【自主レポート】 |
第36回宮城自治研集会 第12分科会 ほんとうの住民協働とは? ~地元スペシャルになろう! ~ |
自治体を取り巻く状況は、少子高齢化が進展することにより、人口減少に直面することが予測されている。今後は、歳入の減少とともに社会保障費が増大することにより、財政的逼迫が懸念されており、これまでの一律的な行政サービスの維持は困難である。このような中、行政サービスを補完し、市民の活力を引き出す取り組みとして龍ケ崎市の市民協働事業を紹介する。 |
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1. はじめに
少子高齢化が進展するなか、住民から地方自治体に対するニーズは、年々、多様化・個別化しているのが実情である。以前の「右肩上がり」の時代のように、これらのニーズに対し地方自治体による行政サービスにより全て対応していくことは、難しい状況にある。 |
2. 龍ケ崎市の住民自治制度
市制施行した1954年に、龍ケ崎市では「龍ケ崎市区長設置条例」を制定し、行政区単位に区長及び班長を、市の非常勤特別職として住民に委嘱した。これら区長や班長の役割としては、市広報紙の配布や、市に対する住民からの要望の取りまとめなどが主なものであった。 |
3. 龍ケ崎市のコミュニティセンター
龍ケ崎市では、1986年より順次小学校区ごとに公民館を設置し、2007年には市内の全小学校区(13地区)での設置を終えた。
災害時には、指定避難所の小・中学校内に各1基ずつ災害時使用品が収納してある備蓄倉庫を配置し、収納数量は、1基あたり約250人の人が3日間過ごすことを想定した飲料水・食料・毛布などの生活物資と、避難所を運営するにあたって必要な関連資機材、そして被災者を救出する時に必要と思われる工具などです。 |
4. 中核的な地域コミュニティとは
地域では、区や自治会、町内会などの住民自治組織をはじめ、自主防災組織、民生委員児童委員、防犯連絡員、青少年育成市民会議、長寿会、PTA、子ども会育成会など、さまざまな組織が活動しており、これらの組織が地域社会を支えていると言っても過言ではないだろう。 |
5. 住民からの意見
2011年度に、市内13地区を回り、主に住民自治組織(区や自治会、町内会など)の代表者と意見交換を行った。 |
6. 設立準備会での協議
同じ龍ケ崎市内ではあっても、それまでの地域における住民の活動はさまざまであり、設立準備会での協議も各地区での特徴が現れた。具体的には、既に地区内全体としての活動が行われている地区の場合には、新規活動の検討や新組織の規約や予算、役員体制など具体的な検討に早い段階からとりかかれたが、一方では、設立準備会を設置しても、なお「行政の押し付けではないか」との疑問から、中核的な地域コミュニティの必要性そのものからの話し合いが続く地区もあった。 |
7. 中核的な地域コミュニティと市の関わり及び支援①
このように市は中核的な地域コミュニティの設立に関して、意見交換から設立準備会のそれぞれの段階で地域に関わってきた。設立後も、引き続き関わりを持ち続け、住民との協働で地域づくり活動に加わっている。 |
8. 中核的な地域コミュニティと市の関わり及び支援②
中核的な地域コミュニティ形成より以前から、地域活動に対して市は補助金などの交付による財政的支援を行ってきた。
表1のうち、「①住民自治組織活動推進奨励金」は、引き続き、単位の住民自治組織へ交付するものとし、②から④までの補助金などを原資とし、中核的な地域コミュニティを交付対象とする新たな補助金に再編した。 【表2】中核的な地域コミュニティへの補助金
この新たな補助金は、これまでの地域への補助金などよりも多く交付することとした。より活発な地域活動を期待する観点で増額したことに加え、これらの予算をどの活動に重点的に配分するかについては、市から縛りをかけることなく、それぞれの地区の特色を生かせるよう、中核的な地域コミュニティ内での話し合いで決定できるようにした。 |
9. 中核的な地域コミュニティの活動事例
(1) 龍ケ崎地域コミュニティ協議会
(2) 城ノ内コミュニティ協議会 地区内の元気なボランティアが、ちょっとした困りごとのある方への手伝いを通じ、住民同士のつながりを深めることを目的とした「城ノ内お助け隊」がスタートしました。 スタートと同時に、外出時の付き添いや草刈りなどの依頼が届き、地域で支え合うまちづくりにつながることが期待されます。
(3) 川原代ふれあい協議会 川原代ふれあい協議会は、2012年3月に茨城県道路里親団体に認定され、県道佐貫停車場線沿い約1kmにわたる花いっぱい運動を行っています。道路の美化活動に努めたことにより、茨城県知事より表彰状が授与されました。茨城県道路里親制度における龍ケ崎市の認定団体としては、同じ佐貫停車場線沿いで活動している「馴柴地区花いっぱい連合会」に続く受賞となります。
(4) 八原まちづくり協議会 八原まちづくり協議会では、「花いっぱい運動」として、城ノ内中学校の生徒や市役所職員のボランティアと一緒にさんさん館脇の桜並木にパンジーの苗を植えました。 協力してくれた中学生の皆さんも、苗植えから水やりまで、朝早くから一生懸命に作業してくれました。春にはピンク色の桜と黄色のパンジーが道行く人々の目を楽しませてくれることでしょう。
(5) 馴柴まちづくり協議会 昨年9月に馴柴小学校で行った防災訓練では、馴柴地域自主防災会の運営委員、訓練に参加した地区住民や小学生など、約1,000人が小学校の体育館に集まりました。訓練では大災害を想定し、実際に開設された際の避難所の運営方法や、小学校の防災コンテナに備蓄されている物資の活用、救命訓練などを行いました。参加者からは「人数が多いと避難所運営は大変だね。やはりこういう訓練は大事だよね」といった声も聞かれました。また、市からは地域担当職員(サポーター)も参加し、MCA無線による災害連絡通信の訓練等を運営委員と協力して行いました。 |
10. まとめ
自治体を取り巻く状況は、ここ十年ほどで大きく変化してきている。今後は少子高齢化が進展することにより、人口減少に直面することが予測されている。少子高齢化による自治体への影響は、歳入の減少とともに社会保障費が増大することにより、さらなる財政的逼迫が懸念されている。 |