【論文】 |
第36回宮城自治研集会 第11分科会 じちけん入門!! ~じちけんから始まる組合活性化~ |
普段スポットライトが当たらない自治体職員、とりわけ清掃職員の方々を参与観察し、定性的な分析を加え、清掃職員の創造する価値を導き出した。それは、①行政への信頼・信用の涵養、②協働の担い手づくり、③資源循環社会への道筋づくり、である。昨今、現業部門の委託化が進行しているが、これらの潜在する価値を顕在化させ、行政全体の新たな価値を創造していくことが行政のマネジメントに問われる点を指摘した。 |
|
1. はじめに
昨今、いわゆる「スーパー公務員」という方々がマスコミに取り上げられ、その活躍ぶりが世間に知れ渡っている。例えば、突拍子もないアイディアを基に挑戦を重ね限界集落を活性化させた人材、その状況を継続させていくために自らが先頭に立ち更なる挑戦を続けている人材、そのような経験を基に全国を駆け巡り講演活動や大学の講師等をされている人材、といったところである。確かにそのような方々は素晴らしい活躍をされており、地域に対して多大な貢献をしている。 |
2. 新宿区の清掃業務の概要
2000年4月、東京23区が基礎自治体として位置づけられたのを契機に、清掃事業が都からそれぞれの区に移管された(注1)。清掃事業は、①収集・運搬、②中間処理、③最終処分、の順で展開されていくが、各区が移管を受けたのは、①の「ごみの収集と運搬」と「資源の回収」業務である。②は東京23区が共同でごみの焼却・破砕・選別を行うために設立した「東京二十三区清掃一部事務組合」が担い、③の東京湾の処分場への埋め立て処理は東京都が担当する。東京23区ではこのような分業体制が構築され清掃事業が展開されている(注2)。 |
3. 清掃業務の現場
(1) 収集業務
(2) ふれあい指導 |
4. 清掃職員の創造する価値
紙幅の関係上、小型プレス車での収集作業やふれあい指導の現場の概要しか記述できなかったが、そこから導き出されうる清掃職員が創造する価値について述べてみたい。 |
5. 直営・委託論争への示唆
これまで、現場での参与観察を踏まえ、清掃職員が創造する価値について述べてきたが、このような議論は、1980年代の地方行革が推進されていく流れの中で展開された「直営・委託論争」の中に位置づけられる。この論争は「すれ違い」や「水掛け論」であったと評価されている(注4)が、昨今、更なる委託化の推進により現場での「ひずみ」が顕著になってきた状況において、再度評価を行っていく時期が来ているものと考えられる。 |
6. おわりに
本稿では、清掃事業の現場で尽力されている清掃職員にスポットライトを当て、その参与観察から定性的な分析を加えてきた。清掃事業をめぐる論点は多様であり、様々な問題が山積している。筆者は約2ヶ月の間、清掃業務を体験し実態を参与観察してきたが、まだまだ表層的であり、今後もしばらくは清掃現場の観察を続け、現場の視点からの研究を進めていきたく思っている。 |
謝 辞 |