【論文】

第36回宮城自治研集会
第11分科会 じちけん入門!! ~じちけんから始まる組合活性化~

 普段スポットライトが当たらない自治体職員、とりわけ清掃職員の方々を参与観察し、定性的な分析を加え、清掃職員の創造する価値を導き出した。それは、①行政への信頼・信用の涵養、②協働の担い手づくり、③資源循環社会への道筋づくり、である。昨今、現業部門の委託化が進行しているが、これらの潜在する価値を顕在化させ、行政全体の新たな価値を創造していくことが行政のマネジメントに問われる点を指摘した。



現業職員の創造する価値
―― 新宿区の清掃事業の現場から ――

大東文化大学 藤井誠一郎

1. はじめに

 昨今、いわゆる「スーパー公務員」という方々がマスコミに取り上げられ、その活躍ぶりが世間に知れ渡っている。例えば、突拍子もないアイディアを基に挑戦を重ね限界集落を活性化させた人材、その状況を継続させていくために自らが先頭に立ち更なる挑戦を続けている人材、そのような経験を基に全国を駆け巡り講演活動や大学の講師等をされている人材、といったところである。確かにそのような方々は素晴らしい活躍をされており、地域に対して多大な貢献をしている。
 しかし、その輝かしい結果は、他の地域にとっては何か高嶺の花のようである。また、話題として取り上げられ易いような問題がたまたま目の前にあったがために、結果的に注目されるようになったものかもしれない。さらには、裏で支えていた多くの人の力が無ければ実現していなかったものでもあろう。よって、華々しい幾つかの事例は、わが国全体から見れば「ソロホームラン」であり、それを合わせてみても地方自治の活性化への全体的な底上げには繋がっていかないのではないかと思える。
 このような状況の一方で、表舞台には登場せず、地域のために多大なる貢献をされている方々が多々いる。その仕事が日常的なものであるため目立たず話題性に欠けるのであるが、自治体の運営には必要不可欠なものであり、その業務の現場で市民自治社会を展望しながら、地道に業務を遂行している「名もなき職員の方々」がいる。先述のスポットライトを浴びる公務員の活躍も重要ではあるが、むしろ縁の下で自治体運営を担っている方々が、どのように地域の現状や住民と向い合ったのか、そこで何を考えたのか、その行動から得られる示唆とは何か、等といったことを可視化して多くの人々で共有していくことが、地方自治の活性化への底上げには有用であると信じている。
 そこで本稿では、地方自治の現場で尽力されている自治体職員の方々、とりわけ清掃事業に従事する清掃職員にスポットライトを当て、そこで尽力されている方々を対象として観察し、定性的な分析を加えていく。そして、そこから得られた示唆を可視化し、実践知として共有し、地方自治の活性化への底上げの一助にしていくことをめざしていきたい。
 なお、筆者は自治労の「次世代を担う研究者」に2015年に採用され、2016年6月より2ヶ月間、東京都新宿区の新宿東清掃センターで清掃事業について参与観察をさせて頂く機会を得た。週1回ではあったが、プレス車や軽トラックでの収集業務や不燃ごみの破袋選別作業に加わり、「ふれあい指導」や「環境学習」にも同行させて頂いた。本稿ではその調査から得られたことを基に現場からの視点で論を進めていく。


