【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第9分科会 QOD(Quality of Death)を迎えるために ~地域でできること~ |
地域包括ケアシステムの構築が求められる中で、公立病院がはたすべき役割を果たすために、安心して働き続けられる環境づくりと人材育成について報告します。 |
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わが国においては、団塊の世代が75歳以上となる2025年にむけて、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が成立したことにより、効率的で質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保が推進されることとなった。地域包括ケアシステムは地域特性や社会資源のあり方に大きく依存しているため全国一律的な対策で構築できるものではない。自治体が、リーダーシップを発揮し、地域包括ケアシステムを構築していかなければならない状況の中、公立病院に課せられる役割も大きくなるであろう。そのために、人材は欠かせないものであり、安心して働き続けられる環境が必要である。今回は5つの点からそれを考えてみることとした。 1. 安定した経営
公立病院は地域の医療を支えるため民間病院に無い診療科の開設や夜間でも対応できる救急医療体制など不採算部分も抱えざるを得無い。このような状況を踏まえると、公立病院には公立の役割があり、地域の医療全てを担うわけではなく「民間の医療と併せて」高い医療の質を維持していくことが大切である。そのため、地域医療のネットワーク化、経営効率化、経営形態の見直しが必要である。 |
2. 必要十分な人材確保と人材定着
2006年度に診療報酬の改定で病院における看護体制の充実と、看護師自身の負担の軽減を目的として7対1看護が導入された。地方病院や夜間勤務のある病院はたちまち看護師不足が激化した。人材確保のために職員のライフスタイルに合わせた多様な勤務形態を導入し長時間勤務の是正を進めている。当院の看護師数は産育休者を予測して増員しており2007年度以降85人増えている。 |
3. 育児支援
病院に勤務する約6割が女性であり、当院も7割を女性が占めている。育児と仕事を両立している職員は多い。子育て世代以外の人へ負担が偏らないようにすると夜勤勤務は平等に割り振られる。その結果、育児休業後の数年間は格別過酷な状況になり、この時期に退職したり、夜勤のない診療所や医院へ転職する人も少なくない。 |
4. 教育システム 新人職員に対して教育プログラムを設けることによって質の高い実践的な人材を育成することができる。また、医療のスペシャリストとして各認定資格に対する教育システムの導入や資格取得に対する助成などが必要である。 |
5. 健康管理
夜勤や交代勤務などは不規則な労働であり、心身および社会生活への負担が大きい。また放射線による被曝や介助に対する腰痛、メンタルヘルスなど病院勤務において良い医療を提供するためにも健康管理が重要である。 |