【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第9分科会 QOD(Quality of Death)を迎えるために ~地域でできること~ |
健康づくりのイベントに、労働組合がその都市の施策や地域の活性化のために参加しているケースは多々あると思います。しかしながら、労働組合が地域に入って、民間企業・団体と連携して健康づくりのイベントを開催することは、まれなケースだと思います。その取り組み報告を行いながら「地域包括ケアシステム」について、労働組合が主体的に議論できるアンケート調査に至るまでについてレポート報告します。 |
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1. 地域包括ケアシステムを考えると (1) 10年たっても元気がええで
③ 地域を決める (2) アンケート調査の実施を検討する プロジェクトチームでは、全世帯のニーズ調査のイメージですが、全世帯の聞き取り調査をすることは無理だという結論。できる範囲の内容を検討すると、世帯数は、1,000世帯から3,000世帯まで、アンケート形式の調査票を住居に投げ込み、回収は返送用封筒、ターゲットは高齢者ではなく世帯として、さらに検討することとしました。 ③ 総論賛成、各論は プロジェクトチームでの検討は、2015年に入り、アンケート調査を実施することで進めていたのですが、関係機関との連携を図りながら、具体的に実施方法や回収方法などについて検討していくと、当然戸別訪問はできない、各戸配布の難しさが明らかになりました。また、アンケート調査の回収方法に郵便の料金受取人払いの利用は可能か、という段階まで検討したのですが、この時点ではクリアすべき課題が多くなりすぎ、再度検討することになりました。 関係機関との連携の中で、民間食品会社の方から、会社で各戸への投げ込みのアンケート調査をしたところ、その回収率は1%にも満たなかった、とアドバイスをいただきました。 著名な民間食品会社のアンケート調査であっても、回収率がそのような状況であれば、地域に関係を持たない労働組合のアンケート調査は、1,000通投げ込みをしても1通返ってくるかどうかということになります。 アンケート調査の実施方法として、各戸配布の方法は選択することができません。したがって、その他の方法を検討することになりました。 2. まずは、イベントから始めよう (1) アンケート調査を実施するためにイベントの開催へ
労働組合だけでは、地域に出向いて健康づくりのイベントを開催することはやはり困難です。しかし、大阪市職環境保健支部が加盟している大阪市のすこやかパートナー制度を活用して、パートナーによる協働事業として実施することにより、イベントを開催することが可能になります。 健康づくりのイベントを開催するにあたって、簡単な健康診断や健康体操、食のセミナーなどを想定し、「すこやかパートナー制度」の仲間に声をかけて、具体化できる感触をつかみ、2015年9月12日に大正区にある大正会館で実施する運びになりました。 イベントの実施は、ニーズ調査を実現するためのものです。 事前に地域に入ることも十分にできなかったので、参加してくれる方は、0かもしれないし、50かもしれない、事前の申し込みをすることもなく、大正会館の近くの世帯(約1,000世帯)にチラシの投げ込みだけをして、当日を迎えました。 「ミニミニヘルスジャンボリーin大正区コミュニティセンター市立大正会館」と、標題が長いのは、いろいろとあった結果です(以下、「大正ヘルジャン」)。 「大正ヘルジャン」開催日前日に、「みんなで考えよう~地域包括ケアシステムの効用~」と題して、プレイベントを実施しました。プレイベントには、イベントの協力者となっていただいた仙台白百合女子大学の大坂さんと労働組合の仲間が参加してくれました。 大正区には、地域を知る物語がたくさんあります。その中の一つが「渡船」です。大阪市内で7か所の運行があり、そのうち6本が大正区とつながっています。プレイベントの参加者は、「大阪市内に『渡船』があることを、今まで知らなかった。しかも大阪市建設局が直営で運行しており、料金は無料と、驚くことばかりだった」と感想をいただきました。直接医療や保健と関係なくとも、その地域の状況を知ることは地域のソーシャルキャピタルを知ることにもなり、ひいては地域包括ケアを考えるための基礎となると思います。 ③ 「大正ヘルジャン」いよいよ開催 参加者は最大で40人。運営体制から考えると、結果的にちょうどよい人数でした。 当日の健康づくりのメニューは、ラジオ体操、インボディ測定、健康セミナー、歌という内容で、時間を区切って開催しました。 写真は、参加者による体操の様子です。 みんなで体操をして、元気の度合いを確認して、そのあと、元気におしゃべりをして、日常に戻っていくことが、地域包括ケアシステムの予防の部分では大切なことだと思っています。 参加者の多くは、女性であり、女性のコミュニケーション能力の高さを感じます。 男性の場合は、その居場所(役割分担)が必要になってくるので、この体操教室の中で適切な居場所(役割分担)を見つけることは、至難の業だと感じました。地域包括ケアにおいても、男性の高齢者の課題がありそうに思えました。 地域との触れ合いについては、民間か行政かという立場性にこだわるだけではなく、利用される方の利便性をもう一度考えてみることが必要だと思いました。これはまさに地域包括ケアシステムの考え方と一致することだろうと思います。 (2) アンケート調査に向けて |