1. 七尾市じちけんワーキンググループのはじまり
(1) 発 足
私たち、七尾市じちけんワーキンググループは、2010年に発足しました。 「これからは、自治研活動を活発に行ってください!」という当時の石川県本部の方針のもと、まずは活動を運営していくグループを立ち上げようという運びになり、何をするのかもわかっていないまま、とりあえず、グループが発足しました。
当時の七尾市職労自治研対策部長の指揮のもと、七尾市職労の機関紙「スクラム」や青年部学習会などによる呼びかけの結果、8人のメンバーが集まりました。
(2) 活動方針の決定
「とにかく、自治研活動をしよう!」とは言っても、何から始めれば良いのか……。
そんな思いの中、私たちは、職場や七尾市に関することを率直に話し合うことから、今後どのような自治研活動を行うべきかを模索することとしました。
そして、話し合いの末、私たちじちけんワーキンググループは、これからの活動方針をこのように決めました。
「自分たちのまちをもっと知ろう!」
⇒ 職員として当然のことですが、なかなかできていない。
「まちをもっと良くしよう!」
⇒ 市民と連携した取組み、地域への貢献を考えよう。 |
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(3) 職場の現状から見えたこと
七尾市は2004年10月に旧七尾市、田鶴浜町、中島町、能登島町という4つの自治体が市町合併をしたことで市の庁舎が5箇所になり、職員数も増加しました。しかし、職員間でコミュニケーションを取る機会が少ないことから、合併後もなかなか旧市町間の隔たりが無くならないという現状に私たちは懸念を抱いていました。
話し合いの中で挙がったこの課題を解消するには、コミュニケーションを図るための「組合員全員が参加できる場の創出」が必要だという考えにたどり着きました。
実は、15年ほど前に市町合併前の旧七尾市では「職員運動会」というものが開催されていました。けれども、公務員を取り巻く環境の変化や市町合併などにより、その後は開催がなされていない状態でした。
このような問題点がある中、私たちじちけんワーキンググループが主催者となり、「再び職員運動会を開催しよう!」ということになりました。
なるべく多くの方に参加してもらえるよう、プログラムや雰囲気作りに知恵を出し合い、準備を進めました。
2. 七尾市職員レクレーション大会
2010年11月14日、第1回職員レクレーション大会が、福利厚生と職員同士の親睦を深める目的で開催されました。参加人数は250人。大会当日は他の行事もある中、予想を超える多くの職員が参加してくれたことに私たちは大きな自信を持ちました。
各部署でチームを編成し、対抗戦方式をとったため、競技が進むにつれ、各チームのボルテージがどんどん上昇! みんなが一緒になって喜び、笑い、悔しがる。それは「チーム」そのものでした。
大会後、チームごとの交流会の中にはたくさんの方が参加し、業務外での交流、これまで話したこともない組合員同士の親睦も深まりました。この大会を振り返り、その目的を十分に達成したと考えています。そして、深夜まで続いた懇親会を通して、地域経済への波及効果をも成し遂げるなど、その意義はとても大きいものでした。
その後も職員レクレーション大会は続けられ、今年の12月にも大会を予定しています。いかに楽しい大会とするか、どうしたら多くの職員が参加してくれるかを常に考え、スケジュールや競技種目の再考を重ねながら、大会に向けて準備を行っています。
3. その他の主な活動
そんな七尾市職員レクレーション大会を皮切りに、私たちは様々な活動を行ってきました。その活動の中から一部をご紹介したいと思います。
(1) ぴっかぴかのななおプロジェクト
3年目となる2012年からは、いよいよ「地域に飛び出そう!」を合言葉に取り組むことにしました。もちろん、すぐには大きなことはできないため、七尾市中心部のごみ拾い活動を企画することから始めました。
七尾市は祭礼やイベントが多い観光都市です。その幕開けとなる4月の「花嫁のれん展」を前に、開催場所となる中心市街地のごみ拾いを行うことで、七尾に来られた観光客の方に気持ち良く楽しんでいただきたいという思いから、このプロジェクトを企画しました。
