【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第7分科会 若者力は無限大∞ ~若者と創り出すまちづくり~

 富良野市労働組合連合会が企画実施した自治研活動を紹介。



まちなか回遊と賑わいの創出について
―― まちづくりの視点の労働運動 ――

北海道本部/自治労富良野市労働組合連合会・自治研推進委員会

1. はじめに

 組合員の賃金・労働条件の維持改善を図ること。それが労働組合の果たすべき大きな役割の一つです。しかしながら、基礎自治体の職員を中心に組織している私たち自治労富良野市労働組合連合会(以下「市労連」という。)は、自治体の将来がどうあるべきか、そのためには何をすべきかという、まちづくりの議論と実践を続けなくてはなりません。また、そのためには、市労連・市職員と市民や関係団体との関係性をより深いものにすることを追求する必要があります。
 本レポートでは、2015年に行った事業内容、その実施効果を検証する中で、今後の自治労運動・自治研運動について考えます。


2. 2015市労連自治研について

 2014年度に開催された第35回地方自治研究全国集会において、富良野市労連自治研推進委員会では「地域コミュニティ活動から考える地域のあり方」と題してレポートを提出してきました。そのまとめとして、地域コミュニティ活動に自治体職員も関わりを強くしていくことが必要であり、また、業務を離れた部分でも職員それぞれが地域の構成員となり、積極的に地域コミュニティ活動へ参加することが大切であると提言してきました。
 2015年、富良野市の中心市街地の活性化をめざし、官民一体となって取り組んでいる富良野市中心市街地活性化基本計画「ルーバン・フラノ構想」の第二弾事業であるフラノマルシェ2・アトリウムが6月にオープンしました。このルーバン・フラノ構想のテーマとして「まちなかの賑わいの復活」「機能性と利便性に富んだ中心市街地の再構築」が挙げられています。
 この間も第一弾事業「フラノマルシェ」による年間80万人近くの集客による、いわゆる「にじみだし効果」は確認されているものの、残念ながら中心市街地全体までの波及に至っていないのが現状であり、市民・観光客の商店街への回遊性の向上を意識した事業の展開が必要であります。
 こうしたことから、2015市労連自治研のテーマとして「まちなか回遊について」を取り上げ、組合員が地域に関わる事業を展開していくこととしました。


3. 実験的事業

 市民・観光客の商店街への回遊性の向上による賑わいの創出、拠点施設の滞在時間増等を検証することを目的に2つの実験的事業を行ってきました。

(1) 謎解きウォークラリー ~へそ丸くんからの挑戦状~
目 的 集客施設(今回は祭り会場)を起点とした、まちなか回遊効果検証
日 時 2015年7月28(火)~29日(水) ※第47回北海へそ祭り
内 容 各ポイントに隠された謎を解き次の目的地に進むウォークラリー
「祭り会場コース(お試し版)」と市街地回遊コースの2コースを設定
無料(達成者には缶バッジを進呈)
効 果 達成者を直接的歩行者数増
28日 祭り会場コース  94人/市街地回遊コース 13人
29日 祭り会場コース  87人/市街地回遊コース 58人
合計 祭り会場コース  181人/市街地回遊コース 71人
総 括 2コースを合わせ達成者は合計252人となり、子どもの付き添いの保護者も含めると、300人を超す直接的歩行者数向上効果がありました。また、参加者からは「10年振りにすずらん通りを歩いた」「歩いてみると知らない店舗があった」「マルシェ2やタマリーバ(アトリウム)に初めて入った」「へそ踊り発祥の地やへそ公園など知らないスポットもあった」などの声が寄せられ、観光客の回遊性向上効果以外にも多くの市民が「まちを知る」効果も見られました。

(2) トレジャーハンター ~ぶどうの秘宝を探せ
目 的 拠点施設の滞在時間増の効果検証、
継続性を考え、有料でも事業実施が可能かを検証
日 時 2015年9月6日(日) ※第29回ふらのワインぶどう祭り
内 容 謎が記された本を持った者を探し、謎を解きすすむゲーム
有料(100円、ただし達成者にぶどう果汁で還元する)
効 果 参加者114人 達成者104人 ※保護者を含めると170人
ゲーム平均時間 30分程度(滞在時間増効果)
総 括 保護者を含めると170人の方が参加し、平均達成時間が30分程度であったことから参加しやすい範囲で拠点施設での滞在時間増の効果が実証されたと考えます。
    また、今回は有料で行っていることでの抵抗はほとんどなかったことから、達成時の景品等のバランスさえ保てれば実施可能と考えます。


4. まとめ

 今回、「まちなか回遊」「拠点施設での滞在時間増」について、2つの事業を実施する中で、一定の効果があったものと考えます。この2つの事業はあくまでも一例であって、これまでも、まちなか回遊による賑わいの創出については、年間を通して官民問わず大小様々な取り組みが行われていますが、多くの市民との関わりを持ち、アイデアを出し合うことで、更なる効果が生まれるものと再認識するとともに、市民同士の関わりの中で生まれるコミュニティが、富良野の次をつくるキッカケになると感じます。また、採用後間もない組合員にも協力してもらい事業を実施しましたが、こうした経験を今後の組合活動や市民活動の一助になるよう継続していくことが必要と考えます。
 私たちは、こうした活動を含めた地域活動に参加し、他団体と連携することで組合員(市職員)と市民との関係性の構築につなげるとともに、「まちの将来がなければ私たちの公務職場は無い」という視点での労働運動を進め、市労連がまちづくりにどう関わっていくか継続した議論と実践が必要と考えます。