【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第6分科会 復興・再興・新興!! ~消滅でも創生でもない地域づくり~ |
農村における地域コミュニティの希薄により、水田の維持・保全が難しくなってきている。 |
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1. はじめに (1) 農業の今昔 家族で不足する農繁期は、シーズンが異なる山間部や海岸部の農家から「お田植えさん」が泊まりがけで来られていた。働き手が病気やケガで作業が滞っている農家には、近所の農家が手伝いに駆けつけたりして、「困った時はお互い様、自分が困った時には助けてもらうだろうからと!」と相互扶助の精神、助け合いの精神で、農村が成り立っていた。『結(ゆい)』『絆(きずな)』である。 昔(昭和30~40年代)は、助け合わないと農業は成り立たない産業であった。(自助・共助・公助) |
2. 農業・農村の「いま」 (1) 農家には息子は居ても、農業の後継者は居ない現実。 五月晴れの農村には、鯉のぼりが良く似合う。男の子の名前が掲げられた幟が、家の安泰を示している。のだが? 実際は、同居している農家は少なく、内孫の名前だけが、風になびいている。 個々の農家のコミュニティが希薄化する中で、農村からは子ども達の遊び声が消え、青年団が無くなり、村の祭りや神社の掃除などは、老人会や敬老会が担わざるをえない現実が其処にある。 → 農村のコミュニティは? ③ コミュニティの接着剤である『水田(米づくり)』が、危ない! 爺ちゃん婆ちゃんの田んぼ(米づくり)が、引き継がれれば、家族や集落内での何らかの関わりを維持し、コミュニティは継続されるのであるが、米づくりをリタイアした時点で、手伝いや会話が遠のき、田舎(祖父母)と都会(子ども・孫)の行き来が無くなり、農村社会のコミュニティの崩壊が懸念されている。 |
3. 数字で見る、農業・農村は…… (1) 10年前に纏めたデータで恐縮ですが! → 集落と農地の問題
(2) 10年前に纏めたデータで恐縮ですが! → 高齢化の問題 (3) 過疎地等における集落の状況に関する現状把握調査!
総務省と国土交通省が2011年に纏めた集落で発生していく課題を見ると、①働き口の減少②耕作放棄地の増大③空き家の増加④獣害・病虫害の発生⑤商店・スーパー等の閉鎖がベスト5である。 それ以外で特に注目したいのは、伝統的祭事の衰退・冠婚葬祭等の機能低下・伝統芸能の衰退・農道等の維持困難など、地域コミュニティが徐々に弱まっている証拠である。 地域性も山間農業地帯が顕著であり、平坦部は問題が少ないデータになったが、私が仕事で係わる中では、平坦部であっても地域コミュニティが弱まってきている。 |
4. 新たなコミュニティとしての『農事組合法人』の育成 (1) 現状打開はどこにあるのか? 調査モノを行う場合、本当の実態が出て来ないで、意図的資料にならずに利活用できない場合も多い。しかし、実態が的確に反映されたモノは、集落や組織・地域の方向性を決めるべき羅針盤になり得る。 この様な、課題を「掘り起こし」「見える化」する事で、問題を整理し、進むべき方向として何かを提案する事ができる。グラフの「ビフォー」「アフター」を見ると、大きな違いが見えてくる。 ◎構成員の数が5年後には8人減の58%、10年後には11人減の42%となり6割がリタイアとなる。 ◎不耕作地も5年後には6.7ha、10年後には11.5haに拡大し、集落水田の54%が不耕作地になる。 何もしなければ、調査は現実になりますよ? 60~70歳代が元気な今こそ、新たな集落コミュニティを構築するために、集落営農組合を機能アップさせた「農事組合法人」の立ち上げを皆で検討しようと提案する。 (2) 具体的なアクション事例! |
5. 少しずつ現れ始めたコミュニティの再構築
(1) 福富ドリームファームの事例 |
6. まとめ 今回は、高齢化と過疎化によって農村のコミュニティが希薄化してきている現実を、一人一人がそして、みんなで受け止め、現状の暮らしの中で、どう再構築していくかについて述べさせて頂きました。 |