【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第5分科会 まちムラの見方「見えているもの」と「見えていないもの」

 伊佐市では、1年を通じて様々なイベントが行われています。各イベントは、担当する部署が準備段階から事務局や実行委員として関わるのはもちろんですが、その他の職員も、各地域・集落のイベントへの参加活動を積極的に行っています。その参加協力体制は、組合の活動としての取り組みから、一市民の立場としての協力まで様々です。自治体職員としての自覚のもと、多くの組合員の参加があることで、イベントが成立している部分も少なからずあると思います。
 伊佐市職労の自治研活動では、地域住民と協力し、多面的な地方自治を確立するために積極的にイベントに参加し、組合員個々が自らの資質を高め、内外の結束力を深めながら、自治研活動を展開しています。また、市民主催のイベントや諸活動において、組合活動として参加協力し、市民グループ等との関わりを深め、協働することで、地域自治のためのネットワークづくりを常に図っています。



地域住民と協力し、多面的な自治研活動をひろげていく
―― みんな仲間 ――

鹿児島県本部/伊佐市職員労働組合・執行委員 寺師  大

1. 『伊佐の冬まつり アイスワールドin伊佐』

 1つ目は、『伊佐の冬まつり アイスワールドin伊佐』です。伊佐市は鹿児島県北部に位置し、鹿児島の北海道と称されています。そんな中、厳しい冬を乗り切り、逆に冬を楽しんでもらおうと、寒い伊佐市ならではの催しとして、氷にこだわった真冬のイベントとして開催しています。毎年素晴らしい氷像が1昼夜かけて完成しますが、朝日とともに溶け出してイベントが終了します。
 今年も2月13日から深夜にかけまして、大口元気こころ館・大口ふれあいセンター前広場を中心に商店街を巻き込んで開催されました『伊佐の冬まつり アイスワールドin伊佐』に、伊佐市職労として参加しました。日が落ちて、徐々に寒気が強まる中、今年は組合員有志が駐車場係や氷の滑り台の作成から運営補助まで多くの来場者の方を、安全に導き楽しませることができたのではないかと思っております。


2. 『いさドラゴンカップ』

 2つ目は、『いさドラゴンカップ』です。川内川湯之尾滝上流の広々とした流れの緩やかな場所は、1983年に完成した湯之尾可動堰の整備によって生まれました。旧菱刈町において、この場所と隣接する湯之尾温泉は貴重な観光資源であり、川を活かしたスポーツ振興と地域おこしのため、1990年にドラゴンボートを使ったイベントが開催されるようになりました。ドラゴンボートは、10人で1艘のボートに乗り込んで速さを競う競技ですが、子どもから大人まで誰でも気軽に参加できるスポーツで、現代社会においては貴重になった川での自然体験活動の場にもなっています。参加者の中には、親から孫、3世代にわたって競技を体験している人や県外からも参加するチームも出てきていまして、伊佐市の新たな伝統文化として定着しつつあります。
 今年の大会は、5月1日に開催されましたが、私たち伊佐市職労も青年部中心のメンバーで、2チーム参加しました。大会当日は晴天に恵まれ、上位入賞をめざして頑張りました。1回目のレースでは、残念ながらコースアウトにより失格という結果が1チームでましたが、2回目のレースでは、2チームとも無事にコースを漕ぎ切りました。オープンの部32チームの中で19位と23位というまずまずの成績となりましたが、みんなで力を合わせることで、普段はなかなか顔を合わせることもない、違う部署の職員との絆が深まったことを感じました。昼食は、バーべQを前日から準備して大会を運営していた組合員の若手の皆様にも提供しながら、盛大に盛り上がりました。夜の打ち上げ兼青年部との交流会についても非常に盛り上がりました。


