【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第11分科会 じちけん入門!! ~じちけんから始まる組合活性化~ |
延岡市の清掃業務を行ううえで、「直営堅持による行政サービスの向上」は欠かせないものとなっている。住民ニーズが多様化している今、そのニーズに的確に応え、「安全・安心」な行政サービスの提供が私たちには求められている。 |
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1. はじめに 清掃部門や学校給食調理員など、多くの現業職場が人員削減・民間委託などの合理化攻撃を全国的に受けてきました。この攻撃は、今後も継続される傾向にあり、さらに強化されると予想されます。改正地方公務員法が施行され、私たちを取り巻く情勢はさらに厳しいものとなっています。本県をはじめ、他県の自治体では、義務づけられた人事評価制度の導入を理由に、残された直営部門を攻撃し、職場をとるか、賃金水準をとるかの選択を迫られたところもあります。私たちは、これからの厳しい状況をたたかい抜くため、これまで以上の団結と、職場を守る取り組みが必要となっています。 |
2. 現 況 (1) 延岡市の現況 (2) 組合の概要
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3. 本市の清掃職場に於ける現状 延岡市は、2005年に旧北方町、北浦町、2006年に旧北川町と合併しました。
清掃職場の人員推移
以上のように、ここ数年で新事業を展開し、また度重なる合理化攻撃による業務の効率化を余儀なくされました。 |
4. 新たな課題 (1) ふれあい収集
イ 八王子市の事例 八王子市で2006年から始まったふれあい収集を担当している職員が、訪問した独り暮らしのお年寄りの異変に気付いて、家族に連絡するという出来事があった。お年寄りは意識障害があったが大事に至らず、家族は「無事だったのは、ふれあい収集のおかげ」と喜んでいた。 ④ 今後の検討事項 ・高齢者や障がい者等に対する収集の名称の決定 ・対象者の範囲 ・要項や申請書の作成 ・収集体制の決定 ・車両の決定 ・関係部署や福祉団体との連携 ・排出方法(品目、曜日、回数、場所、ポリバケツの使用) ・安否確認の有無 ・専用カレンダーの作成の有無 ・粗大ごみ等家庭内からの排出が困難な場合の取り扱い ⑤ 終わりに 日本は近年、本格的な人口減少や少子高齢化の時代を迎えており、本市においても同様です。また、住民の地方公共団体に対する期待や要望などの行政需要は、これまで以上に増加していくと考えられ、特に高齢者を対象とした福祉関連事業に対する需要は、大幅に拡大することが予想されます。本市においても高齢者を対象とする行政サービスの提供は不可欠であり、早急な対応が求められています。 他市町村においては、様々な福祉推進事業を展開していますが、このような事業について今後の検討課題であり、将来的には他部署や福祉団体等と連携を図り、様々な市民行政サービスを拡充し、住みよいまちづくりを行っていく必要があります。 (2) 蛍光管回収 (3) リユース促進のための交換掲示板方式 ③ 延岡市の現状 延岡市では、ごみ処理の有料化実施や資源物の分別拡充等を行い、ごみの減量化・リサイクルの推進を図っています。また、 リフューズ(Refuse) :不要なものは買わない リデュース(Reduce) :ものを大事に長く使う リユース(Reuse) :使い終わっても、繰り返し修理して使う リサイクル(Recycle):正しく分別する という、「4R」という言葉をキーワードに、更なるごみの減量化をめざしています。 しかし、排出されるごみの量は、ごみ処理の有料化が行われた2009年度の大幅減少以来、横ばいの状態が続いています。そこで、本取り組みにより現状の膠着状態を脱却し、延岡市の年度目標である、基準年度比(2008年度)20%減を達成できるのではないかと考えています。 ④ 実施に当たり検討すべき事項 交換掲示板方式で実施する際、準備段階と実施段階の二つに分け、更に予算についても検討する必要があると考えられます。想定される詳しい検討項目を以下の表に記載します。
⑥ 終わりに はじめにで紹介したように、不用品交換を斡旋するメリットは大きいが、コストに見合うかは疑問が残ります。泉大津市でも、実施後3年間で成立した件数は150件程度で、そもそも住民の間にあまり浸透していないという現状があります。しかし、徐々にではありますが交換成立件数は増加しており、一定の効果があることも事実です。もし本市で実施する場合は、特に広報、フィードバックシステムに力を入れ、長期継続的に事業を展開していく必要があるのではないかと考えます。また、不用品交換のシステムとして、掲示板方式だけではなく、フリーマーケットのような住民同士の交換、交流の場の提供や、各事業者との連携により、不用品をリユースするといった事業を並行して展開するといった方法も考えられます。長期的活動により、リユースの意識が住民の方々の間に浸透するようになれば、ごみの量の減少に大きく貢献できるのではないかと考えられます。 (4) 資源物回収の効率化 ③ 改善策 回転板の部分を仕分け、新聞、雑誌類、ダンボール、古布を一度に運搬・収集することができれば、問題点に挙げたような「後出し」はなくなるのではないかと考えています(図2)。また、塵芥車であれば、手で積んだり、降ろしたりする作業も少なくなり、作業員への負担、安全面の観点からみても、非常に有用な方法であると考えます。 ④ 終わりに 本市は、ごみの減量、住民への啓発と意識改善のために様々な取り組みを行ってきました。しかし、先の問題点以外にも様々な問題を抱えています。そのためにも、まず、現在顕著な問題となっている「後出し」や「作業員の負担」を取り除いていきたいと思います。これが足掛かりとなって、ひいては本市が掲げる「住民サービスの向上」に繋がるのではないでしょうか。 |
5. まとめ 「ふれあい収集」、「蛍光管の分別収集」のみならず、延岡市の清掃行政の前進を図る上で「直営堅持による行政サービスの向上」は欠かせません。日増しに高まる住民ニーズに対応すべく、今後も、行政責任としての住民サービスの維持・向上・充実・強化を考えていくことはもちろんのこと、当局にたいしてもその視点をもって行政サービスを充実させていくよう求める必要性を感じます。また、日増しに高まり、変化する住民ニーズを的確に捉える中、職場段階でも日頃から行政サービスの重要性について理解を深め、将来を見据えた業務内容を議論していく必要があると考えます。 |
6. おわりに 「住民が必要とすれば、現業職場はなくならない」。本市の清掃職場の現状と課題から将来を見据えた業務内容を考えることで、私たちは「住民目線の業務改革が、自らの職場を守る運動につながる」ということを強く感じました。住民に最も近い立場の私たちが、住民目線で現在のサービスの充実・向上をはかるための取り組みを進めていかなければ、住民の理解を得ることは難しいでしょう。自分たちの仕事を住民に理解してもらい、必要性を感じてもらうことこそが、民間委託や合理化攻撃を許さないための最大の取り組みであり、そうすることが結果として、私たちの職場を守ることにつながっていくことを再認識しなければならないと思いました。今後も、「住民が求めているサービスは何か」「住民のためにできる業務は何か」を模索し続け、自らの業務を職場から発信して創り上げていく取り組みを進めていきたいと思います。 |