2. 新宿区の清掃業務の概要

 2000年4月、東京23区が基礎自治体として位置づけられたのを契機に、清掃事業が都からそれぞれの区に移管された(注1)。清掃事業は、①収集・運搬、②中間処理、③最終処分、の順で展開されていくが、各区が移管を受けたのは、①の「ごみの収集と運搬」と「資源の回収」業務である。②は東京23区が共同でごみの焼却・破砕・選別を行うために設立した「東京二十三区清掃一部事務組合」が担い、③の東京湾の処分場への埋め立て処理は東京都が担当する。東京23区ではこのような分業体制が構築され清掃事業が展開されている(注2)
 新宿区の清掃事業は、新宿清掃事務所、新宿東清掃センター、歌舞伎町清掃センター、新宿中継・資源センターの4拠点で展開している。業務内容は主として、家庭廃棄物を可燃ごみ、不燃ごみ、資源、に区分して収集することである。また、不燃ごみの処理センターがある中央防波堤までは距離が遠いことから、新宿中継・資源センターで大型コンテナに積み替える作業を行っている。
 可燃ごみについては週2回収集が行われる。家庭廃棄物は無料で収集されるが、粗大ごみや臨時に多量にごみを排出する場合は手数料を徴収して回収している。また、集積所に自ら持ち出すことが困難な住民に対しては、依頼に基づき各戸訪問収集を行っている。一方、事業者が排出する資源・ごみは自己処理が原則であるが、区の収集業務に支障がない程度ならば、「有料ごみ処理券」を袋に貼付する条件で収集している。さらに、歌舞伎町等の繁華街では日曜日や正月を除き毎日収集しており、特定の場所ではカラス対策のため6時30分から早朝収集を行っている(注3)
 金属・陶器・ガラスなどの不燃ごみは月2回収集する。折れ曲がった傘や割れたガラスや陶器や瓶が多いが、中にはライター、スプレー缶、カセットボンベ、乾電池などを1つの袋に混在させて投棄しているものもある。それをいったん清掃センターに持ち帰り、破袋して選別する作業を行っている。作業を怠れば清掃車火災が発生する可能性があるため、選別作業は必要不可欠な作業となっている。
 一方、資源の回収は業者に委託して実施している。古紙をはじめとして瓶・缶、ペットボトル、紙パック、白色トレイ、乾電池、容器包装プラスチック等を回収している。また、町会やマンション管理組合等が区に登録し、資源を業者に引き渡すことで報奨金を支給する集団回収も実施している。
 このような収集作業のほか、きめ細かな排出指導を行う「ふれあい指導」も行っている。収集班によるPRでは十分に改善しきれない重点地区、問題のある集積所、クレームが寄せられた集積所、等の巡回を行い、状況を確認して細かな排出指導を行っている。また、希望する学校や地域団体に出向いてリサイクルの必要性や資源とごみの分別を学んでもらう「環境学習」も行っている。


3. 清掃業務の現場

(1) 収集業務
 筆者の初めてのごみ収集体験は、小型プレス車での神楽坂周辺の収集作業であった。当日は梅雨空で、朝から強い雨が降り注いでいた。始業ミーティング、「腰痛予防体操」をし、入区3年目の若手の職員の方と共に直営車に乗り込み現場へと向かった。長靴を履きレインコートとヘルメットを着用し、防水加工された手袋を装着して作業に入った。
 集合住宅の集積所に到着すると、直ぐにごみ独特の臭いが漂ってきた。それを気にしていては作業はできず、手際よく収集車にごみを投入していった。雨で濡れているためごみ袋を上手く掴めず、一度に多くは捌けない。たくさん入った重たいごみも多くあり、最初の集積所の回収から息切れしてしまった。それが終われば小走りで次の集積所に向かい、そこでも同じ作業を繰り返していく。
 集積所は収集車が通行可能な道路に面して設置されているが、その道路に入ると車の離合が困難となる場所や歩行者の通行が難しくなる箇所に設置されているところも多くある。そこでの作業中は通行を待ってもらわざるを得ず、可能な限り早くごみを収集する。よって、山のように積まれたごみ袋を掴める限り握り、収集車のごみ投入口に早く投げ入れる。また60リットルの容器いっぱいに詰められたごみを収集車の投入口まで持ち上げ、ひっくりかえして中身を投入していく。非常に力が必要となる作業である。このような形で手際よく片付けていき、収集完了と同時に次の集積所に向かって走り、一刻も早く収集を終えるように努力する。
 また、ごみの中には、水分をしっかりと切っていないものもある。プレス車はごみを中に圧縮しながら積み込むため、積載限度に近づいてくると押し込み時に袋が破裂し、ごみや水分が周辺に飛び散る。筆者は要領を得ておらず、自ら投入したごみが破裂して小麦粉をかぶったり肉汁を浴びたりしたが、その破裂音が聞こえだすと、周囲に細心の注意を払い、自らが盾となって通行人への飛散を防御するための態勢を取る。
 さらに、ごみの中には、収集者のことを考えずに集積所に排出しているものもある。その一つに、ごみ袋の口をしっかりと結んでいないものがある。収集の際に掴み損ねて落としてしまうと、路上にごみが散乱してしまう。その際は直ぐに「かき板」で集めて片付け、原状以上の美観を保つようにする。
 以上のような収集体験を通じて痛感することが、ごみ出しのルールが十分に守られていないことである。ルール破りのごみを見ると排出者が腹立たしくなる。しかし、清掃職員は集積所の現実を寛大に受け入れ、できる限りの対応を現場で施す。そこには、「暮らし心地の良い環境を区民に提供していく」という確固たる使命感が存在している。区民のためにいかなるサービスが提供できるか、そのためには自らがどんな貢献ができるのか、という視点を常に持ち、清掃職員は収集作業を行っている。決して表舞台には登場しないが、このような「心」を持つ清掃職員が現場で細やかな配慮を施しているおかげで、新宿区の美観が保たれていると言っても過言ではない。