3. 『ごみ0大作戦(環境美化活動)』

 3つ目は、『ごみ0大作戦(環境美化活動)』です。この活動は、5月30日の「ごみゼロの日」にちなんで、私たちの住む地域環境を、より快適で美しく、誇りのあるものにするために、市内の主要道路のごみ拾いを自治研活動の一環として、主体的な地域社会への貢献を育成するものです。
 活動を通して、環境保全及び美化活動を推進していますが、今年も5月29日に計画し、段取りました。あいにくの雨天により急きょ中止としましたが、市庁舎外の清掃を執行委員で実施しました。例年、国道を中心にごみ拾いを行いますが、地元企業(労働組合含む)にも呼びかけまして、約250人のボランティアで行う予定でした。例年より参加者が多く集まりましたので、来年も、今年同様呼びかけて活動できたらと思っています。


4. 『伊佐市夏祭り総手踊り』

 4つ目は、『伊佐市夏祭り総手踊り』です。毎年7月末に行われる伊佐市の夏の定番イベントです。市民総手踊りや花火大会が催され、多くの市民が楽しみにしているイベントです。主催は、伊佐市商工会が中心になる実行委員会ですが、毎年伊佐市職労として市民総手踊りへの参加を行っています。 160人以上の組合員が参加し、最も多くの踊り子が参加する団体として、例年イベントを盛り上げています。伊佐市役所としては、管理職も参加していまして、市民に顔が見えるイベント参加として定着しています。年に1回の踊りということで、少々振り付けが怪しい人も見受けられますが、みんなで楽しく踊ることで、夏祭りを盛り上げていきます。


5. その他

 イベントではありませんが、地元経済対策として行っております地元商品券(今年リニューアル)の購入というのがございます。これによって、地元経済の振興に積極的に取り組む活動は、組合員の理解と協力で購入率100%を維持しております。これは街の経済を活性化することで、自らの仕事を守るアピールにもつながっております。
 ただいま紹介いたしましたイベントへの参加協力は、組合活動の一環として行っているものですが、このほかに組合員個人が参加しているイベントは、多岐に渡っております。私たちには日常業務に加えまして、地域では1市民としての役割がございます。田舎に行けば行くほど、公務員が地域に果たしている役割というのが、相対的に大きくなっております。それぞれのイベントに参加協力している組合員は、ある場面ではそのイベントの中心になり、ある場面ではサポーターとなり、自治体職員としての自覚と、街を盛り上げようという一念のもと参加協力を行っています。
 組合活動としてのイベントへの参加協力をしていくことにつきましては1つの方向性であり、組合としてもそうした取り組みを継続して、実践していかなければならないと考えておりますが、職員の個人としての様々な活動も、市民との協働を生み出し、まちづくりに貢献していることも事実です。組合としては、そうした1人ひとりの組合員の活動をサポートしていくことも自治研の役割ではないかと考えています。地域が抱える政策課題について、地域住民や市民グループとの検討や研究を重ねて、それを提案・実践する場、そういうことです。
 活動先進地では、まさにこのような取り組みを行っているところもあるというのは聞き及んでおります。しかしながら、すべての労働組合において、そういう活動が積極的に行われているかというと、そう簡単なものではないと思っております。現実に私たちの街でも、ただいま紹介させていただいたような地域のイベントに参加することのみで、政策課題等を検討する場や、機会を設けることには至っておりません。この10数年で社会情勢も変化して、私たち労働組合を取り巻く環境や住民感情も大きく変わってきています。
 私たちの活動は、本来の自治研活動とは言えないかもしれないのですが、人員削減のために事務量が増大し、余裕のなくなっている職場環境の中で、活動を通じて顔を合わせ、会話を交わすことができる仲間は貴重な存在ではないでしょうか。地域の、コミュニティの低下が叫ばれていますが、それは地域だけではなく、職場でも人間関係が希薄になっている現実があります。その中で孤立せずに、いつでも相談できる仲間作りの機会を、イベント参加を通じて創り出すことも職場環境の改善、ひいては市民サービスへの向上につながることだと思います。確かに今の活動は物足りない活動かもしれませんが、私たち労働組合の組合員が、積極的にイベントに参加協力をする事で住民に溶け込み、「地域のために何かできないかな」とか、「何かしようよ」という思いを常に忘れることなくいつまでも持ち続けながら、住民と一緒に伊佐を盛り上げていける活動を広げて行けたらと思います。