【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第7分科会 若者力は無限大∞ ~若者と創り出すまちづくり~ |
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1. はじめに むかわ町は、2006年3月に旧鵡川町と旧穂別町の2町の合併により誕生した人口9千人余りの小さなまちである。 |
2. 調査研究の概要 恐竜化石を活かしたまちづくりは、全国のいくつかの自治体で様々な取り組みが展開されていることから、その先進事例からわがまちの実状に合わせた取り組みを検討し、町の政策・予算へ反映させることを前提とした政策提言に取り組んだ。 (1) 大規模博物館(県立規模)と自治体の取り組み事例調査
恐竜化石の展示・活用事例ではないものの、大阪府きしわだ自然資料館はチリメンモンスターなどの特徴的な取り組みにより認知度が上昇しており、教員研修などの団体利用が増加している。また、スタッフ規模と比較して化石資料の収蔵点数が多く、そのほとんどはボランティアの協力によって収集されたものであり、こうした運営体制の構築は参考となる事例であった。 |
(2) 小規模博物館(市、町立規模)と自治体の取り組み事例調査
天草市立御所浦白亜紀資料館は、離島という立地条件にありながらも地元産出化石を中心とした展示と、化石採集体験プログラムにより年間1万人規模の入館者を受け入れている。資料館のスタッフ規模や、地域住民の人口規模などもわが穂別地区とほぼ同じ状況であるが、御所浦全島博物館構想推進計画などを基調として、その中心施設としての役割を担っている。また、技術的に困難な恐竜化石のクリーニングなどは、福井県立恐竜博物館との協定締結によって作業を進めているほか、最も人気の高いプログラムである化石採集体験の運営方法などは参考となる取り組み事例であった。また、当該資料館スタッフが主体となり、島内各地の野外見学地等を活用したジオパークの取り組みが展開されており、地元住民ガイドの育成や民泊事業の取り組みによって修学旅行生の受け入れ事業を行うなど、参考となる取り組み事例であった。 (3) 化石発掘現場を活かした自治体の取り組み事例調査
恐竜化石が発見された丹波市では、県立博物館の学術的支援のもと、丹波竜化石工房ちーたんの館において資料展示及びクリーニング作業の公開等を行っている。財政的な事情や専門職員が不在である状況においても、年間2万5千人以上の入館者を受け入れ、マスコットキャラクターの設定や丹波竜フェスタなど各種イベントの開催を行っており、丹波竜を様々な面で積極的に活用し地域内外への周知を図り、地域住民の活力創出に繋げている取り組みは参考となる事例であった。 兵庫県篠山市教育委員会では、資料館や博物館といった専門的施設を有していないものの、恐竜化石の産出地層が多くあることから、これらを市民の共有財産として保護・継承する目的で条例を制定しており、重点保護地域を設定している。また、化石を教育資源と捉え、市内全小学校(16校)を対象とした地質・化石の教育プログラムを開発し、実施している取り組みは参考となる事例であった。 |
3. 調査研究報告 本研究会では、3つの研究テーマに基づく先進事例調査から、むかわ町が恐竜化石を活かしたまちづくりによりめざす目標を「自立したまちの実現」とし、政策提言の立案に取り組んだ。先の事例調査において一定の成果を挙げている自治体の共通要因としては、地域住民が主体性をもって各種事業に取り組んでおり、その背景には地域活力低下に対する危機感や、郷土愛に裏付けされた住民の熱意が原動力となっていることが大きいものと考えられる。 |
4. 政策提言
以上の調査研究から、このたび発見された恐竜化石は自立したまちを実現するための資源として、大きな可能性を秘めた貴重な財産であると捉え、「化石にふれあい、化石に学ぶ~恐竜化石の発見を郷土愛を育む活動につなげる~」、「化石と生きる~恐竜化石の発見を持続的な地域経済活動につなげる~」の2点を柱とする政策提言をまとめ、具体的な事業提案として、以下の5つの項目を掲げた。〔2014年11月26日 町幹部職員、穂別地域協議会に対して政策提言プレゼンテーションを実施〕 |
(1) 恐竜化石発掘現場の有効活用 (2) 既存地域資源との連携活用 (3) 協働展開のための仕組みづくり (4) 資料展示・普及体制の強化 (5) 北海道大学等との連携活動
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5. 政策提言から現在(2016年7月) 2014年11月の政策提言プレゼンテーションから、2015年度に、むかわ町まちづくり委員会で町民の参加を経て「恐竜ワールド構想」が策定され、2016年4月には、むかわ町穂別総合支所地域振興課に恐竜ワールド推進グループが新設され、「恐竜化石を活かしたまちづくり」が推進されているところである。 |