(2) ふれあい指導
 ふれあい指導では、収集班から提供される現場で生じた問題、トラブル、清掃センターに寄せられる苦情等に対応していくことが主な業務である。これらの案件に対して、1つずつ丁寧に現場を巡回して状況確認を行っていく。車で現場を巡回し経過確認を行っていた際、集積所に並ぶ資源を並び替えている年配女性の姿が見えてきた。この女性は以前、資源の収集し忘れや回収状態について清掃センターに苦情を述べてきた人物であった。直ぐに車から降りて挨拶し、経過状況を聞き取り、現状を把握した。
 新宿区での資源の回収は複雑な形で展開されている。大きくは、①古紙、②容器包装プラスチック、③びん、缶、ペットボトル、スプレー缶・カセットボンベ・乾電池、に分類されるが、③についてはそれぞれの種類毎に中身の見える袋に入れて集積所に出すことになっているので、収集現場には5種類の資源の袋が置かれることになる。これらの資源の回収は全て業者に委託しており、①は古紙回収業者が、②は東環保に、③は清掃業務の区移管前から委託していた業者、がそれぞれ回収する。特に③の回収では、びん・缶・ペットボトルの3つを同時に回収する業者もあれば、びん・缶のみを回収する業者とペットボトルを専門に回収する業者もあり、それらが地区毎に異なるため複雑な回収形態となる。よって集積所には最低でも3つの業者が回収にくることになり、自らの収集分のみを回収していく。そのため、集積所にはそれぞれの袋が「歯抜け状態」で並び、散逸することもある。また、ルールを無視した②と③が混在する袋は回収されず、そのまま放置されることになる。
 このような委託業者による回収状態であるため、資源の回収し忘れの苦情対応への事実確認を行うことは非常に難しい。収集コース、収集時間、人員配置、配車台数等は全て業者の裁量に任されており、現状が業務の途上なのか完了状態なのかの把握が直ぐにできない。業者によっては、回収する車を日雇いで集めるという自転車操業で対応しているところもあり、その日その日で収集時間もコースも変わるため、何時に回収に来るかの把握ができない。したがって、収集し忘れの苦情があった場合は、住民に十分な現状説明ができず、誠意をもって回収の仕組みを説明し、最後は頭を下げることになる。
 苦情の原因となる複雑な委託状況を清掃職員が丁寧に説明したことが理解され、住民が自発的に集積所に散乱した資源の袋を見栄えよく並び替えるといった行為を生み出していた。すなわち、住民が清掃行政に参加する形が生み出されていた。まさに現場での清掃職員の対応が、行政への理解者を増やし、協力者を作っていったということである。清掃事業は地域の人々の協力がなければ快適な環境を維持していくことは難しく、様々な主体の参加の有無がその成果を大きく左右すると言っても過言でない。地道ではあるが、大都市の清掃を行政のみならず住民も担っていくという形が清掃職員により徐々に形成されている。


