【自主レポート】

第36回宮城自治研集会
第8分科会 地域の子育て力が豊かな地域社会をつくる ~未来へつなぐ、子育て~

 国東市職労保育所部会の地域住民や保護者と連携し、子どもたちの成長を見守り心に寄り添えるような保育に関すること、佐伯市職労保育所部会の市町村合併後の民営化状況と、子どもの受け入れ、一時預かり保育、地域との交流と家庭環境や困りごとを抱えている親子が安心して過ごせる取り組みに関すること、竹田市職労保育所部会の地域との交流をめざし、地域に開かれた保育所の子育て支援の実践的取り組みについて報告しています。



幼保一体化施設と地域とのかかわり
公立保育所が担う役割を意識した取り組みと現状について
保育所の地域交流の取り組みについて

大分県本部/国東市職員労働組合・熊毛保育所 山本都喜枝
佐伯市職員労働組合・保育所部会 團塚 美奈
竹田市職員労働組合・保育所部会      

1. 幼保一体化施設と地域とのかかわり(国東市)

(1) はじめに
 当保育所は国東半島の北部に位置し、姫島を一望できる高台にあり、小学校と隣接しています。2002年に保育所と幼稚園の一体化施設として始まり、入所の受付が幼稚園・保育所と異なりますが、うち4・5歳児は幼稚園クラスで午後2時まで生活し、幼稚園籍の子が降園した後は、保育所の子は午睡をします。3歳児クラス、未満児クラスの3クラスで運営しています。少子化の影響により、年々園児数は減少していますが、少人数だから、地域の人たちや保護者との連携も密にでき、共に子どもたちの成長を見守り私たち職員は子どもの心に寄り添えるような保育を心がけています。

(2) 小学校との交流
 4・5歳児クラス(幼稚園)は年間を通して、小学校との交流を行っています。園児は小学生と交流することをとても楽しみにしており、自分たちで考えた手作りプレゼントや出し物を披露し交流しています。今年は1学期よりチャレンジマラソンを実施し、毎朝頑張って走っています。

(3) 高齢者とのふれあい
 地元の高齢者施設を毎月訪問し、一緒に歌を歌ったり手遊びや踊りを披露しながら、ふれあいを楽しんでいます。お年寄りや施設職員からは「また、おいでぇー」と、とても喜ばれています。

(4) 地域とのふれあい
 園児の祖父母を招いてふれあい行事を行ったり、一緒に芋さしをしたり、お茶会では、子どもたちのおもてなしの姿を披露しています。参加いただいた祖父母たちは、目を細めて温かいまなざしで孫の成長を喜んでいます。また地域の行事である「お接待」に行ったり、散歩途中では、地域の方たちに「こんにちは~」と元気よく挨拶し、可愛い笑顔を届けています。皆さんには「元気を分けてもろうてうれしいなぁー」と喜ばれています。

(5) まとめ
 就学前児童は小学校との交流によって入学への不安もなく、学校生活に適応出来るように思えます。また隣接していることから、幼稚園、小学校双方の情報共有が図れ、発達に応じた支援や関わりが出来ています。しかし、少子高齢化で園児数も減少し、このまま幼保一体化施設として在続出来るのか不安もありますが、少人数でも公立保育所として地域や保護者とも連携し、子ども一人ひとりの保育ニーズのある限り、細やかな保育を実践していきたいと思います。


2. 公立保育所が担う役割を意識した取り組みと現状について(佐伯市)

(1) はじめに
 佐伯市は、2005年3月に1市8町村が合併して誕生し、大分県南東部に位置し、九州で一番広い面積をもつ市です。合併から10年が過ぎましたが、今までに民営化した公立保育所は4園あり、現在は8園の保育所と1園の認定こども園の計9園となっています。

(2) 内 容
 旧佐伯市には公立保育所が3園ありましたが、現在は久部保育所1園のみです。久部保育所は佐伯市街地にあり、居住地や職場が近くという理由から幾つもの学校区から子どもたちが通ってきています。受け入れは10か月からで、0~1歳児・2歳児・3歳児・4歳児の4クラスで対応しています。入所児数は毎年70人近くになり、公立保育所では1番多い園です。

