【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第6分科会 復興・再興・新興!! ~消滅でも創生でもない地域づくり~ |
「公共施設の更新問題」が浮き彫りになり、多くの自治体で"公共施設の削減"が叫ばれています。人口減少や財政状況などをふまえて施設を選別していく時期なのでしょう。しかし、削減だけでいいのでしょうか? もっとできることはないでしょうか? 鳥取市が取り組んでいる"地域活性化"や"効率UP""不要な歳出削減"につながる公共施設マネジメントの一部を紹介します。 |
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1. はじめに
学校や保健センター、公民館、体育館など、自治体が保有している公共施設(いわゆる「ハコモノ」)は、多様化する住民ニーズに応えるように次々と建設されてきました。 |
2. 学校の活用!
まずは、人口減少等で廃校となった学校の再生です。この取り組みには、次のような効果があります。
旧成器小学校は、地元の画家が活用して、遊びの場として生まれ変わっています。作品展示だけでなく、絵手紙作成体験や喫茶コーナーなどのある楽しい空間として活用されており、県内外からも来訪者があるなど、観光施設・文化の拠点となっています。
青谷地域にある2つの小学校は、1階部分を地区公民館として活用することで、経費抑制につなげました。 鳥取市において、地区公民館は、地域住民の活動拠点でもあり、徒歩で来やすい位置に立地することが重要な要素です。構造的に少し利用しにくい面もあるかもしれませんが、思い出のある校舎が人生を通じて活動できる場となっています。
旧日置谷小学校は、民間事業者が経営する植物工場として転用しました。LEDを使用した室内での植物栽培を手掛ける企業を県外から誘致した、立派なリノベーション施設です。 企業誘致による経済的な効果(増税)だけではなく、新たな地元雇用(特に障がい者雇用)が生まれている事例であり、廃校がお金を生む施設となっています。
≪事例4:旧佐治中学校≫
旧鹿野小学校と旧鹿野幼稚園は、特定非営利法人"鳥の劇場"が劇場として使用しています。 この取り組みは文化振興としての評価が非常に高く、2016年度には国際演劇祭が開催されるなど、県内外から多くの方が本市を訪れるきっかけとなっています。その経済効果は、鹿野地域の活性化だけでなく、市全体に広がっています。
廃校の活用事例を紹介しましたが、使用中の学校はうまく使われているのでしょうか。稼働率を考えてみました。 |
3. 手放す施設で稼ぐ
≪事例6:施設の売却≫
≪事例7:解体予定の学校での消防訓練≫
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4. 施設メンテナンスの革命
≪事例8:ドローンによる施設点検≫
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5. 地方から始まった公共施設マネジメント
2014年、総務省は「公共施設等総合管理計画」の策定を全ての地方自治体に要請しました。要するに各自治体に公共施設の削減を求めてきたのです。 |
6. まとめ
ほとんどの自治体で財政状況が厳しく、施設の更新・修繕費を十分に確保できない状況と思いますが、借金をして施設を維持していくことも可能です。そうすれば、きれいな施設で住民も満足するでしょう。しかし、イマの世代はいいかもしれませんが、子や孫の世代には自治体が財政破たんを迎えるかもしれません……。 |