【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第6分科会 復興・再興・新興!! ~消滅でも創生でもない地域づくり~ |
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1. はじめに 福島県南相馬市は、2006年1月1日に旧小高町、旧鹿島町、旧原町市の3市町が合併して誕生した。合併時の人口は74,251人、世帯数23,441世帯、面積は398.5平方キロメートルである。 2. 合併までのあゆみ 職員数の削減状況を取り上げる前に、あえて合併に至る数年間に職員がどのような状況下で合併に関する業務にあたったかに目を向けていただきたい。 3. 職員数適正化計画 合併に伴う行財政改革の大きな柱として、職員数適正化計画がある。職員のうち、総務企画等の管理部門に属する職員は、合併によって統合削減が可能であり、2006年4月に医療職を除き717人いた職員を、10年間で182人(約25%)削減しても行政サービスには支障がないという説明のもと導入された。 |
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4. 合併による管理部門の強化と行政機構の複雑化 次に、合併直後の管理部門の課所室の一覧をご覧いただきたい。 |
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ご覧のように、旧市町単位に区役所制を採用し、それぞれに管理部門があり、さらにその統括部門として本庁の管理部門が置かれている。 5. 早期退職者の増加と職員数適正化計画の前倒し 前述したとおり、職員は合併に係る膨大な事務で、心身ともに疲弊していた。また、合併により整理された事務事業はほぼ無いのに対し、新規事業は年々増えていった。 |
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震災までの5年間で定年退職者71人に対し、早期退職者は定年退職者を上回る74人である。あまりにも多すぎる早期退職者を見込んでの新規採用は行われないので、必然的に職員数適正化計画は前倒しで進行し、2010年度までに55人を削減する計画に対し、実際は87人の削減実績となった。その差32人は部が丸々ひとつなくなったに等しい。 6. 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故 このような状況下において、2011年3月11日に東日本大震災が、間をおかずして東京電力福島第一原子力発電所事故が発生した。 |
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災害に「たら、れば」は禁物であろうし、原発事故の影響が非常に大きいことも理解したうえで、敢えて言わせてもらえれば、震災前の時点で既に職員数は限界を超えて削減されており、言い換えれば震災等に対応する余力が極限まで削がれた状態で震災等に直面したということである。 7. 結びに 震災後の南相馬市では、復旧復興に対応するため、他自治体からの派遣職員、任期付き職員の採用、さらには職員定数の増員見直しや採用の拡大等によりこの難局を乗り切ろうとしている。 |