4. 清掃職員の創造する価値

 紙幅の関係上、小型プレス車での収集作業やふれあい指導の現場の概要しか記述できなかったが、そこから導き出されうる清掃職員が創造する価値について述べてみたい。
 1点目は、行政の最先端において住民からの信用を築き上げ、行政全体の信頼感を涵養していくことが挙げられる。清掃職員は収集行為の1つ1つに細かな住民への配慮を施しながら業務を遂行している。先述の通行が制限される集積所での収集においてスピーディーに回収することは、上司からの命令ではなく清掃職員の自発性に基づくものである。その作業は全力疾走のようなものであり、かなりの体力を消耗し腰にも相当の負担がかかる。それでも自発的に行うのは「住民へ最大限配慮する」という清掃職員の気持ちが行動に表れているからである。その場に居合わせた人々は清掃職員が作業する姿をしっかりと見ており、作業後に清掃職員がかける待たせたことへのお詫びの言葉に対し、謝辞を述べたり会釈をしたりしながら通行する人もいる。住民の目に映る清掃職員のひた向きな姿が記憶として蓄積され、それが行政への好意的な評価へと昇華し、その後、信用や信頼へと変化していくという流れが見込まれる。行政の最先端で住民のために身を削る清掃職員は、行政全体への信用や信頼といった可視化はできないが非常に大きな価値を生み出していると言える。
 2点目は、行政への信用や信頼を基にして協働の担い手を作っていくことである。ふれあい指導の現場で既に結果が残されていたように、苦情に真摯に対応していくことで、苦情申出者が清掃事業に参加し、行政との協働の担い手となる流れを生み出している。今日、行政との協働では、協働事業提案制度等も導入され、町内会、地域団体、ボランティア、NPO、等との「組織対組織」の協働が進展する傾向にある。しかし、このような形は一定の人々による行動に留まる可能性があり、個人での活動も含めて裾野を広げていかなければ行政との協働はいつまでたっても広く浸透しない。清掃事業の分野は広く、収集のみならず、近年ではごみの減量、リサイクルの推進、環境問題等、住民と行政が一体となって取り組まなければ解決しない課題が山積しており、一人でも多くの人々が課題解決に向けた協働に加わっていく必要がある。清掃職員による現場での真摯な対応が、地域における協働の担い手を増やし、徐々に裾野を広げつつある。
 3点目は、1点目と2点目を踏まえたその先に、幅広い層の住民が参加する資源循環社会への到達を展望できることである。昨今の環境問題の深刻化により、限りある資源を有効に利用していこうとする動きが出てきており、資源循環型社会を構築していくことは喫緊の課題である。それは行政のみでは構築できず、住民の主体的な参加の上に成り立つものである。多くの人たちが信頼を寄せる行政と協働していくことにより、理想的な社会へ自ずと到達していく展望が拓ける。清掃職員は現場にて資源循環社会構築に向けての貴重な役割を担っている。


5. 直営・委託論争への示唆

 これまで、現場での参与観察を踏まえ、清掃職員が創造する価値について述べてきたが、このような議論は、1980年代の地方行革が推進されていく流れの中で展開された「直営・委託論争」の中に位置づけられる。この論争は「すれ違い」や「水掛け論」であったと評価されている(注4)が、昨今、更なる委託化の推進により現場での「ひずみ」が顕著になってきた状況において、再度評価を行っていく時期が来ているものと考えられる。
 業務委託を行えば、直営と委託、また、委託と委託の間に必ずや「スキマ」ができ、そこに必ず「ポテンヒット」が生まれてしまう。また、業者は業務の完遂を第一目的とする姿勢で仕事に臨むため、住民との接点をはじめとして様々な場面で数々のトラブルが発生する。これらの事後処理は、対外的には委託した側の責任となるので、人員が減らされ続ける清掃職員のみならず、案件によっては管理職の方々もその対応に追われているのが現状である。業務委託時には、このようなスキマ調整のコストや事後処理のコストは勘案されておらず、請負業務の完了時にこのようなコストを集計すると、委託の方が高くつくのではなかろうか。
 清掃職員の仕事はごみを回収する単純労働のように見られがちである。しかし、現場での観察から見出したことは、決して目立たないが清掃職員は自治体行政にとって有意な価値を創造していると考えられる点である。この価値は新たに発見したものではなく、「潜在する機能を顕在化させたまで」である。したがって、「元からある機能」に気づき、それを引き出して行政活動に組み込み、行政全体の新たな価値を創造していくことが今後の行政のマネジメントに問われるのではなかろうか。潜在する価値に気づかずに安易に捨ててしまうことはあまりにももったいない。委託化が進み直営事業が骨抜きにされていく状況において、再度立ち止まって潜在する機能を顕在化させ、有用に活用していくことを検討していくことが求められている。