自治研活動としては、初めて地域に飛び出した活動でしたが、住民の方からは温かい声も掛けていただき、地域に出る活動の大切さを実感しました。また、目につかない箇所でのごみも少なくなく、私たちの活動がポイ捨ての減少につながればと願っています。
また、その翌年には同じ石川県内の輪島市職労の方々をお招きし、輪島市・七尾市の合同による、第2回目のぴっかぴかのななおプロジェクトを開催しました。ただごみ拾いをするのではなく、それぞれの班に分かれ、七尾を知るためのミッションなどを班ごとで解決していくというウォークラリー方式で開催することにより、和気あいあいと楽しみながらごみ拾いを行うことができました。また、活動後の懇親会では職員同士が更に打ち解け、絆を深めることができたと思っています。
(2) 青柏祭人形見ツアー
4年目からはじめた青柏祭人形見ツアーも、毎年の恒例企画となり組合員にも浸透してきました。
七尾の4大祭りの一つである、高さ12m、重さ20トンの通称「でか山」と呼ばれる日本一の山車を曳く「青柏祭」。
七尾が誇る祭りをもっと深く知るために企画したこのツアーは、でか山に飾る人形を間近で見ることができるほか、各人形宿ではでか山や人形についての説明を、振る舞い酒をいただきながら聴くことができます。
私たち七尾市職員が、地域の祭りに興味を持ち、市外の方などにも自信を持って七尾を紹介することができるようになれば、交流人口の拡大に繋がるはず!!
参加したことで、青柏祭がもっと身近に感じられるようになりました。
(3) 崎山半島里山里海巡り
5年目、2014年6月28日に行った、崎山半島里山里海巡り。
七尾市民の中でも、足を踏み入れたことないようなマニアックな崎山半島。
そんな自然豊かな崎山半島を丸一日かけて体験しました。
体験の内容は、定置網漁業の漁船に乗せてもらっての漁業体験や加工場見学、漁師さんとの朝食、牧場見学、湯川温泉など、盛りだくさんでコアな内容でした。
後日、そんな通好みの方も大満足な崎山半島を多くの方に発信しようと、「さきやまっぷ」という情報誌をじちけんワーキンググループから発刊しました。組合員からの評判も高く、地域を再発見してもらう機会になったと感じています。
(4) のと里山里海号ツアー
6年目、2015年10月10日に開催した、のと里山里海号ツアー。
この年の4月29日から運行がスタートした、のと鉄道観光列車「のと里山里海号」に乗車し、能登の良さを再発見すると共に、職員間の懇親を深めよう! という目的のもと企画をしました。
当日は、3連休の初日ということもあり、参加者が少ないのではないかと危惧していましたが、20人を超える組合員及び家族の参加がありました。
観光客ではない私たち地元民にとって、なかなか乗る機会のない観光列車。実際に乗車することで、周りの人に良さを伝えることができます。これからも、市職員自らが地域を知り、発信していくことができるよう、自治研活動をしていきたいと考えています。
(5) 金沢城リレーマラソン大会での七尾市PR
7年目となる今年5月15日(日)には、県都である金沢市で行われた金沢城リレーマラソン大会に参加しました。3年前にも七尾市職員で参加していたこのリレーマラソン大会。今回は2回目の参加でした。
「七尾市のPR」と「職員同士の親睦を深める」ため、年度当初からメンバーを募集し、より良いPR方法を考え、大会に臨みました。その結果、新聞やアナウンサーのブログにも取り上げられるなど、「元気な七尾市ここにあり!」と大会に爪痕を残すことができました。
また、大会終了後には恒例の親睦会が行われ、充分に交流を深めることができました。
(6) 「城址 小丸山公園活かし隊」とのタイアップ
また、今年度より、「城址 小丸山公園活かし隊」という市民の有志で構成されている団体とタイアップし、新たなイベントを企画していこうという話になりました。
戦国大名・前田利家公が築いた小丸山城は、七尾市の中心市街地に位置し、現在は小丸山城址公園として市民の憩いの場所となっています。ソメイヨシノ、シダレザクラなどが見られる桜の名所として、春季は多くの市民が足を運びますが、それ以外の時期になると閑散としているのが現状です。