(3) 子どもの受け入れ
 佐伯市には民間保育園もありますが、入園希望をしていても定員や様々な事情により受け入れが難しい場合があります。このような場合の中には緊急を要する家庭もあり、こども福祉課や保健師と連絡をとりながら本園で受け入れることがあります。また、受け入れだけでなく子どものケアや保護者支援などの配慮すべきことはさまざまです。

(4) 一時預かり保育
 公立各園で行っており、本園も受け入れをしていますが、専用の保育室や担当保育士がいるわけではなく、本入所の子ども達と一緒にクラス担任が保育します。園行事やクラスの状況によって受け入れは変わりますが、出来る範囲で対応するようにしています。

(5) 地域との交流
 本園には、全クラスが毎年沢山の人と関わる機会を持っています。
 中学生の職場体験・高校生の家庭科学習の受け入れや支援学校の生徒との交流会・お楽しみ会での高校生による吹奏楽演奏などがあります。子ども達は、照れながらも少しずつ遊びを通して距離を縮めていき、帰るころには「また来てね」と笑顔で手を振るようになります。このような経験を重ねると、お兄ちゃんお姉ちゃんが来ることを何日も前から楽しみに待つ姿が見られます。

(6) おわりに
 待機児童・保育士不足問題の解決は難しいですが、多くの子どもの命を預かり個々への配慮や育ちを考えて保育することは簡単なことではありません。ですが、様々な家庭環境や困りごとを抱えている親子が安心してすごせる手助けや子ども達の健やかな成長のためにも、関係機関と連携しながら受け皿としての役割を担うと共に、よりよい保育環境をめざして頑張っていきたいと思います。


3. 保育所の地域交流の取り組みについて(竹田市)

(1) はじめに
 竹田市は県南西部に位置し、くじゅう連山・阿蘇外輪山・祖母山麓に囲まれた地にあります。2005年4月1日に竹田市と旧直入郡三町(荻町・久住町・直入町)が合併し、新市制による竹田市となりました。竹田市は城下町で、滝廉太郎が「荒城の月」の構想を練った岡城があることで知られています。また、自然豊かな竹田市は、清らかな水が豊富で、竹田湧水群や白水の滝などの名水、日本一の炭酸水といわれる長湯温泉、そして雄大な自然が魅力の久住高原が、訪れた人たちを魅了しています。

(2) 竹田市公立保育所
 2016年現在、竹田市の公立保育所は竹田保育所、白丹保育所の2カ所があります。それぞれの保育所では、地域との交流をめざし、地域に開かれた保育所の子育て支援の実践的取り組みを行っています。特に、高齢者・障がい者との児童の交流、また地域の行事への参加などで、地域の方々に元気と癒やしと勇気をあげることができたらと、日々取り組んでいます。

(3) 内 容
 竹田保育所の取り組みを紹介します。
 竹田市は少子高齢化が進み、核家族が増えるなか、生活スタイルの多様化で高齢者とのふれあう機会がほとんどない状況の子ども達が増えてきています。
 そこで毎年の事業として、高齢者交流事業に3・4歳児が施設を訪問。また、障がい者交流事業に4歳児が参加しています。発表会の歌や遊戯を披露し、ダンスをしてふれあいます。
 月に一度の誕生会では地域の方にゲストとして訪問していただき、色々なステージを披露していただき交流をしています。

 2015年度誕生会催し一覧
4月 手品            10月 ギター演奏
5月 職員劇           11月 マンドリン
6月 エイサー          12月 クリスマス誕生会
7月 クラシックバレエ      1月 舞踊
8月 リコーダーアンサンブル   2月 吉田神楽
9月 スライド          3月 雛祭り誕生会

 また、市の雛祭り行事への参加としてオープニングセレモニー、花餅づくり、流し雛に参加しています。その他に防火パレードへの参加を通して地域の方々と交流しています。
 このふれあいを通して、優しさと思いやり、そして、人の痛みがわかる子ども達に育ってほしいと思います。このような交流事業が、これからもできる限り続くと良いと思っています。