【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第9分科会 QOD(Quality of Death)を迎えるために ~地域でできること~ |
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1. はじめに
2015年3月に「地域医療構想策定ガイドライン」が示されました。これは、2025年に到来する超高齢化社会に耐えうる医療提供体制構築にむけ、医療重要を推計し、地域の実情にあった医療供給体制構築をめざすべく、都道府県が「地域医療構想(ビジョン)」を策定するためのガイドラインとなります。 |
2. 地域医療構想とは
① 「地域医療構想策定ガイドライン」とは |
3. 鳥取県の地域概要と日南町・日南病院の拠点位置
面積は、鳥取県の10分の1(340.87km2)を有し、その約90%が山林となっています。 また、人口4,665人、高齢化率49.5%(2015年国勢調査)と日本のおよそ30年先の姿と言われる高齢過疎の町です。 |
4. 町立日南病院の診療機能(2016年4月現在)
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5. 日南町の人口推移と日南病院病床稼働率
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6. 町と病院事業の現状
日南町は、1962年4月、日南町国民健康保険生山診療所を廃止し、日南町国民健康保険日南病院を一般病床27床で開設し、診療が開始されました。 |
7. 今後の問題点
地域医療構想(ビジョン)では、都道府県知事は以下の措置を講ずることができると示されています。 |
8. 考 察
日南病院の院是は「町は大きなホスピタル」と掲げています。その意味は町の道路は病院の廊下、各家庭は病院のベッドであり、病院の外に100床のベッドがあります。それに向かって出かけていくということです。また、出かけていけば各家庭は介護老人保健施設にも介護老人福祉施設にもなることを意味しています。在宅で入院と同じ治療が可能なら、在宅入院という発想でスタッフが出かけていって住み慣れた家で治療をしていますと述べられています。
日南病院で対応できない疾患は大学病院をはじめ市内の大きな病院との連携が取られています。とくに市内の大病院へ紹介した場合、地域に帰ってきていただくために、日南病院の空ベッドが必要となります。 これは2007(H19)年度より一般病床の平均在院日数を12日~13日(グラフ⑤参照)まで短縮し、空ベッドを確保し地域・地域住民の方を支えることで地域づくりに成功しています。 平均在院日数を短くするのは、簡単にできることではなく、入院~治療~回復~退院~自宅までの一連のプロセスで考えると、正確な診断と適切な治療方法を選択する能力、できるだけ患者の身体に負担をかけずに手術や治療を行う能力、患者の回復を助けるリハビリ支援、適切な退院支援や後方受入施設との連携など、どこかのプロセスに問題があると患者は予定通りに退院することができず、その積み重ねが病院の平均在院日数を引き上げてしまいます。 地域医療構想では、人口減少と2025年に到来する超高齢化社会に耐えうる医療提供体制構築にむけて医療重要を推計していますが、実際に公的医療機関や民間医療機関が多く立地している都市部と、不足している医療サービスの維持を現場で模索しながら地域の医療を守り「住民の生命と暮らしを守る」という病院が必要とされるよう、医療問題を共通認識しながら活動を続けることが重要です。 |
9. おわりに
日南町・日南病院では、医療資源の現状や、地域医療において大きな役割を果たし、在宅医療等の体制整備や医療と介護との連携体制の構築に当たって役割を明確にしていると考えます。 |