そんな歴史ある小丸山城址公園を市民にもっと活用してもらいたいというコンセプトのもと活動している「城址 小丸山公園活かし隊」。今回はタイアップ企画の先駆けとして、活かし隊が企画したお花見イベントにじちけんメンバーも参加させていただきました。
七尾市観光ボランティアガイドから小丸山城址についての説明を受けながら公園内を散策し、その後はお花見をして、地域の方と交流をしました。
お酒が入ったお花見では、今後どんなタイアップ企画をしていけば良いのか、この活動が七尾市の活性化にどう影響していくのかなどを熱く議論し、今後の楽しい活動への糸口となったように感じています。
4. 自治研活動から得たもの
(1) 自由な発想の企画運営
2010年に活動を開始した私たち七尾市じちけんワーキンググループも、今年で7年目。
はじめは、「何かしらの活動をしなければならない」という焦りはあるものの、「いったいどんな活動をしたら良いの?」という、手さぐり状態のままのスタートでした。しかし、全国自治研集会などに参加し、全国各単組のみなさんの活動内容を知ることで、良い意味で「(活動内容は)なんでもいいんや!」「それなら、自分たちのやりたい活動をしよう!」という認識に変わっていき、それからは、メンバーの「やりたい活動」を企画化し、組合役員などに相談しながら、活動を具現化していくという流れになりました。
アイディアを出し合い、内容を精査し、メンバー全員で力を合わせて準備・運営を行う。仕事ではないからこそ、自由な発想の企画が出せるし、やりたい活動をするから楽しい。やりたい活動をするから続く。私たちの活動が細く長く続いているのは、そのような良い流れが作られたからだと感じています。
(2) メンバーの循環・組合員の理解
とは言っても、仕事やプライベートで忙しく、活動から遠ざかっていくメンバーも少なくありません。
しかし、ワーキンググループではメンバーの脱退を無理に引きとめたりはしません。何故なら、グループを脱退したとしても、参加者や運営の補助メンバーとして参加してもらえれば良いと考えているからです。私たちのグループには強制力はありませんし、組合の執行部のように一人一人に役職や役割があるわけではありません。やりたいと思った時に企画する。やれると思った時に行動に移すという、ゆるい活動です。
このゆるい雰囲気が良い方に作用しているのか、若手職員が自ら手を上げてメンバーに加わってくれるなど、脱退者が出たとしてもメンバー数が減少することはありません。
他の組合員からも、次の新たな企画を待ち望む声や、毎年恒例になった企画のお知らせを心待ちにしているという声が寄せられており、仲間の理解があって、私たちは活動できているんだということに感謝をしています。
(3) 組合員の団結力強化
自治研活動を進めていく中で、それぞれ仕事をしているだけでは関わることのない職員同士が、企画を通して仲良くなるということも少なくありません。
毎年恒例となっている「青柏祭人形見ツアー」などを楽しみにしてくれている、小中学校の校務員さんや公民館の主事さんたちのグループがいるのですが、市役所の庁舎内に勤務している職員と学校・施設等に勤務している職員は、同じ七尾市職員であっても、普段はなかなか接する機会がありません。
しかし、自治研活動の企画を通して交流をすることで、顔見知りとなり、市の職員としての連帯感が生まれます。それは組合活動をする上でも、「団結力」として活きてくるほか、仕事をしていく上でも何年後かにどこかで共に業務を行うことになった際にはその人間関係がプラスに作用するものではないかと考えます。
5. 最後に
私たち七尾市じちけんワーキンググループの活動は7年目を迎えましたが、決して大きい活動をしているわけではなく、細く長く、メンバーの余裕とやる気がある時に何かしらの活動を行っているというのが現状であり、今回の事例発表の要請についても大変恐縮しつつ、お受けしたのが実情です。
楽しくゆるく活動しているからこそ、私たちは自治研活動を続けていけるものだと痛感していますし、また、組合役員や他の組合員の理解があるからこそ企画が実現していますし、「七尾をもっと元気にしたい! もっと良いまちにしたい!」というじちけんメンバーの思いは、活動を通じて確実に組合員に浸透していると感じています。
これからも私たちは、「自分たちのまちをもっと知ろう! まちをもっと良くしよう!」をモットーに、自治研活動を着実に進めていきます。 |