【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第10分科会 公共交通は誰のもの? みんなのもの!! |
駅前広場は交通機関の結節点として、多くの方々が集まる公共のスペースです。車社会の進展によって、近年はお年寄りや障がい者など社会的弱者が利用する比率が高まりつつあり、こうした方々への配慮が一層求められています。施設整備における現状の基準とその課題について検討し、実際の整備事例を報告します。 |
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1. はじめに 近年地方においては車社会が進行し、公共交通機関に乗って移動する人が減少している。地方で公共交通機関を利用するのは、学校に通う高校生、高齢者、体の不自由な人が目立ち、働き盛りの人たちが積極的にバスに乗る姿を見かけることがない。こうした流れにより公共交通機関利用者に占める社会的弱者の占める割合が高まっている。そのため公共交通機関へのアクセスにバリアフリーが一層求められている。これまでの公共施設のバリアフリーの考え方を振り返りながら問題点を考え、実際の公共施設の整備への適用事例を紹介していきたい。 |
2. バリアフリーの歴史と課題
(1) バリアフリーに関連する法の整備 バリアフリー新法が施行され10年が経過し、各地にこれに即した施設が整備されてきた。かつての段差だらけの歩道や駅前広場が徐々になくなりつつあり、その法律の効果が表れてきている。その中で細かな点で改善する必要があるのではないかと感じる部分も目に付くことから、それらの課題の整理を試みた。 ① 歩 道
横断勾配が1%以下とされている。歩道の舗装が透水性舗装を原則としていること、車いす利用者にも配慮した勾配設定であるが、1%以下という基準は施工も難しいこと、水がうまく浸透しない場所においては排水不良を起こすことから、水たまりが発生しやすい。水たまり発生による通行困難さを勘案し、良好な排水を確保した勾配とした方が、歩行者、車いす利用者の利便性に資することになるので、適切な勾配設定を考える必要がある。 イ 高 さ 歩道の高さは、車道より5cm高くが標準となっている。かつての歩道はマウンドアップで車道より15cm高くという基準がバリアを作り出していたことから考えられた基準である。 しかし、横断歩道に接続する部分は車道より2cm高く、後述するバス停は15cm高くと様々な高さ設定が発生し、それぞれを擦り付けることが求められるようになった。車いす利用者や高齢者にはスロープが小さなバリアになっている。 ウ 舗 装 舗装は透水性を持つことが求められている。これは、表面への水たまりをなくし歩きやすい歩行空間確保を目的としている。 課題としては透水性のアスファルト舗装は空隙のあるアスファルト材であるため、小さな車輪のついたベビーカーでは振動が大きめになりがちなこと、舗装の経年劣化により更に表面が荒くなりがちである。
歩道部では透水性インターロッキングブロックや平板ブロックによる舗装が行われる場合がある。ブロックによる舗装は、施工によって微妙な段差が発生することがあるが、完成後において車両出入口部での舗装の破損(ブロックが外れたり、ガタガタになる)が発生し歩道の歩きやすさが大きく損なわれる場合がある。現在、ブロックの下の構造は、砂・砕石路盤が標準であり、がたつきを抑えることができる構造とは言えない。 大正時代に行われていた煉瓦(レンガ)舗装や石塊舗装では、車両の通行でがたつきが発生するため、煉瓦の隙間に瀝青を使用したり石塊舗装の下にコンクリートを打つことが示されている(1923年発行「近世道路工法」など)。現在、この舗装の下にコンクリートやアスファルトなどを敷くとしている標準構造は見られないが、歩道の平坦性を確保するためには、構造上の工夫が必要である。
ア 高 さ バス停部分の高さは、車道より15cm高くすることが標準となっている。これは、高齢者や障がい者がバスに乗る際の段差を少なくするという観点で定められたもので、これによりバスの設計も行われている。 乗車時の段差がないようにという点は理解できるが、バスが必ずバス停近くに近寄って止まるという前提であり、運転する人の技量、バス停屋根により物理的に接近できない、バスの回転半径によりバス自体がバス停に平行に止めることが難しい場合もある。バスがバス停に近寄れなかった場合、乗客が歩道からバスのステップに大きくまたいで乗り込むか、一度車道に降りてバスのステップに上がらざるを得ない状況になることが多々見受けられる。また、バスが歩道から離れてしまったため、バスがバックしてバス停に止め直すという場面も見られバスの定時性の確保という点で問題がある。
バス停を15cm高くすることで、歩道部の標準高さ5cmや横断歩道隣接部2cmとの段差をどう解消するかが課題になる。結局歩道の進行方向にその差を解消するための勾配をつけなければならず、その勾配が5%以下とされているものの歩道通行の快適性や車いす利用者の観点から言えば勾配はない方がよい。
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3. バリアフリーの事例 バリアフリーに関した事例を紹介する。
① ドイツ 最近開通した新東名自動車道の休憩エリアは、路面のフラット化が徹底しており、車いす利用者や高齢者には移動しやすい構造となっている。バス停もフラットとなっており、運転手から見て停車位置が多少ずれても問題なく、乗る側も段差がないためバス停の段差に気をとられることなく乗ることができる。 |
4. バリアフリーの提案
バリアフリーのガイドライン作成にあたって様々な方々の意見を反映して基準が作成されているが、課題点を踏まえた改善案を提示したい。 |
5. 広場整備の実際
① JR佐原駅
ドイツのダルムシュタッドでは町の中心の広場に路面電車が乗り入れている。この広場には歩行者が多く集うが、路面電車の乗り場を含めて段差はなく、歩行者はどこでも歩くことができる。歩道と車道を明確に分けてそれぞれの安全を図るという考え方が主流であるが、歩行者が優先されるところではこのように車両が周囲に注意を払うためにスピードを出せなくするような場所が日本にもあっても良いのではないか。 |
6. おわりに
今回、駅前広場を整備するにあたり様々な角度から駅前広場を考察してきた。今後の高齢化社会を踏まえ、より社会の施設がバリアフリーとなるよう願ってやまない。 |