1. はじめに
(1) 自治体による婚活支援の現状
① レポート作成のきっかけ
「婚活」という言葉が生まれたのは2007年であると言われています。当然のことながら、それ以前にも「結婚を目的とした相手探し」はさまざまな方法で行われていたのでしょう。そのことが、「婚活」という言葉で括られ、社会的に認知されることによって、その種類・方法などの幅も広がってきたのではないでしょうか。それでは現在、結婚相手との出会いの場はどこにあるのでしょう。
国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに行っている調査での2010年の結果によると、出会いのきっかけについては、「『友人・兄弟姉妹を通じて』、『職場や仕事で』がともに29%台、次いで『学校で』の出会いが11.9%となっている。これら上位三つのきっかけが全体の約7割を占め、これまで同様に日常的な場での出会いが多数を占めている。」とあります。
イメージでは婚活事業の広がりが著しいと考えていましたが、意外にも婚活イベントや紹介所で結婚相手を見つけたという人の割合は低いようです。また、「見合い結婚」は、1982年の29.4%から徐々に減り続け、2010年では5.2%となっています。出会いのきっかけはあまり変化していないにも関わらず、「見合い」をする人が減っているということです。しかし、ここで考えたのは、日常的な場での出会いが少ない人に対して、出会いの場を提供することが出来れば、もっと婚姻率が上がるのではないかということです。
② 自治体による婚活支援事業
内閣府は、都道府県及び市町村が、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」の先駆的な取り組みとして行う「地域少子化対策強化事業」を支援することとし、もって、地域における少子化対策の強化に資することを目的とした事業に補助をすることとしました。現在、さまざまな自治体において婚活支援事業が行われ、その形態は自治体の直営事業から、自治体から委託を受けた業者による婚活イベントの開催まで幅広く、内容も地域の特色を生かしたイベントとの結びつけなどが行われています。さらに、市役所に婚活をサポートする専門部署の設置をする自治体まで現れています。
(2) 自治体が「婚活」に取り組むわけ
① 少子高齢化の現状
内閣府が公表している、日本の人口推計です。
年齢区分別将来人口推計
年 | 年少人口 | 年 少 | 生産年齢人口 | 生産年齢 | 老年人口 | 老 年 |
(0~14歳) (千人) | 人口割合 |
(15~64歳) (千人) | 人口割合 |
(65歳以上) (千人) | 人口割合 |
2010 |
16803 | 13.2% | 81032 | 63.8% | 29245 | 23.0% |
2015 |
15827 | 12.5% | 76818 | 60.7% | 33952 | 26.8% |
2020 |
14568 | 11.7% | 73408 | 59.2% | 36124 | 29.1% |
2030 |
12039 | 10.3% | 67729 | 58.1% | 36850 | 31.6% |
2040 |
10732 | 10.0% | 57866 | 53.9% | 38679 | 36.1% |
2050 |
9387 | 9.7% | 50013 | 51.5% | 37675 | 38.8% |
14歳以下の子どもの割合は年々減少し、65歳以上の高齢者の割合は上昇していくという、少子・高齢化の予測となっていることは、あらためて述べるまでもありません。この流れを受けて、国が「地域少子化対策強化事業」に支援することとなります。
そして、常滑市の最近の人口の状況は以下のとおりです。
常滑市
年 | 年少人口 | 年 少 | 生産年齢人口 | 生産年齢 | 老年人口 | 老 年 |
(0~14歳) (人) | 人口割合 |
(15~64歳) (人) | 人口割合 |
(65歳以上) (人) | 人口割合 |
2006 |
7,193人 | 13.8% | 33,301人 | 63.6% | 11,807人 | 22.6% |
2007 |
7,218人 | 13.6% | 33,545人 | 63.4% | 12,210人 | 23.0% |
2008 |
7,394人 | 13.7% | 34,050人 | 63.1% | 12,498人 | 23.2% |
2009 |
7,618人 | 13.8% | 34,618人 | 62.9% | 12,800人 | 23.3% |
2010 |
7,746人 | 14.0% | 34,739人 | 62.5% | 13,040人 | 23.5% |
2011 | 7,935人 | 14.2% | 34,777人 | 62.3% | 13,102人 | 23.5% |
2012 |
8,035人 | 14.3% | 34,961人 | 62.0% | 13,354人 | 23.7% |
2013 |
8,211人 | 14.5% | 34,860人 | 61.3% | 13,745人 | 24.2% |
2014 |
8,387人 | 14.6% | 34,906人 | 60.8% | 14,133人 | 24.6% |
2015 |
8,543人 | 14.7% | 34,858人 | 60.3% | 14,429人 | 25.0% |
2016 |
8,703人 | 14.9% | 34,976人 | 59.9% | 14,676人 | 25.2% |
常滑市は、2005年の中部国際空港(セントレア)開港の影響を受け、市内の雇用環境の変化と、住宅環境の整備により、若い世帯の転入が増え、年少人口は一時的に伸びているものの、老年人口の増加率の方がまさっており、今後は少子化に転じることが予測されています。
この現状を少しでも良い方向へ向けるための一つのツールとして婚活支援事業があると考えました。
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