【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第9分科会 QOD(Quality of Death)を迎えるために ~地域でできること~ |
海に囲まれた隠岐の島にある隠岐広域連合立隠岐病院では慢性的な医療従事者の不足が問題となっており、その確保に向けた対策をとってきましたが、結果を残せない状況でした。そこで離職を防ぐことによって職員の減少に歯止めをかけ職員の補充を待つといった考えに変え、女性職員(看護師)の離職防止を一番に考えた院内託児所の設置が挙げられました。本レポートにおいてその経過、活動について報告します。 |
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1. はじめに 私たちが働く、隠岐広域連合立隠岐病院は周囲を海に囲まれた隠岐の島にあり、人口約1万5千人、高齢化率約36%の小さな町の中核病院として地域医療に取り組んでいます。病院の概要ですが、診療科は全15科、病床数115床(内、精神22床)、一日平均外来患者数429.1人/日、入院患者98.0人/日、総職員数216人の中・小規模の病院です。ただし、島内に入院施設を有する医院、病院がほかになく、救急を含むすべての入院加療を必要とする患者が集まってくるため、常に慌ただしく忙しい状況が続いています。また、医師、看護師、薬剤師を始めとした医療従事者の慢性的な不足も相俟って年々病院の運営が厳しい状況となってきています。 |
2. 活 動 職員組合は交渉のたびに確保困難職種の確保に向けて話し合い、いろいろな活動や制度を作ってきましたが、どれも確保にはつながらず当局との協議は平行線のままの状況となっていましたが、2012年度、看護職員の産休及び育休の増加、女性医師の出産を機に病中病後保育のできる施設の設置を望む声が上がり、組合としても安心して女性が職場復帰できる環境が離職防止につながるのではと考え院内託児所の設置を交渉の場であげることにしました。2013年度春闘にて交渉を行い、当局より前向きに検討するという回答を得ることができました。また、2013年度には組合員4人を委員に含めた院内保育施設設置検討委員会が立ち上がり、施設設置に向けた本格的な活動が始まりました。2013年7月には隠岐病院職員を対象とした院内保育所設置に関するアンケート調査を実施し、その結果、院内託児所の設置が必要という回答が全体の79.5%、また、院内託児所を利用したいという回答が全体の71.1%にのぼり院内託児所の設置を望む声が多数であることが判明しました。(資料1)
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3. まとめ 今回、我々職員組合は女性職員(看護師)の離職の防止のために、院内託児所設置を訴え、当局とも建設的な話し合いがなされ、設置することが決定しました。これは、職員の労働環境の改善もですが、地域住民への安心、安全の医療を提供するための活動でした。島内で唯一の入院機能を有する病院として医療の充実、サービスの充実は必要です。 |