6. おわりに

 本稿では、清掃事業の現場で尽力されている清掃職員にスポットライトを当て、その参与観察から定性的な分析を加えてきた。清掃事業をめぐる論点は多様であり、様々な問題が山積している。筆者は約2ヶ月の間、清掃業務を体験し実態を参与観察してきたが、まだまだ表層的であり、今後もしばらくは清掃現場の観察を続け、現場の視点からの研究を進めていきたく思っている。
 本稿は、今後、清掃事業を研究していく上での出発点の位置付けである。本稿で取り上げられなかった論点については、別の稿で論じていきたい。


謝 辞
 本稿の執筆に際し、新宿東清掃センターの塚原邦彦様、飯山悟様をはじめとする清掃職員の皆様から様々なご教示を頂きました。また、新宿区環境清掃部長の柏木直行様、新宿清掃事務所長の黒田幸子様、ごみ減量リサイクル課ごみ減量計画係長の清水一弘様をはじめとする新宿区の皆様には貴重な研究の場や資料を提供して頂きました。さらに新宿区の松島恒春様、自治労の座光寺成夫様には今回の研究に向けて多大なるお力を頂きました。この場を借りて心より感謝を申し上げます。




(注1)詳しくは、東京都(2000)を参照されたい。
(注2)詳しくは、東京二十三区清掃一部事務組合(2015)を参照されたい。
(注3)この収集は「車付雇上」で実施している。なお、東京23区の清掃事業を理解していくにあたっては、「雇上会社」について認識を深める必要がある。それは東京23区の清掃事業の業務請負を目的とした業者である。東京都が清掃事業を所管していた時から積極的に協力してきた。この雇上会社には、清掃事業を請負う51社と浄化槽の清掃を請負う14社があり、それらの会社で一般社団法人「東京環境保全協会」(東環保)を組織している。そして東京23区で構成する「東京二十三区清掃事務協議会」(協議会)との間で「雇上契約」(清掃車両の配車契約)を締結している。各区が収集業務を行う際には、自ら所有する収集車(直営車)が不足するため、協議会に必要台数を依頼する。すると業務を請負った雇上会社から車と運転手が配車され、それに清掃職員が乗車して当日の作業を行う。この「雇上契約」では、業務に慣れた特定業者の指定や運転手の指名はできず、東環保を構成するいずれかの会社からの配車を受けることになる。そこでは、予め伝えられていた業者や運転手が当日になって変更される場合もあり、現場ではその対応に追われている。さらに、この「雇上契約」に加え、作業員付きの車両を雇上会社から配車する「車付雇上」がある。当初は臨時的なごみ増加への対応のために導入していたが、それが退職不補充に伴う業務委託として恒常的に利用されるようになった。「車付雇上」については、現場で雇上会社の社員に作業内容の指示をすると偽装請負となるため、混乱が生じている。これらの問題は稿を改めて論じていきたい。
(注4)西尾(2000)、116頁参照。

【参考文献】
椎川忍『地域に飛び出す公務員ハンドブック』今井書店、2012年。
新宿区『新宿区一般廃棄物処理基本計画』、2013年。
東京都『東京都清掃事業百年史』、2000年。
東京二十三区清掃一部事務組合『ごみれぽ23 2016 循環型社会の形成に向けて』、2015年。
西尾勝『行政の活動』有斐閣、2000年。
寄本勝美編著『現代のごみ問題(行政編)』中央法規出版、1982年。
寄本勝美『自治の現場と「参加」』学陽書房、1989年。