市として発展し、年間約800万人の観光客が訪れている。 |
2. ユニバーサルツーリズムについて ユニバーサルツーリズムとは、「すべての人が楽しめるように造られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行」を意味する(観光庁)。 |
3. 別府市での取り組み (1) 別府市の取り組み
道路の改良や公共施設の整備等のハード整備については、予算の範囲内で優先順位をつけて行っている。また、これらの整備を行うにあたっては、当事者の方々の意見を聴く場を設定し、行政の視点ではなく利用者の視点に立った改良を心掛けるようにしている。 バリアフリー情報の発信としては、大分県が作成しているホームページ「大分バリアフリーマップ」で、県内の各施設のバリアフリーの状況を公開している。条例制定を契機に、別府市内の施設(公共施設、文化施設、病院、福祉施設、銀行、商店、レジャー施設など)を調査し、新たに145施設を同ホームページに追加掲載した。旅行者にとっては、事前にバリアフリー情報を入手できることは大きな安心を得ることができ、旅行先の選択においても優位にはたらくのではないだろうか。 また、総合戦略に基づき、2016年度については、ホテル・旅館に対してバリアフリー化に対する補助制度『ホテル・旅館等のバリアフリールーム(客室)改修事業費補助金』(上限400万円)も予算化し、民間施設に対しても改修を支援しているところである。 (2) 市民活動団体(NPO)の取り組み
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4. 考 察 (1) 障がい等に対する理解の促進 (2) ユニバーサルツーリズム推進への意識醸成と連携の強化 (3) 情報発信 |
5. おわりに 2016年4月14日に発生した熊本地震、続いて16日に発生した大分県を震源とする地震により、九州観光は大きな影響を受けた。別府観光においても、人的、物的被害は比較的少なかったものの風評被害を受け、一時期は観光客の入り込みが落ち込んだ。しかしながら8月現在、全国の多くの自治体からの支援、国の復興支援策、地元関係者の復興に向けた取り組みが功を奏し、ようやく例年並みに回復してきているところである。今は観光復興への取り組みで精一杯の状況ではあるが、一日も早く震災前の状態に戻し、総合戦略及び後期基本計画に基づく観光振興策、ユニバーサルツーリズムへの取り組みを推進していくことが重要である。 |