【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第8分科会 地域の子育て力が豊かな地域社会をつくる ~未来へつなぐ、子育て~

 4月から新制度がスタートしました。しかし、まだまだ課題も多く手探りの状況であり、保護者地域と連携した取り組みを行いました。すべての子どもに安定した生活の場を保障し、子どもの健やかな成長のために各園で取り組んだことについて報告しています。



子ども・子育て支援新制度による保育職場の課題


大分県本部/日田市職員労働組合・保育所部会 松野 美紀

 日田市は、2005年に旧日田市、旧日田郡(大山町、天瀬町、前津江村、上津江村、中津江村)が合併して、現在の日田市となりました。
 日田市には現在認可保育園が26園あります。その内5園が公立保育園です。4月から、その公立保育園の内3園が認定こども園、2園が小規模保育園としてスタートしました。
 園長を含む正規職員は28人、調理師を含む非正規職員は25人です。今年は保育士2人、栄養士1人の採用がありました。
 新制度については、さまざまな研修会や学習会、担当課との意見交換会に参加してきました。
 また、単組役員と正規職員との意見交換会「保育を守る会」でも議論してきました。
 4月からこども園、小規模保育園としてスタートした今、保育士の思いはさまざまです

高瀬こども園   園児数75人
 こども園としてスタートして、問題点がでてきました。
 ・出番の幅が広がり、職員が情報を共有する時間が難しくなり、他のクラスの状況や、子どもの様子、以上児、未満児での縦のかかわりが以前より減少し、チームワークがとりにくくなった。
 ・遅番が10時出勤になった事で、行事についての支障がでてきている。
 ・保護者支援や、子育て支援をどう進めていけばよいのか難しい。
 ・運動会や発表会等の大きな行事が日曜日に行われるので、子ども達は2週間休みなしで登園することになり、体調面等が気になる。
 このような問題点はありますが、今後も話し合いを進め、努力や工夫をして、改善できたらと思っています。

光岡こども園   園児数35人
 4月よりこども園としてのスタートとなりました。
 いろんな支援事業も始まりました。しかし、まだ周りの方々に認識されていない事で、今までとさほど変わりないスタートだと思います。今後、さまざまな事で今まで以上にアピールしていく必要性を感じています。支援事業を知ってもらうために、おたよりを作って配布したりしていますが、まだまだの状況です。光岡こども園では、光岡公民館の子育てサロンに出前保育をしているので、出かけた時にはアピールしていこうと思っています。

すぎっ子こども園   園児数18人
 「こども園」という名前に変わることで、何らかの保護者の期待のようなものがあるように感じられました。今までも、保育の中に「教育」の要素も十分入っていたと思うのでとりわけ、意識することはありませんでした。目に見える変化としては、1号認定の子どもが3人いることです。4・5月は9:30~14:30の教育時間ということで預かっていました。4月は、他の子どもと一緒に午睡をしていましたが、保護者の希望を受けて5月からは別の部屋で保育士が交代で過ごすことになりました。6月からは、延長保育の希望がでています。延長保育の希望が出れば午睡をすることになると思います。
 これからの課題としては、保育内容や教育的内容を保護者に詳しく伝えることを意識し、家庭連絡の工夫をしていかなければと思います。

あまがせ保育園   園児数8人
 小規模保育園としてのスタートとなりました。新制度になり大きく変化したことは少ないのですが、閉園時間が18:30に変わり、ローテーションが変化しました。現状は、夕方のお迎えの時間が延びた子どもがいないので、夕方、子どもがいないのに18:30まで園を開けておかないといけないことが、逆に、光熱費等において無駄な事となっている感じがします。
 園の実情を考えると、子どもの人数に合わせて勤務時間を調整できるとよいのではと感じます。

なかつえ保育園   園児数12人
 小規模保育園でのスタートとなりました。園児数の減少に伴う保育の在り方が課題になってくると感じます。クラス編成の難しさや行事においては合同で行うことが提案されたり、地域とのより強い連携も望まれてきます。
 新制度のメリットが小規模保育園においてもよりよく反映されることを期待したいと思います。労働者としての保育士、しかし、保護者との信頼関係は勤務だけでは割り切れない部分もあるという壁にぶつかります。今後、少子化問題が根底にあっての保育の現場での役割はますます多様化することでしょう。より深く保育現場を見直していきたいと思います。

 新制度がスタートして2ヶ月。まだまだ課題も多く、手探りの状況ではありますが、保護者や地域との連携のもと、すべての子どもに安定した生活の場を保障し、子どもの健やかな成長のために真の子育て支援の場となる保育園をめざしたいと思います。
 子どもたちにとって、より良い保育ができるよう、これからも、現在あがっている課題に取り組んでいきたいと思います。